暑さに負けない体を作ろう!暑熱馴化の方法と夏を快適に過ごす秘訣#803

暑熱馴化で夏を乗り切る

全国的に急激に暑くなってきましたが、本格的な夏を迎える前から出来る、体の準備があります。

それが暑熱馴化(暑熱順化)です。

簡単に言うと、体が暑い環境に慣れるための、途中の段階という意味です。

暑い環境に、少しずつ体を慣らしていくことで、体温調節が無理のない動きになり、汗をかきやすくなります。

汗をかきやすくなると、体温が下がりやすくなるため、結果として、暑さに耐性を持った体に変わる、ということです。

熱中症や夏バテについては、毎年折に触れてまとめておりますが、今回はこの暑熱馴化について、ご紹介していきたいと思います。

熱中症のリスクを減らせる

暑熱馴化最大のメリットとなるのが、熱中症のリスクを下げるという点です。

まず前述の、汗をかきやすくなるというのは、汗を出す汗腺という器官の働きが活発になるためです。

汗腺が活発になるため、体の熱を効率的に放出するようになり、普段よりも熱がこもらない体質に変わるのです。

暑熱馴化を具体的に説明すると、例えば涼しい室内などに長時間いるなど、暑いところにはなるべく行かないで過ごすことは十分可能かと思います。

しかし、そうした場合で夏を迎えてしまうと、少し屋外に出るだけで一気に体温が高まり、汗での体温調節が追い付かず、結果的に熱中症になりやすくなります。

ですので、今のうちから出来るだけ、暑さを感じるようにして、体を馴らしていくということをします。

それが暑熱馴化になります。

暑熱馴化は2週間ほどかけてしていくのがベスト

暑熱馴化は、2週間ほどかけてしていくのがベストで、おすすめな方は高齢者やお子さん、持病がある方です。

そうした方は、一般的な健康な成人よりも熱中症のリスクが高いですので、自力で少しずつ暑い環境に慣れることで、夏を無理なく乗り切ることができます。

方法としては、とにかく無理なく、自然と体が慣れるようにするのが最善です。

具体的に言うと、例えば軽い運動をして、汗をかきやすい体にしていく、というのも暑熱馴化の方法の一つです。

それから徐々に運動量や強度を上げていくとか、涼しい環境ではなく少し暑い場所で運動をするなどです。

もちろん、運動の際には水分をたくさんとって、汗をかいてきたらナトリウムなどのミネラル分も必要になりますので、塩飴やスポーツドリンクがあると便利です。

スポーツドリンクを使う場合は、ノンカロリーのものだと糖分が無いため、おすすめです。

一番大切なのは、無理のないペースで、体調に影響がない程度にほんの少しずつ行うことです。

少しでも調子が悪いと思ったら、それは慣れていない暑さを感じている状態ですので、すぐに止めて涼しい環境に動いてください。

体に負担がかからずに、暑さに慣れていくというのが暑熱馴化ですので、例えば普段サウナに入らない方は、サウナに一瞬入ってみるとか、少し早歩きをしてみて汗をじんわりとかいてみるのも十分効果的です。

そうしたことを今のうちから行ってみることで、体が徐々に暑さに慣れて、夏が本格的になってきても、熱中症になりにくくなったり、夏バテなどの夏特有の体調不良の予防にもなります。

今から夏を迎える準備を

最後に、以前の夏バテや熱中症予防などの回にも通ずることですが、今から暑い夏を迎える準備をしておくことがおすすめです。

例えば、きゅうりやトマトといった夏野菜は、水分を含んでいるものが多く、体の熱をとってくれる作用があるので、そうしたものを積極的に食べて、体の中の熱を冷やしていくという作業に慣れるのも手です。

また、暑熱馴化のために、エアコンをできるだけ使わないようにするのは、お勧めできません。

エアコンを使いすぎてしまい、体が汗をかくのに慣れないまま夏を迎えると、夏バテや熱中症のリスクが高まりますので、気をつけてください。

ちなみに夏に日差しが強くなると、日焼けをすると思いますが、日焼けは皮膚の火傷の一つなため、その火傷を治すためにエネルギーを消費してしまいます。

ですので、日焼け止めを使うことも、無駄に体力を消費しないようにする策になりますので、外に出ることが多い方は是非使ってみてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属