covid-19対策にお茶は効くの?#469

Voicy更新しましたっ!

今回は噂のようにじわじわ広まる「お茶でcovid-19対策」のお話

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お茶がcovid-19に有効??

先日、一部で「お茶にcovid-19不活化作用が」というニュースが流れました。

今回はこの件とお茶について、深く掘り下げて行きます。

 

お茶を使った実験

まずこの発表でされた実験は、市販のいくつかのペットボトルのお茶と、茶葉から入れた紅茶や大和茶を10種類用意して、それぞれを試験管にcovid-19とともに入れます。

それを混合したところ、最も効果があったのは茶葉から入れた紅茶で、入れてから1分で最大99%のウイルスを不活化して、30分後には99.97%が不活化したという形です。

それに次いで大和茶も不活化の効果があったとされ、ペットボトルのお茶は同じように効果があるものと、あまり効果が無いものに別れたとされています。

 

カテキンという成分

以上が、実験の簡単な内容になりますが、voicyでも度々「お茶には抗菌成分がある」とか「カテキンという成分が体に良い」という事をお伝えしていると思います。

カテキンには抗菌効果があり、免疫力を高める効果もありますが、実はウイルスの不活化作用もあります。

例えばインフルエンザウイルスも、カテキンで不活化できることが分かっています。

しかし、今回の実験で一番効果が高かった紅茶に関しては、カテキンはそれほど含んでいません。

紅茶は茶葉を発酵させて作るもので、半分発酵させたものがウーロン茶、完全に発酵したのが紅茶となりますが、発酵した段階でカテキンは変化します。

変化したカテキンにも、抗菌作用があるため、これによって不活化できたのでは、という可能性が高いと思われます。

 

緑茶の種類とカテキンの量

そもそもの問題として、上記の事はあくまでも仮定に過ぎず、確実に効果があるかはわからないという事を踏まえて考えてください。

話を少しそれて、お茶とカテキンの量についてですが、一口でお茶と言っても上記の実験のように様々な種類があり、それぞれでカテキンの含有量も違います。

もっと言うと、緑茶だけでも玉露・抹茶・煎茶・番茶と、いくつもの種類があるのは有名だと思います。

これらをカテキンの量だけで比べると、一番多いのは玉露という種類のお茶になります。

新芽が出たところで日光を完全に遮断して覆い、育てたお茶です。

次いで多いのが抹茶ですが、玉露と抹茶は普通に普段から飲むのは正直難しいです。

その次に多いのが煎茶で、よくある一般的な普通の緑茶になります。その次が番茶で、見落としなどで摘まれなかった茶葉や、煎茶の製造過程で使われなかった不ぞろいな茶葉で作ったお茶のことです。

しばしば、品質が落ちた茶葉のような見方がされますが、煎茶よりもカテキンやカフェインが少ない分、すっきりとした味わいがあるため、これはこれで人気があるタイプになります。

その次が玄米茶で、蒸して炒った玄米と、番茶と煎茶を同量ずつ混ぜて作ったもので、上記のものよりも一層飲みやすい代わりにカテキンも少ないという特徴があります。

緑茶の中で最もカテキンの量が少ないのがほうじ茶で、番茶を強火で炒ったお茶ですが加熱したことでカフェインとカテキンが飛ぶため、上記の中では一番カテキンが少ないお茶となります。

 

本当にお茶がcovid-19に効く?

話をもとに戻しますが、この実験は充分、検討の余地があると思います。

その最大の理由が、「お茶を飲んだら予防できるかは定かではない」という事です。

これは発表した奈良医科大学も言っていることで、今回の実験はあくまでも試験管に直接、お茶とウイルスを入れて混ぜたところ、不活化したということですので、実際に人間がお茶を飲むことで、体内に居るウイルスが不活化するかは分かりません。

そして、飲んでから1分間ウイルスと混ざることはほぼ無いと思います。あったとしても一瞬、ウイルスに触れるかどうかなはずです。

しかし、インフルエンザに関しては、お茶を飲んだグループとお茶を飲まなかったグループで、およそ4割ほど予防ができたという実験があり、証明されているのは事実です。

ですので、飲まないよりかは、飲んだ方が効果が期待できるのは、正直に言ってあり得ると思います。

また、インフルエンザや風邪の回にもお伝えした、こまめに水分を飲むことで、喉についたウイルスが胃に行って胃酸で死滅するということですが、もしかしたら同じようなことがcovid-19でも起こる可能性はあります。

ただ一方で、covid-19は鼻どころか目からも入る可能性がある上に、粘膜についてからどれくらいで体に入るのか、感染してしまうのかはまだ確かなデータはありません。

インフルエンザであればおよそ15分で入りますので、こまめに水分補給をしていると、かなりの予防になりますが、もしもっと早ければその分難しくなります。

まずはやはり、これまでもお伝えしてきている感染対策をすることを第一に、過ごしてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属