春に旬を迎える梅
春の訪れを告げる花といえば、桜が有名ですが、もう一つ春の風物詩として欠かせないのが梅です。
桜よりも少し早い時期に咲き始めますが、実は梅は桜と同じバラ科サクラ属の植物であり、日本では古くから厄除けや長寿の象徴として神社などに植えられてきました。
また、梅は単なる観賞用の花ではなく、健康食品としても優れた効能を持つことから、民間療法でも広く活用されてきました。
今回はまた少し趣向を変えて、この梅についてまとめて行きたいと思います。
古来から活用されてきた梅の実
梅と言えば、やはり梅干しや梅酒に代表されるように、実の活用が重宝されてきました。
梅の実は、未熟なうちに収穫され、加工して利用するのが一般的です。
先述のように梅干しや梅酒、梅肉エキスなどがありますが、歴史を遡ると平安時代にはすでに、梅が健康維持のために利用されていた記録があります。
例えば、風邪のひき始めには梅肉エキスをお湯やお茶に溶かして飲むという習慣は、すでに古来からあり、梅の持つ抗菌作用が体調を整えるのに役立つことが分かっていたと言えます。
また、お弁当に梅干しを入れるのは、単なる味のアクセントや薬味ではなく、梅干しの持つ強い抗菌作用が食品の腐敗を防ぎ、食中毒を予防する役割を果たすという面もあります。
さらにおまじない的なものですが、頭痛の際にはこめかみに梅干しを貼ると痛みが和らぐといわれることもあります。
このように、梅は日本の伝統的な生活の中で、さまざまな形で活用されてきました。
梅の健康効果
梅の健康効果ですが、梅の実にはクエン酸が豊富に含まれており、優れた疲労回復効果があります。
また、酸っぱい梅を思い浮かべるだけで唾液が分泌されることがあるように、梅の成分は消化吸収を促す働きもあり、胃腸の働きを助けます。
また前述のように、梅肉には強い抗菌作用があることから、腸内環境を整える効果もあり、食中毒の予防だけでなく、腸内の悪玉菌の増殖を抑え、消化器系の健康を維持するのに役立ちます。
抗酸化作用もあるため、肌の老化を防ぐとともに、生活習慣病の予防にもつながります。
ですので、風邪の初期症状には、梅茶などの形で摂取することで、免疫力を高める効果が期待できます。
一方で梅の花には特に薬効は無く、鑑賞以外で使われることはありません。
梅の適量と注意点
そしてやはり、梅も摂りすぎるのは危険で、例えば梅干しには塩分が多く含まれているため、高血圧の人は摂取量に注意が必要です。
一般的には、1日に1〜2個程度の梅干しを摂取するのが適量とされており、塩分の摂取を控えたいときは減塩タイプの梅干しを選んで、1日1個程度にするのも手です。
また、梅に含まれるクエン酸は、過剰に摂取すると胃の粘膜を刺激し、胃もたれや胃痛を引き起こす可能性がありますので、空腹時に大量に摂取することは避けてください。
さらに、未熟な青梅にはアミグダリンという成分が含まれており、これが体内で分解されると有害物質を生成するため、生食はしないでください。加工された梅製品であれば問題無いですが、青梅をそのまま食べることは食中毒を引き起こす可能性があります。
ちなみにもうひとつ、ある梅肉エキスを主成分としたサプリメントに、ドーピングの禁止物質が含まれていたということがありました。もし何らかの競技をしているなどで、ドーピング検査を受ける/ような場合で梅肉エキスのサプリメントを活用する場合は注意してください。