下痢は止めるの?止めないの?原因と対策は?【リスナーからの質問】#849

下痢は止めないほうが良い理由

先日コメントにて、下痢についてのものをいただきました。

外出先でトイレに駆け込むことが多く、突然の下痢に悩むことが多いというものでした。

下痢というとノロウイルスや食中毒などに関連して、時折触れていますが、今回は下痢そのものについて、まとめて行きたいと思います。

下痢の種類と原因

下痢の種類は大きく分けて4種類あります。

まず、浸透圧性下痢があります。消化されにくい物質が腸内に残り、それが水分を引き込むことで、水の多い便となります。

消化されにくい物質が水分を含むことで、そのまま排出されます。この原因になりやすいのが、人工甘味料やアルコールです。

次に分泌性下痢は、通常は大腸で余分な水分が吸収されるため、便の水分量は少なくなりますが、腸が細菌やウイルスに反応して、大腸内に水分を出してしまい、便に大量の水分を含ませてしまいます。

ノロウイルス感染などによって起こる下痢は、この分泌性下痢に該当します。

蠕動運動性下痢は、腸の動きが何らかの問題によって速くなりすぎてしまい、水分が大腸内で吸収されないまま排出された状態です。

この原因はストレスが主で、いわゆる過敏性腸症候群によって起こる下痢の正式名となります。

最後の滲出性下痢は、腸内で何らかの炎症が起き、血液や粘膜が便に混じり、それによって水分が多い便になるというものです。食中毒や何らかの感染症で起こることもありますが、潰瘍性大腸炎など、重い病のサインの可能性もあるので注意が必要です。

下痢の時は水分を摂りすぎないこと

下痢が続く場合、まずは水分摂りすぎないように注意してください。

全く食べないのはおすすめしませんが、出来るだけ飲食は控えて、脱水を防ぐために経口補水液を少しずつとって、安静にして治してください。

やはり、感染症が原因の下痢の場合は、ウイルスを体外に排出する必要があるため、下痢止めは使用せずに、OS-1のような経口補水液をとって水分補給をしつつ、下痢を出し切ってウイルスを排出するのがベストです。

ただし、ストレスや食べ過ぎなどによって起こる一時的な下痢であれば、市販薬で下痢を止めるのも有効です。

製品名で言うとストッパ下痢止めEXなどが効果的ですが、ストレスによる下痢はお薬でも効かないことが多いため、もし市販薬でもあまり治らない場合は、お医者さんに診てもらうのが確実です。

日常生活で、トイレに駆け込む回数が多いのはかなりの負担ですので、その場合は一度病院でしっかりと治してみるとか、ストレスの根本へ対策するのが大切です。

また、食べすぎや消化不良による場合は、ビオフェルミン止瀉薬が便利です。

ちなみに下痢止めではなく整腸剤という意味では、強ミヤリサン錠という、酪酸菌を主成分としたお薬で、こちらもおすすめです。

ストレス対策と食生活の見直し

最後に下痢の予防についてですが、やはり日頃の食生活とストレス管理が何より重要になります。

ストレス対策は、これまでも度々お伝えしているように、難しいこともありますが、まずは自分の好きなことをする時間を作る、ということがポイントです。

そして、できるだけ時間とお金がかからないことで、いくつも手段を持っておくことで、気分転換ができ、ストレスを抱え込むことを防げます。

食生活については食物繊維のものや発酵食品を適度に食べることで、腸内環境が整うため、下痢の予防になります。

先ほども挙げたミヤリサンなど、整腸剤によって整えるのも一つの手です。

また、ノロウイルス対策なども下痢予防になります。

胃腸炎を引き起こすウイルスのほとんどは、手洗いの徹底や食品の加熱処理によって大きく防げますので、トイレの後や食事前には手洗い、手指消毒を入念に行ってください。

ノロウイルスにはアルコールが効きにくいので、ノロウイルス用の消毒液を活用するのももちろん効果的です。

冬場はインフルエンザも多く、コロナの脅威もありますので、是非、今後も手洗いの習慣を続けていただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属