アルコール依存について知っていて欲しいこと#211

Voicy更新しました!

今回は山口メンバーのアルコール問題に関して。

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アルコール依存とは

TOKIOの山口さんが「アルコール」の問題で通院する、というニュースがありました。

現在、日本でアルコール依存症の疑いがある「予備軍」となっている方は400万人を超えています。

アルコールは気分を良くすることからも、非常に中毒性が高い成分です。

お酒を飲むことを、家庭や仕事よりも優先させ、生活が破綻する、というような状態を、アルコール依存症と言います。

20歳以上の大人であれば、身近にどこでも買えるのがアルコールなので、依存症になるリスクも高いといえます。

お酒を「コントロール」できないということ

依存症とは、平たく言えば自分の意志でコントロールできない、と言う状態です。

お酒を飲むと一時は気分が良くなって、落ち着きますが、時間がたつと逆に気分が悪くなって、良い効果が切れたかのようにお酒を欲してしまい、またすぐ飲んでしまう、というような形です。

お酒を飲んでしばらく経つと、が震える、眠れない、落ち着かなくなる、そしてそれを抑えるためにまた飲む、というのは、完全にアルコール依存症の症状です。

また、「飲み続けると命にかかわる」と医者や家族からきつく言われているのに、自分で分かっていても飲んでしまう、というのも依存症であるといえます。

アルコール依存症の治療は「最初」が一番難しい

れっきとした病ですので、治療が必要ですが、厄介なのが「本人は自覚がない」という事がほとんど、という点です。

それもそのはず、本人は単に「お酒が好きだから飲んでる」からです。そして「自分は依存症ではない」と思い込みます。

この認識を治さないと、治療をし始めて禁酒しても、またあっという間に飲んでしまい、治療にならないのです。

アルコール依存症の治療は、最初に行うこの部分こそ最も難しいです。

自分は治療が必要で、お酒を断つ必要がある」と認識して、その上で禁酒をはじめとしたアルコール依存症の治療を進めていく、ということです。

入院してアルコールを解毒・退院後にはアフターフォローも必要

具体的な治療法としては、まずアルコールを体から完全に抜く、と言う必要があります。およそ2週間から4週間ほどかけて、アルコールを抜いていき、アルコールを使わずとも、通常の日常生活を送れるように、リハビリを始めて行きます。

ある程度入院、リハビリをしたら退院となりますが、その後も家族のケア、支えによる「アフターフォロー」が必要です。

入院中は抗酒薬という、お酒を飲むと気分が悪くなる、悪酔いしたような感覚になる薬を使って治療していき、通常はこれが効くので断酒に大きく前進しますが、それがあっても家に帰ってから再び飲むようになってしまい、元通りということもあります。

退院後、家族や友人など周りの人のフォローが無ければ、すぐに再発するのが恐ろしいところです。

早期発見・早期治療がベストだが、非常に難しいのが現実

がんをはじめとした様々な病において「早期発見・早期治療が良い」とされていますが、このアルコール依存症でも同じです。

家族など周りの方が早いうちに気付いて、早いうちに治療することで、体へのダメージや治療のコストも軽いもので済みます。

しかし、先述したように本人がそれを認めることが大前提であるため、早期治療と言うのは非常にハードルが高い、という現実があります。

相談は「精神保健福祉センター」がおすすめ

周りの方で、もしアルコール依存症の疑いがある、治療をした方が良いのではと思われる方がいる場合は、精神保健福祉センターという場所への相談がおすすめです。

そこは電話での相談を受け付けているので、まず不安があるというときは、一度電話をしてみてください。本格的な相談になる場合は、来所の必要がありますが、もちろんその予約も電話で可能です。

また、アルコール依存症専門の医療機関、クリニックもあるので、心当たりがあれば早めに、そういったところへ相談してみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属