耳鳴りで悩む患者さんが
先日、ある患者さんが耳鼻科の帰りに立ち寄られ、耳鳴りについてお話しました。
耳鳴りがどうにもならないとおっしゃっていて、一度気になりだすとずっと続いているように感じるとか、なかなか治らない」といった方はとても多いです。
耳鳴りという症状は言葉で説明すると、実際には周囲に音がしていないにもかかわらず、ジーとかキーンといった音が聞こえているように感じる現象です。
日本では人口のおよそ15%の方で心当たりがあり、特に高齢者においては3人に1人が耳鳴りを経験しているとされています。
今回はこの耳鳴りについてまとめて行きたいと思います。耳鳴りは前回の老眼にも並んで、老化とともに起こりやすい症状ですので、もし心当たりがある方は是非ご覧いただければと思います。
耳鳴りで聞こえる音の正体
耳鳴りで聞こえる音は、簡単に言うとは内耳や聴神経の異常によって、脳が誤って音を作り出してしまっているために起こります。
加齢による聴力の低下以外でも、ストレスや疲労、気圧の変化、そしてイヤホンの長時間使用など、さまざまな要因が関係していると考えられています。
もし就寝前や静かな場所で症状が起こる場合は、睡眠不足などで生活の質にも関わって来ます。
耳鳴りの症状は一時的なものであれば特に問題はありませんが、長く続く場合は体から何らかのSOSとの可能性がありますので、注意してください。
自然の音を聞いて症状を和らげる
耳鳴りの症状は、基本的には気にしすぎないで気分転換するなどで対処しますが、どうしても気になる場合には、音響療法という方法があります。
川のせせらぎや雨音、風の音などをBGMのように流して聞いてみると、耳鳴りに意識が向かなくなり、気にならなくなるという効果があります。
また、原因として多い「疲れ」や「肩・首のこり」を解消したり、ストレッチや十分な睡眠、蒸しタオルで耳周辺を温めて血流を促すといったことも治療になります。
そして、カフェイン・アルコール・喫煙といった刺激物の摂取は耳鳴りを悪化させる可能性があるため、控えるのも手です。
病院に行くサインとしては、片方の耳だけ耳鳴りがするとか、めまいがする、耳鳴りだけではなくその他の音が聴こえづらいなどがある場合は耳鼻科のお医者さんに相談してください。
突発性難聴という可能性があり、早期の治療が重要になりますので、注意していただければと思います。
耳の疲れをとって予防を
耳鳴りは、平たく言えば耳の疲れによって起きますので、耳の負担を減らすことが予防につながります。
例えば、近年は若い世代でも耳鳴りを訴える方が増えてきていますが、これはイヤホンやヘッドホンで大音量で聞くことが日常化し、知らず知らずのうちに耳に負担をかけてしまっているケースが多いためです。
音量は外の音が少し聞こえる程度がベストで、長時間の使用を避ける工夫も大切です。
そして当然、栄養バランスの取れた食事や睡眠と言った基本的なことも重要で、例えば神経の働きをサポートするビタミンB12やマグネシウムは、聴覚神経の誤作動を抑える働きが期待されます。
また、適度な運動も耳鳴り予防につながり、ウォーキングや軽いストレッチ程度だけでも血流が促進されますので、おすすめです。
特にこれからの季節は、台風の接近などによる気圧の急変や寒暖差の影響を受けやすい時期でもありますので、出来るだけ普段から規則正しい生活を心がけていただければと思います。