涼しくなると血圧が上がる?秋に見直す。高血圧の基本#1022

血圧の相談が増加

最近、ちょっと血圧が上がってきた、という相談を受けることが増えてきました。

まだ暑い日が続いているので、血圧が上がってくるには少し早いようにも感じますが、気温が下がってくると実際に血圧は上がりやすくなります。

今回は今一度気を付けていきたい、血圧について詳しくおさらいしていきたいと思います。

温度差による血圧の変化

一般的に、暑いと血管が広がることで血圧は下がり気味になり、寒くなってくると血管が収縮し、血圧が上がってきます。

これはある研究でも、夏と冬では上の血圧が平均で5~7程度違うという結果が出ています。

例えば、もともと高血圧の傾向がある方の場合、夏の間は血圧が少し落ち着いていたことで安心していたところ、秋から冬にかけて、なぜかだんだん上がってきた、と驚くこともあります。

そもそも血圧とは血液が流れる際に血管の壁を押す力のことで、その力が高いと高血圧、低い状態と低血圧となります。

そして、低すぎると体がだるい、起きたくても起きられないといった不調が起き、高すぎると血管に強い負荷がかかり、さらに血液を流すための圧力が必要になる、という悪循環が起きます。

血管壁が厚くなるとか、血管の内側が狭くなるといったことが起き、結果として詰まりやすくなり、例えば細い血管が多い腎臓などにも影響が及ぶ可能性があります。

そして高血圧は自覚症状がほとんどないため、具合が悪くなったら気をつけるというものではなく、血圧を測って初めて気づくものであり、気づかないうちにさまざまな影響を及ぼしている、という点が非常に厄介なのです。

正常血圧とは

血圧は数値で表せられ、一昔前には140を超えると高血圧、最近は130を超えたら高血圧、と言われていました。

直近のものだと2025年に、日本高血圧学会より「高血圧管理・治療ガイドライン2025」が公表され、最新の情報が公開されています。

ただ、まず前提として重要なのが、高血圧と診断する基準と、高血圧の治療を受けている人が目指す血圧の数値は別物ということです。

まず今回のガイドラインにもある高血圧の診断基準は、病院や健康診断などで測定する診察室血圧において、上の血圧が140以上、下の血圧が90以上、自宅などでリラックスして測る家庭血圧では、上が135以上、下が85以上、とされています。

簡単に言うと、病院で測る場合と家庭で測る場合とで基準が異なる、ということですが、これは医療機関で緊張して血圧が上がる白衣高血圧が考慮されているためです。

病院で、お医者さんなどの立ち合いのもとで緊張して測る血圧と、家庭で日常生活の中で測る血圧とでは数値に差が出る可能性があるのです。

診断基準と治療目標の数値

以上を踏まえて現在のガイドラインで130という数字は、現在高血圧の治療を受けている人が目指す血圧の目安となっています。

一般的な目標として、診察室血圧で上が130、下が80未満、家庭血圧では上が125、下が75未満が推奨、とされています。

少しややこしく感じるかと思いますが、単純に140未満なら問題ない、130を超えたら高血圧、というものではなく、診断基準の数値と治療目標の数値とが存在するということです。

さらに言うと、治療目標についても全員に同じ数値を無理に当てはめればよい、ということはありません。

例えば、もともと160から170mmHg程度だった人が、お薬などを使って急に血圧を下げると、その人にとっては低血圧状態となるため、だるさや立ちくらみの症状が出て生活に支障が出る場合もあります。

こうしたことは個別目標として、その人に合った血圧を保つ、ということが必要になります。

一般的な数字の目安はありますが、それをすべての人に機械的に当てはめるのではなく、一人ひとりに合った数値を考えて、改善をしていきます。

朝起きた時と夜に測る

血圧は何よりも、継続して定期的に測って、変化を見逃さないことが重大なポイントになります。

特に、すでに高血圧の薬を飲んでいる方や、健康診断などで血圧が少し高めですね、などと言われてしまい、血圧への不安がある方は是非、朝と夜に血圧を測ることをおすすめします。

できれば最低でも1週間程度、毎日同じような条件で測ると、血圧の変動が分かりやすくなります。

朝は起きてから1時間以内を目安に、トイレを済ませて朝食やお薬を飲む前に測るのがベストです。

ただし、トイレを済ませてすぐに座って測るのではなく、椅子に座ったまま1分か2分程度休み、落ち着いてから測定するとなお良いです。

夜もできるだけ決まった時間に、リラックスした状態で測ります。

お風呂の直後は血管が広がって血圧が低く出やすいため避けて、食事の後でお風呂に入る直前などで、毎日同じ条件にそろえるとベストです。当然ですが、飲酒も血圧が変動しやすいため、お酒を飲んだ後にすぐに測定するのは避けてください。

さらに可能であれば、朝も夜も1回だけではなく、2回ずつ測定して、その平均の数字を見る方法もあります。

血圧は心理的な影響も受けやすいため、複数回測ることで一時的な変動を把握しやすくなります。

こうして1週間ほど記録して、その平均値や日々の変動を確認することが、血圧管理では重要になります。

塩分量に要注意

最後に、血圧管理では生活習慣も大切ですが、やはり充分に意識したいのが塩分です。

ガイドラインでは、高血圧の人は食塩を1日6グラム未満にすることが推奨されていますが、実際に自分がどれだけの塩分を摂っているのかを把握するのは非常に難しいです。

そこでまず目安になるのが、食品のパッケージに表示されている食塩相当量です。

それを見て調理をしたり、食事量を見直すとか、ラーメンやうどんなどは塩分が多くなりやすいため、麺類を食べる際にはスープを飲み干さないことも一つの手です。

またもう一つ食品のポイントとして、ハムやソーセージ、漬物、カップラーメンといった、塩分の多い食品を同じ日に重ねて食べすぎないという手もあります。

運動も重要でが、激しい運動をする必要はなく、できれば30分程度のウォーキングを続けるのがベストで、まとまった時間を確保するのが難しい場合は通勤時にいつもより少し歩くとか、エレベーターではなく階段を使うなど、日常生活の中に運動を追加する方法で構いませんので、是非継続して、習慣づけて行くと良いかと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属