秋の抜け毛はどこまで普通皮膚科に行くサインは?#1029

“抜け毛の秋”とは

最近TikTok配信で、ハゲてると言われることがあります。

礼をして頭頂部が見えるとき、確かに少し薄く、ハゲかけていると思います。

そこで思ったのが、実は秋と抜け毛には関係がある、ということです。

今回は抜け毛と、注意したい症状についてお話していきたいと思います。

秋らしさを感じるようになると、シャンプー後に排水口にたまる髪の毛が増えた気がする、床に落ちている髪の毛が気になる、と感じる人もいるかと思いますので、是非参考にしてみてください。

髪の毛のターンオーバーと季節の移り変わり

犬や猫などの動物は、冬毛という言葉があるように季節に応じて毛が生え替わります。

実はこれは人間でも同様に、毛の生え替わりに季節性があることを示す研究があります。

2009年に医学誌に掲載された海外の研究では、抜け毛について相談した女性800人を調べた結果、夏に休止期に入った髪の毛の割合が高くなるという傾向が確認されました。

髪の毛のターンオーバーは、成長を続ける成長期、成長が止まる退行期、毛が抜ける準備をする休止期というサイクルがあります。

休止期に入った髪の毛は、すぐに抜けるというわけではなく、数か月かけて自然に抜け落ちるため、夏に休止期に入った髪の毛が秋になって抜ける、という関係が考えられるのです。

またもう一つ、夏の紫外線による頭皮への影響も、季節性の抜け毛に関係している可能性も指摘されています。

これらの研究結果はあくまでも海外の研究の一つですが、秋に抜け毛が増えたと感じるのはそれほど不自然なことではないのです。

自然な抜け毛の目安

一般的に健康な人では、目安として1日50~100本程度は自然に抜けます。

もちろん、個人差や洗髪の頻度、生活環境などによっても変わりますので、1日に150本以上抜けたからといって、それだけで病気とは限りません。

大切なのは、以前と比べて明らかに抜け毛が増えていないか、分け目が広がっていないか、地肌が見える範囲が大きくなっていないかといった変化ですので、どの程度抜けているのか、以前と比べて変化があるのかを確認してみてください。

皮膚科を受診する目安

抜け毛で皮膚科を受診する目安としては、大きく分けて4種類あります。

まず、頭全体から急に抜け毛が増えるパターンで、この場合は休止期脱毛症の可能性があります。

髪の毛の生え替わりのサイクルが変化し、休止期に入る毛が増え、まとまった量の髪の毛が抜けた状態です。

例えばインフルエンザのような高熱が出る病気にかかった後や、大きな手術を受けた後、出産した後、強いストレスを経験した後、急激なダイエットで体重を落とした後、といったタイミングで起こることがあります。

特徴的なのは、原因となる出来事が起きてからすぐに抜けるのではなく、2~3か月ほど経過してから抜け毛が増えることで、本人はその原因となった出来事を忘れてしまっている場合もあります。

例えば多い例だと、夏前に無理なダイエットをして体調を崩し、秋になってから抜け毛が増えるといったケースです。

原因が解消してストレスが無くなれば自然に改善することも多いですが、髪の毛のボリュームが元に戻るまでには、数か月以上かかることもあります。

明らかに薄毛が進行している場合や、明らかに長く続く場合、原因に何も心当たりがない場合は、皮膚科さんに相談していただければと思います。

二つ目は、分け目が徐々に広がっていくパターンです。これは女性型脱毛症と呼ばれる状態で、頭頂部の地肌が目立つようになったり、髪の毛を束ねたときに以前より少なく感じたり、髪の毛一本一本が細くなったりするという特徴があります。

変化がゆっくりと進むため、自分では気づきにくいことも多く、原因も年齢や体質といった、さまざまな要因が関係すると考えられていますが、分け目が広がってきたと感じたら、一度皮膚科で確認してもらうベストです。

三つ目が、頭の一部分だけが丸く抜けるパターンです。一昔前には10円ハゲとも呼ばれていた、円形脱毛症もひとつですが、必ずしも円形とは限りません。

円形脱毛症は正確に言うと、体を病原体などから守る免疫の仕組みが、誤って髪の毛を作る毛包を攻撃することで起こる自己免疫性の病です。

ストレスが関係する場合が多いですが、ストレスだけが原因で起こるというものではありません。

小さな脱毛斑だと自然に改善することもありますが、脱毛部分が広がる場合や、複数の箇所に抜け毛が生じる場合は治療が必要ですので皮膚科さんにかかっていただければと思います。

最後の四つ目は、抜け毛とともに頭皮にも異常があるパターンです。

頭皮が赤くなっているとか、強いかゆみや痛みがある、かさぶたができている、膿が出ているなどの症状がある場合は、頭皮そのものに炎症や感染症が起きている可能性があり、原因によっては治療が遅れるとその場所の毛が生えにくくなる場合もあるため、早めに皮膚科を受診してください。

ちなみに、抜け毛が気になってきたら、体全体の状態にも目を向けてみてください。

抜け毛は鉄不足や甲状腺の病気など関係していることもあり、疲れやすくなったとか、動悸がする、体重が大きく変化したといった症状もある場合には、そのこともお医者さんに伝えてください。

ヘアケアについて

最後に、抜け毛が気になってきたときに知っておきたいのは、生活習慣を整えたり、シャンプーを変えたりすれば、すべての脱毛が治るわけではないということです。

ヘアケアや食事は基本であり、言うまでもなく重要ですが、脱毛の原因によってはお医者さんの診断や治療が必要になります。

以上を踏まえてヘアケアについてまとめると、例えばシャンプーをすると髪の毛が抜けるからできるだけ洗わない方が良い、と考える方がいますが、洗髪時に抜ける髪の毛の多くは、すでに自然に抜ける段階に入っていたものです。

ですので、抜け毛を心配して洗わないようにするのではなく、自分の頭皮に合ったシャンプーで、優しく洗うことを心がけるのが最善です。

また髪は爪を立てて強くこすったり、ブラッシングで髪の毛を強く引っ張ったり、髪をきつく結び続けたりすると、頭皮や毛髪への負担につながりますので、余計な負担をかけないようにすることが、基本的なヘアケアになります。

食事で言うと、髪の毛の主な構成成分であるタンパク質を十分に摂ることが大切ですので、お肉、魚、卵、大豆製品などを日々の食事に取り入れるのがベストです。

もし食事が炭水化物中心になっている場合は、ゆで卵や豆腐、魚などを一品加えるだけでも、栄養バランスを整える助けになります。

また当然、鉄や亜鉛などのミネラルも髪の毛の健康に関係します。

不足がある場合には改善が重要ですが、過剰に摂取すると健康に悪影響を及ぼす可能性もあるため注意してください。

育毛剤と発毛剤について

最後に、市販の育毛剤と発毛剤の違いについてですが、まず育毛剤の多くは医薬部外品で、頭皮環境を整えたり、抜け毛を防いだりすることを目的としたもので、発毛剤は発毛を目的とした医薬品で、代表的な成分にミノキシジルがあります。

例えば、大正製薬のリアップシリーズにはミノキシジルを配合した発毛剤があり、製品によって対象となる脱毛症や使用条件が異なります。

ミノキシジルの外用薬は、女性型脱毛症などの脱毛症には効果的ですが、どのような抜け毛にも使えるわけではありません。

急に大量の髪の毛が抜けた場合、円形に抜けている場合、頭皮に炎症がある場合、原因がよく分からない場合などには、自己判断で発毛剤を使うのではなく、皮膚科さんを受診してください。

また、ミノキシジルの外用薬は、使用してすぐに効果が現れるものではなく、生え替わりのサイクルがあるため、女性型ではおよそ6か月程度、男性型で1年程度は継続して使用するのがベストとされていますので、根気強く使い続けていただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属