検査用の下剤で救急搬送された
お笑いコンビの品川庄司の庄司智春さんが、大腸内視鏡検査の前日に検査用の下剤を飲んだところ、救急搬送されたことがあった、と自身のyoutubeチャンネルにて話していました。
これが改めてネットニュースとして取り上げられ、検査の下剤で急を要する事態が起こるのかも、と不安に思う方もいると思います。
今回はこのお話から、下剤でも起こり得る緊急事態について、少しまとめてみたいと思います。
庄司さんに起こったケース
今回のきっかけとなる、庄司さんのケースを詳しく見てみると、翌日に人間ドックで大腸検査を受ける予定があり、前日のうちに指示されていた下剤を飲んで就寝しました。
その後お腹が痛くなり、下剤が効いてきたのかなとしばらく様子を見ていたものの、痛みが強くなったためトイレに行きました。
すると、その後に手足のしびれや大量の汗、呼吸の異常などが出て、そのまま廊下に倒れ込んで動けなくなってしまったうです。さらに意識も遠のきそうな感覚があったため、家族に救急車を呼んでもらい、無事に処置を受けて回復された、ということです。
動画内の本人のお話では、病院では自律神経の反応に関するような説明を受けたものの、原因そのものははっきり分かっていないとのことです。
あくまでも動画内の情報のみですので、今回服用した下剤の種類は不明で、下剤の副作用の可能性も分かりません。
ただし、強い腹痛が来た後に冷や汗が出たり、意識を失いそうになることは充分起こり得ることで、仕組みも解明されています。
迷走神経反射の可能性
強い腹痛の後に冷や汗が出たり、息苦しくなったり、手足がしびれたり、意識が遠のいていくような症状が出る場合に考えられるのが、迷走神経反射です。
おなかの強い痛みや排便、トイレでの強いいきみなどをきっかけに自律神経が大きく反応してしまい、血圧が急激に下がったり、脈拍が遅くなったりすることで、脳に届く血液が一時的に減少することがあります。
これにより、気持ち悪さや冷や汗、顔面蒼白、目の前が暗くなる、ふらつくといった症状が起こることがあり、最悪そのまま意識を失ってしまうこともあるのです。
トイレで腹痛が起きたときだけではなく、採血や注射といった、痛みや緊張をきっかけに起こる場合もあります。
もう一つ、一般論として知っておきたいのが、過換気です。
強い痛みや不安によって呼吸が速くなりすぎると、血液中の二酸化炭素が減りすぎることがあります。
二酸化炭素は吐く息に含まれており、体から出る不要なものと思われそうですが、実は体内には一定量の二酸化炭素が必要になります。
過換気になって二酸化炭素量が減ると、息苦しさやめまい、手足のしびれ、手足のこわばりなどが出ることがあり、さらにそれによって呼吸が速くなると、二酸化炭素がさらに減って症状が強くなる、という悪循環に陥ることがあります。
これは本人が過換気だと判断するのは極めて難しく、別の病気によって呼吸が苦しくなっている可能性もあるため厄介な症状になります。
ちなみに一昔前には、過換気への対処として紙袋やビニール袋をを口に当てて呼吸する方法が知られていましたが、危険なため現在は推奨されていません。
下剤で迷走神経反射が起こる可能性は
今回のきっかけとなった、大腸内視鏡検査の前に飲む下剤についてですが、まずおさらいすると腸の中に便が残っていると大腸の粘膜を十分に観察できないため、検査前に下剤を使って腸の中をきれいにする必要があります。
これは通常の便秘の治療などで使用する下剤よりも量が多かったり、検査専用の腸管洗浄剤を使ったりすることがあり、どのお薬でどれぐらいの量で、いつ飲むかは個人によって異なるため、検査を受ける医療機関から指示された方法に従って、自己判断で量を増やしたり減らしたりしないでください。
その上で、下剤を飲んだ後にお腹が不自然にゴロゴロする、違和感がある、ある程度の腹痛が出るといったことはありますが、腹痛がかなり強いとか、吐き気や嘔吐がある、お腹がパンパンに張る、血便のように血が出るといった場合には、単なる下剤の作用だと決めつけず、検査を受ける予定の医療機関にすぐに連絡してください。
特に、下剤を飲んでも便がまったく出ずに腹痛や吐き気、冷や汗などが出ている場合には、腸閉塞のような別の重大な病気が隠れている可能性もあるため、特に注意が必要です。
そして、お腹の痛みで動けないとか、倒れてしまう、意識が遠のく、呼吸が苦しいといった、今回のケースのような明らかに強い緊急を要する症状が出ている場合は、すぐに119番へ連絡して救急車を呼んでください。
個人的な見解を言うと、大腸内視鏡検査の下剤でこのようなことが起こるのはほぼ見たことがなく、かなり稀なことと思いますが、全く起こらないとは言えないため、念のため注意しておくとよいかと思います。
また、過換気のような状態になった場合には、紙袋やビニール袋をかぶせるのではなく、まず倒れにくい安定した場所で楽な姿勢を取り、衣服を緩めるなどして、安心して落ち着ける環境を作ることが大切です。
呼吸は無理に大きく吸おうとするのではなく、できる範囲でゆっくりと、長く息を吐くことを意識します。
秒数で言うと45秒から1分ほどかけるのも良いかと思います。
もしもの際は焦らずに落ち着いて、意識して呼吸をしていただければと思います。
