見えてるから大丈夫?40歳以上は20人に1人の緑内障#1027

40歳以降になったら要注意な緑内障

前々回、10月10日は世界メンタルヘルスデーということで、心の不調について取り上げましたが実はもう一つ、目の愛護デーでもあります。

1010を横向きにしたら眉毛と目を表す、ということで定められましたが、今回はこのことに関連して、40歳を過ぎたら一度は知っておいてほしい目の病気、緑内障についてご紹介します。

緑内障は最後に取り上げたのが2020年頃で、しばらく扱っておりませんので、このタイミングでもう一度まとめていきたいと思います。

緑内障とは

簡単に緑内障という病をまとめると、目で受け取った情報を脳に伝える視神経が少しずつ傷つき、見える範囲である視野が徐々に欠けていく、という病です。

日本では40歳以上の約20人に1人、割合にして約5%が緑内障とされており、決して珍しい病気ではありません。

初期には自覚症状がほとんどないのが特徴で、片目の視野の一部が欠けても、両目で見ていると互いに補い合うため、非常に気付きにくいという特徴があります。

そのため、見えにくくなったら眼科に行けばいいと考えてしまうと、発見が遅れてしまう可能性があります。

また、緑内障は眼圧が高くなる病というイメージを持つ人も多いと思います。

実際に眼圧が高くなるという症状もありますが、実は日本人の場合だと、眼圧が正常範囲内なのに緑内障を発症する、正常眼圧緑内障も多くみられます。

つまり、健康診断などで眼圧が正常と判定されても、緑内障ではないとは言い切れないということです。

そこで重要になるのが眼底検査で、この検査によって目の奥にある視神経の状態を確認し、緑内障に特徴的な変化がないかを調べます。

その結果、視神経乳頭陥凹拡大と診断された場合は、視神経に緑内障を疑う変化がみられますので、眼科で精密検査を受けていただければと思います。

緑内障は進行を防ぐことが唯一

緑内障の治療についてですが、簡単に言うと神経が傷付いている病ですので、脳神経などと同じく、現在の医療では一度傷ついた神経を元どおりに回復させることはできず、回復することはできません。

ですので、現時点での治療の目的としては、残っている視野をできるだけ長く守り、これ以上視野が欠けるのを防ぐことに尽きます。

その方法として代表的なのが、眼圧を下げることです。

前述の正常眼圧緑内障の場合であっても、実は正常範囲に眼圧が収まっているからといって、視神経への負担が十分に小さいとは限らないということがあります。

眼圧には個人差があり、その人の視神経にとって負担となる眼圧は一人ひとり異なるため、現在の眼圧からさらに下げることで、進行を抑えられる場合があります。

まず眼圧を下げる専用の目薬を使用して、それでも効果が薄い場合には、レーザー治療や手術を検討します。

ちなみに、目薬は1回の点眼量は1滴で十分で、何滴も入れることで効果が増すということはありません。

薬液が目からあふれて無駄になりますので、1滴入ったら軽く目を閉じて、目頭をやさしく押さえると、薬液が鼻や喉の方へ流れるのを抑えられて、充分に行き渡ります。

緑内障用の目薬は少し高価ですので、注意して注していただければと思います。

もし複数の点眼薬を処方されて使う場合は、連続して使うと先に入れた薬が洗い流されることがあるため、基本的にはおよそ5分以上の間隔を空けるのがベストです。

ただし、お薬の種類によって使用方法が異なる場合もあるので、その際は医師や薬剤師の指示に従います。

併用するお薬に注意

そして、緑内障を治療中の方が注意したいことの一つに、使用できるお薬の種類があります。

市販の風邪薬などでも、現在の緑内障のタイプによっては注意が必要な成分が含まれていることがあります。

たまにお薬のパッケージに、緑内障の方は医師、薬剤師または登録販売者に相談してください、といった注意書きがあると思いますが、こうしたことがあるためです。

緑内障にはいくつかのタイプがあり、代表的なものが開放隅角緑内障と閉塞隅角緑内障の二つです。

人間の目の中では房水という液体が作られ、隅角と呼ばれる部分を通って排出されます。

これが開放隅角緑内障の場合では、房水の出口に当たる隅角が開いていますが、閉塞隅角緑内障では隅角が狭くなったり閉じたりすることで、眼圧が急激に上昇するという危険があります。

閉塞隅角緑内障の場合だと、一部のお薬の作用によって隅角がさらに狭くなり、詳しくは後述しますが急性緑内障発作という重大な事態を引き起こすおそれがあるのです。

日本人では開放隅角緑内障や正常眼圧緑内障が多いですが、個人の状態によって注意点は異なりますので、自分がどのタイプの緑内障なのかを把握して、市販薬を使用する際には注意が必要かどうか、必ずお医者さんか薬剤師に確認していただければと思います。

とにかく視野の欠けの早期発見を

緑内障を予防できる方法は、現在のところ確立されておらず、特定の食品を食べたり、サプリメントを摂取したりすれば発症を防げる、という確かな方法もありません。

ですので、緑内障はとにかく早期発見と進行の抑制が重要になります。

タイトルにもあるように、40歳を過ぎたら注意が必要ですので、もし見え方に異常を感じていなくても、定期的に目の検査を受けることを意識するのがベストです。

急性緑内障発作が起こったら

最後に、緑内障で特に注意したいのが、急性緑内障発作です。

これは前述の、閉塞隅角緑内障などで房水の出口が急に塞がり、眼圧が急激に上昇することで起こるものです。

症状としては、片目の強い痛みや目の奥の痛み、急なかすみ目、充血、頭痛、吐き気や嘔吐などが現れます。

こうした症状が突然起きた場合には、疲れ目だろうとか、少し休めば治るだろうという風に自己判断せずに、すぐに眼科か救急の医療機関を受診してください。

眼圧が急激に上がってしまうと、視神経が短時間で深刻なダメージを受けて緑内障を一気に進行させてしまったり、最悪そのまま失明するおそれもありますので、すぐに眼科のお医者さんに掛かっていただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属