夏場に起こる下痢はどんな時? #218

Voicy更新しましたっ!

今回は、夏場の下痢についての話。

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「下痢」という症状とは

前回、過敏性腸症候群、IBSについてのお話でしたが、今回はそれ以外の「下痢」という症状についてのお話です。

基本的には、便が柔らかくなるということですので、水分を取りすぎたら起こる、というのが有名ですが、それ以外にも様々な原因があります。

 

水をたくさん飲むと、胃腸が拒否反応を起こす

水をたくさん飲むと下痢になりやすいですが、そもそも水分であれば、普通はおしっこになるはずよね。

なぜ水物をたくさん飲むことで下痢になるのかというと、胃腸が拒否反応を起こすためです。

短時間で、だいたい1リットル以上の水分を取ると吸収されずに腸内にとどまり、便を柔らかくしすぎてしまい、下痢となります。

これは実は、水分補給にならない「アルコール類」も同じように、吸収しきれずに下痢を起こします。

なぜかというと、アルコールは水を奪う性質があり、アルコールが水分を一か所へ集めてしまうことで、腸の中にとどまるため、下痢となります。

 

感染性の胃腸炎による下痢

そしてもう一つが、何らかのウイルス、細菌などで「胃腸炎」を起こしていることで下痢になっている可能性があります。

特に注意が必要なのが、「食中毒」です。

例えばO157が有名ですが、細菌性のもので一番弱いものだと、1週間ぐらいで治ることもあります。

ただし、O-157には血便」が出るようになった、というケースがあります。これは病院に行かないと治らないため、もし心当たりがあればお医者さんに診てもらってください。

夏場は食中毒注意報が出ることもありますので、しっかりと予防しましょう。

冬場であれば、やはり「ノロウイルス」に注意してください。通常のアルコールが効かないため、専用の消毒液を準備しておいて、こちらも予防をしておいてください。

 

下痢への対処は水分以外は「食べないこと」が基本

食中毒にかかっている最中など、おなかの調子がすこぶる悪い、とわかっているときは、「何も食べない」ことが基本となります。

たまに、おなかに良いものを食べることで早く治す、という方がいますが、どちらかというと何も食べないでいる方が確実に早く治る、と思います。

簡単に言えば、下痢とはどんな引き金であっても「胃腸炎」を起こしているために下痢になっているため、炎症を起こしているのに何かを腸に入れるのは、どんな成分であっても逆効果になるのです。

通常であれば、丸1日ぐらいは何も食べなくても大丈夫ですので、腸に負担をかけないように、安静にしておなかを温めながら1日休む、ことが最も確実で早いです。

 

水分補給だけは充分に

ただし、水分は絶対に取ってください。

大量にとると逆効果ですが、目安としては「出た分を取る」としてください。

さらに、度な食中毒やノロウイルスなどは、下痢と同時に頻繁に吐いてしまうものでもあるため、よりこまめに注意して水分補給をしてください。

目安は、15分に一回ほど、ペットボトルのキャップ一杯ほどを、ちょっとずつ飲んでください。

そしてもう一点、飲むのは必ずOS-1のような経口補水液を使ってください。必要なものが充分含まれているので、とっても便利です。

 

基本的に薬は使わず、出し切るイメージ

市販の整腸剤で下痢を治すのは、実は難しいです。

それよりも、つらいですが「出し切る」方がベストです。

下痢というのは、ウイルスや細菌などのような悪いものを体外へ出そうとする働きのためです。そこで下痢止めを使ってしまうと、腸内にとどまることになり、他の悪い影響を起こす原因にもなりかねません。

どうしても席を外せないタイミング、数時間だけはトイレに行けない、というようなときに、緊急用として使うようにしましょう。

 

そして最後に、水分補給が大切と述べましたが、非常に重度な場合はペットボトルキャップの量でも水分を受け付けられない、という場合があります。その場合は病院で点滴による水分、栄養補給になるので、すぐに病院に行ってください。

 

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属