百日咳の患者さんが急増
今年も強烈な夏を迎えましたが、細菌、「咳がなかなか止まらない」と訴える患者さんが増えています。
いわゆる百日咳で、2025年の累計報告数は既に5万件を超えており、2024年の約4,000件だったのと比べると、単純計算で10倍と爆発的に増加しています。
百日咳は子どもの病気と思われがちですが、近年では大人への感染が非常に多くなっています。
今回はこの百日咳について、お伝えしていきます。
百日咳と風邪との違い
百日咳とは、百日咳菌という細菌が原因で起こる感染症です。
最初は風邪に似た軽い症状で始まりますが、次第に咳が激しくなり、いったん出ると止まらなくなるという発作性の咳が起こるのが特徴です。
喘息のように、ヒューヒューと独特の音が鳴る呼吸音が出ることもあるほか、熱が出ないまま咳だけが続くというケースもあり、風邪との見分けがつきにくいのが厄介な点です。
咳がおよそ2、3週間以上続いている場合は百日咳を疑って、早めに病院を受診することが大切です。
感染力が強いという特徴も
百日咳はもともと感染力が強いのが特徴で、日本では生まれて乳幼児の段階から合計で4回ほどワクチンを接種するようになっています。
しかし、その免疫はおよそ5年で半減し、10年で亡くなるとされており、一般的な大人ではワクチンの効果が無くなっている可能性が非常に高いのです。
ただ、大人が感染しても重症化はしにくいですが、周囲への感染力が非常に強く、百日咳は飛沫感染によって広がるため、免疫力が弱い乳幼児や高齢者に感染すると、呼吸困難やけいれんなど命に関わる症状に発展することがあります。
感染してもただの風邪と思って放置してしまうと、家族や周囲の人に広げてしまうリスクがありますので、充分に注意してください。
高齢者やお子さんが感染した際、咳を出す体力が少ないことがあり、呼吸がおかしくなったり、熱も無いのに不自然にぐったりしている時は百日咳の可能性があり、感染しても必ずしも咳があるとは限りません。
市販薬を飲んだり安静にするなどで、1週間程度様子を見ても治らずに2週間以上経つとか、むしろ酷くなっている疑いがある時はお医者さんに相談してみてください
百日咳の治療と予防のポイント
百日咳の治療では、原因となる百日咳菌を殺菌するために抗菌薬が使用されます。
症状が重くなってから薬を飲むのは、殺菌に時間がかかりますので、百日咳かもと思ったときは出来るだけ早めに相談するのがベストです。
感染予防については新型コロナのように、飛沫感染が感染経路ですので、こまめな手洗いやマスクの着用、咳エチケットの徹底、換気が基本となります。
ワクチンについても、受け付けている医療機関はありますので、心当たりがある方は是非接種を検討していただければと思います。