冬場は血圧が上がりがち?高血圧に注意!#566

Voicy更新しましたっ!
今回は気温が下がってきたときこそ気を付けたい「血圧」のお話

健康情報を声で聞ける!
医療・健康ナビ なくすりーなはこちらから聞いてみて下さいね^^v

今こそ高血圧に注意

これから全国的に気温が下がり、冬本番を迎えます。

冬に気を付けたいことは様々ありますが、実は血圧も冬の方が上がりやすく、注意しておきたいことの一つです。

高血圧に関しては255回でも少し触れておりますので、そちらも併せてご覧いただければ幸いです。

少しおさらいすると、血圧が高いという状態は、血管の中を流れる血液の勢いが強いという状態です。

血液の勢いが弱すぎると低血圧、強すぎると高血圧、という風になります。

血圧が高いと様々な悪影響が

高血圧は特に中高年の方にとって大敵、と言われますが、例えるなら川の流れをイメージするとわかりやすいかもしれません。川には様々な形があると思います。

カーブが緩やかな部分や逆に急なところ等ありますが、水の流れが速い上にカーブが急な部分は、カーブの外側の方が流れが速いため、外側の土砂が削れて行き、年月とともに形が変わっていきます。

川が血管、そこを流れる水が血液だとした場合、これと同じように血管の壁にダメージが蓄積されて行くのです。

そして血管は文字通り管ですので、ダメージが限界まで溜まると、最終的に破れてしまうのです。

しかし、血管が破れる前に、血管が強い流れに耐えようとして太くなります。

これは血管そのものが太くなるのではなく、血管の壁が分厚くなります。

つまり血液が通る部分が、より狭くなっていくのです。

このことを「動脈硬化」と言います。

いわゆる有名な、脳梗塞や心筋梗塞と言った病につながりますが、実は腎臓にも影響が出ます。

水分を排出するために尿が分泌されますが、動脈硬化によって血液の流れが悪くなると働きがどんどん落ち、むくみの原因になるとか、心臓にさらに負担がかかるようになります。

このように血圧が高いと、体のあらゆる部分に悪影響が出るのです。

高血圧学会が発表する血圧の数字

血圧には一応のガイドラインがあり、数字で定められています。

家庭で、普段の生活の時に測った数字で、上が100から114mmHg、下が60から74mmHgで、「正常血圧」とされています。

この数値、そして以下にご紹介する数字は日本の高血圧学会が出した、高血圧の治療ガイドラインというとこからの引用で、2019年の数字になります。現状ではこれ以降は更新されていないため、これが現在の最新の目安となります。

ちなみにこれをどちらも大幅に下回ると低血圧という状態になります。低血圧は256回で触れておりますので、併せて参照いただければと思います。

次に、上が115から124mmHg、下が60から74mmHgほどが「正常高値血圧」となります。

わかりづらいですが、高めではあるものの正常の範囲内、という意味の数字です。

具体的に説明すると、上が124以下であれば血管や臓器にダメージが溜まらないものの、油断したら124を超える、という感覚です。

次が125から134mmHg、下が75から84mmHgが「高値血圧」になります。

これは正常ではなく高めの血圧という意味で、正常な血圧に比べると1.7倍ほど脳卒中や心筋梗塞のリスクが高いとされています。

この数字だと、食生活や生活習慣を見直して正常な血圧にするように意識してください。

また例えば、すでに肥満やメタボ気味だったり、糖尿病などの疾患があったりする場合では治療を始めることが推奨されています。

最後に上140mmHg以上、下が85mmHg以上だと「高血圧」となります。

正常血圧に比べて3.3倍ほど、脳卒中や心筋梗塞のリスクが高い数字で、いわゆる「高血圧」の状態はこの数字の状態のことを指します。

ちなみに、年齢や抱えている他の疾患によって、下げる目標ラインがある程度変わり、治療の度合いや方針も変わります。

血圧を測るのは難しい

前項のガイドラインの数字は全て、「家庭で、普段の生活の中で」測った血圧の数字です。

高血圧かどうかは、家庭内の落ち着いた環境の時にどういう数字なのかが極めて重要です。

そもそも血圧は、運動後に心拍数が上がるのと同じように高まるうえに、その時の心理状態や緊張、ストレスでも当然影響が出ます。

これは例えば、きちんと落ち着いていても、病院内で測るというだけで血圧に影響が出ることが非常によくあり、一般的に家と病院で5mmHgほど高く出ることが分かっています。

人によっては家と病院で20、30も違うということがあり、これは「白衣高血圧」と言われており、家では正常でも病院で測ると150や160という数字が出て、かなりの高血圧状態になるということです。

これは家庭内での数字が大丈夫であれば、治療の必要は無いタイプになります。

さらに言うと、この逆で、病院や健康診断では正常な血圧でも、家庭内で測ると高く出る「仮面高血圧」という状態もあります。

この場合は普段の食生活や生活習慣を見直す必要がありますが、健康診断でも引っかからないため発見が難しいタイプになります。

もし不安があれば、血圧測定機はいくつも市販されていますので、できれば普段から家の中で、血圧を測るようにしてみてください。

血圧は週平均で見るのがベスト

上記の事を踏まえて、血圧はできるだけ定期的に測って週平均での動きを見るのが一番確実です。

その日、その時間に測った血圧に一喜一憂する必要はありません。

おすすめの測り方は、1日2回、朝起きた時と寝る前に測るのが良いです。

朝はトイレは行っても大丈夫ですが、起きてからご飯を食べる前の1時間ほどの間に、起き上がって座って2分経ってから測る、というようにするのが一番良い測り方です。

夜も同じように、晩酌のお酒や食事のすぐ後、お風呂の直後などは血圧が大きく変わるので、それらから最低1時間は経過していて、安静な状態で測るようにしてください。

生活リズム的に難しい場合は、ある程度決まった時間、同じようなシチュエーションで継続して定期的に測るようにすると、血圧の推移が分かるので良いかと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属