Voicy更新しましたっ!
今回は前回などであえて触れなかった「医療用麻薬」について
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「医療用麻薬」とは
過去2回、普通の痛み止めと全身・局所麻酔で、痛み止めについてお話していきました。
その中でもほんの少しだけ登場してきた「麻薬」というものがあります。
今回はとくに医療で使われる「医療用麻薬」についてです。
麻薬の効き方
学校などでも、薬物に関する授業で度々触れられるかと思いますが、薬物がどうやって体に効いていくかというと、「脳」に直接作用していきます。
中枢神経の部分に痛みが伝わらないようにする、という働きです。
単に炎症を鎮めるとか、神経の一部をとめて感じなくさせる、というのよりもはるかに大きい効果があります。
痛み止めの中でも非常に強いものですが、例えば「ガン」の痛みを和らげるのにとても有効です。
麻薬だけ飲んで使うことはなく、治療の一環として、一般的な消炎鎮痛剤のような痛み止めや、がんの治療薬と組み合わせて使うことが基本です。
副作用も強力で、依存性の問題も当然あるため、使用の際は必ずお医者さんのもとで、治療の中で使われます。
ただ、がんの治療のために使われる場合は、依存性はなく、安全に使えることが実証されています。
摂取量の上限は決められていない
ちなみに、医療用麻薬は、摂取量の上限という物は決められていません。
通常のお薬は、どれくらいの量で効いて副作用が出るかは個人差が少ないです。麻薬においては副作用などの効き方の個人差が、非常に大きいため、上限が決められていません。
副作用が出ないように、健康に影響がないように、厳重に管理されて使用していきます。
流通も非常に厳しく、がん治療などで麻薬を扱っている病院では、麻薬を入れる専用の金庫に入れて、常に数量をチェックしています。
これをしないと麻薬取締法に抵触するため、必ず行います。
痛み止めではなく、咳止めもある
麻薬は痛み止めが主な使い方ですが、実はいわゆる「咳止め薬」もあります。
まず咳止めは、正式には「麻薬性鎮咳薬」といい、コデインリン酸塩とか、ジヒドロコデインリン酸塩と言った成分で構成されている薬です。麻薬性との名前通り、麻薬と同じような効き方をします。
中枢神経のところに、咳をつかさどる部分があります。
ここに薬を効かせて咳を止める、という薬です。
あまりにも咳がひどい場合に病院で飲んで、一時的に止めることがあります。
さらに、この成分は酷い下痢のときに下痢止めとして使うこともできます。
同じく中枢神経で腸の働きを司る部分があり、そこを止めるのですが、これは一つの副作用としてあった働きが転じて、用いられるようになりました。
この薬の副作用として、非常に強い便秘が起きるというものがあり、これを利用して下痢止めに使うようになりました。
薬の濃さで、麻薬か麻薬じゃないかが決まる
先述の成分は麻薬の成分となりますが、実は、薄めたら麻薬の扱いではなくなります。
例えばコデインリン酸塩が全体の10%含まれている薬は麻薬ですが、全体で1%であれば麻薬には該当しなくなります。
さらに言うと、麻薬には該当しなくなるため、コデインリン酸塩やジヒドロコデインリン酸塩は、市販の咳止めにも含まれています。
風邪を引いたとき、咳を止めたいときに、一定量を飲むのは大丈夫ですが、大量に飲むことで、麻薬特有の幸福感、満足感を得る、という方がいます。
これでは結果的に薬物乱用と全く同じことになり、一つの社会問題になっています。
これを防ぐために、一般的なドラッグストアや薬局では、こうした成分が含まれる薬は1回で1本か2本しか販売しないように定められています。
麻薬の副作用で出る眠気が目安
麻薬の副作用は、先述した幸福感、満足感、便秘以外だと、幻覚を見るとか、吐き気や気持ち悪さ、そして「眠気」があります。
眠気はお医者さんや薬剤師にとって、割と重要な副作用の一つで、眠気の作用でどれだけ薬が効いているかが測れるのです。
麻薬の副作用は強いものが多く、「呼吸が止まる」という副作用があります。
そこで、痛みがしっかりと止まるという量を見極めてるのに眠気を使います。
眠気が強く表れるほど、薬が効きすぎていて危険、となります。
現在の医療現場で使われている医療用麻薬であっても、使い方を間違えると命にかかわる事態になるため、高い専門性が必要で、お医者さんや病院も厳重に管理しなければならない薬です。
ただし、逆に考えると現在の医療現場でも、充分有用な薬であり、お医者さんの指示の下できちんと使う分に限ると、それほど心配することはありません。