お薬の飲み方って?食前・食間・食後の話#212

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今回は、お薬の飲み方の基本的なことについて。

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「食前」「食間」「食後」とは

市販薬、処方された薬、どちらにもありますが、薬を飲むタイミングが決められていることが多いと思います。

風邪薬では「1日3回毎食後」と言うのがとても多いはずです。

今回は、こうした食前食後、食間と言ったことについてのお話です。

 

食後は「食事のあと30分以内」

まず一番と言うぐらい例が多いと思われる「食後」のタイミングですが、これは「食事のあと30分以内」と考えてください。

ポイントが、30分以内に飲むということです。

たまに30分待ってから飲む、と言う方がいますが、これでは食後にはならないので、注意してください。

食べ終わってすぐに飲んでも大丈夫です。

 

タイミングよりも、きちんと飲むことが大切

ただ、実は食後というのは、薬剤師的にはあまり意味がないもの、とも考えています。単に、朝昼夕の1日3回決まった時間に飲んでほしいという思いのために、毎食後、としていることが多いのです。

最近では、朝ご飯を食べないとか、朝ご飯と晩御飯だけでお昼ご飯は本当に軽く済ませるなど、様々なライフスタイルがあると思います。

そういう方が、1日3回のお薬をもらって、ご飯を食べない時間があるからと言って薬を飲まず、1日2回などで済ませる場合があります。そういう場合は、薬の効果を得られにくく、効かないということもあります。

もし3食食べないから3回飲むタイミングがないという方は、食事を気にせずに、先に薬を飲んでしまってください。

特にお子さんの場合は、ご飯を食べてしまうと薬とお水が入る分がない、ということもあります。中高生はともかく、小学校低学年以下のお子さんは、ぐずったりしてとても大変かと思いますので、そういうときには食後がどうとかは考えずに、飲ませてしまって問題ありません。

 

漢方薬に多い「食間」「食前」

食間、食前というタイミングは、あまり見たことないかと思いますが、どちらも漢方薬に多く見られるものです。

漢方薬の説明書などには、食間または食前、とほぼ必ず書いてあります。

この食間が一番間違われやすいタイミングで、実際非常にわかりにくいと思います。

 

食間は「食事と食事の間」

食間の正しい解釈は「食事と食事の間」のことです。

具体的には、一番おなかがすいているタイミング、一番おなかに何も入っていない時、というイメージで大丈夫です。お昼ご飯から晩ご飯までの間などが多いかと思います。

自分も薬剤師になる前、学生時代はこの食間が分からず、食事中という意味で食間なのかなとも思いましたが、先輩から「それは食事中だ」って言われたことがあります。

食と食の間で、食間ということなので、もしこの表記を見たら、思い出してみてください。今は「食後2時間」という風に書かれていることが多いので、もしかしたらこれからはこの表記が増えてきそうです。

 

食前は「食直前」というものも

そして食前は文字通り、食事の前に飲むタイプですが、中には「食直前」というものもあります。

そもそも、なぜ食事の前後で薬を飲むのかと言うと、薬は胃の中に何かが入っているかどうかで、効き目が変わる可能性があるためです。

食前の場合は、ご飯を食べる20分から30分前、の事を指しています。

食直前の場合は10分前”以内”です。つまり飲んですぐご飯を食べるという形でも大丈夫です。

食直前は特に糖尿病のお薬など血糖値に影響するもので見られます。

もし、食事の前に飲む薬を飲み忘れてしまった場合は、食事中に飲んでも大丈夫です。普通に飲むのと比べたら効果は下がりますが、意味は充分ありますので、思い出したらすぐに飲みましょう。

 

食直後も、食後10分”以内”に飲む

そして、食直後も、食事を終えてすぐの時間で飲んでも大丈夫です。

もし、この食直後のお薬と、食後に飲むお薬の両方が処方された場合は、同じタイミングで飲んで構いません。

 

食前のお薬があって、ご飯を食べない場合

先ほど、食後のもののお薬で、ご飯を食べないという時があった場合は、好きなタイミングで飲んでしまう、とお話しましたが、この食前のお薬があって、ご飯を食べない時、2食で済ましてしまう場合は、お薬の種類によってまちまちなので、注意が必要です。

食べない場合は飲まないとか、食後〇時間で飲むように決めている、など本当に様々あるので、もしそういう薬が処方された場合は、必ず薬剤師かお医者さんに確認してください。

 

 

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属