食欲の秋に注意!?甘いものを食べないと落ち着かないのは糖質依存?#749

食欲の秋に気を付けたい「糖質依存」

先日から度々、秋の味覚としてサンマやみかんについて取り上げてきました。

10月に入り本格的に秋を迎え、食欲の秋もさらに加速していくと思われますが、考えてみると意外と「糖質」が多い食べ物が増える季節のように思えました。

例えば以前お伝えしたみかんのような果物も糖質が多い食材で、芋や栗も糖質が非常に多い食べ物として知られていると思います。

そこで注意しておきたいのが「糖質依存」です。

糖質にはアルコールやニコチンのような依存性が

実は、糖質にはアルコールやニコチン、カフェインといったものにあるような「依存性」がある成分です。

例えば、お腹が空いているわけでもないのにお菓子や甘いものを食べてしまうとか、身の回りに糖質が取れるものが無いと落ち着かなくなる、イライラするというような症状が起きます。

また、体内の糖質が減ると、頭痛や動悸、しびれといった症状が起きて、糖質を取ると治るというのも糖質依存の大きな特徴です。

この糖質依存は、お菓子や甘いものが多いと起こると思われそうですが、糖質類であればどんなものでも起こり得るため、白米やパンといった炭水化物、さらには果物であっても、日頃から大量に食べていると起こり得ることです。

ですので、甘味料が豊富なジュース類を日頃から飲んでいる方は特に注意が必要で、ペットボトル症候群という名前で近年問題になってきています。

糖質依存は言い換えれば砂糖依存や砂糖中毒とも言える状態で、糖質を取るとドーパミンという幸せを感じるホルモンが分泌されるため、それが引き金となります。

ちなみに依存に陥るきっかけの多くは、日々のストレスを食事によって解消してしまうということですので、心当たりがある方は充分注意してください。

依存になる悪循環が

前述のようにアルコールやニコチン、カフェインや違法薬物まで、依存性のあるものはいくつかありますが、この糖質依存は特に抜け出すのが難しいという特徴があります。

あるマウスを使った実験で、片方には砂糖水、片方には中毒性の高い違法薬物のコカインを混ぜた水を置き、どちらを好んで飲むようになるかを確認したという実験があります。

このとき、マウスが好んだのは砂糖水のほうという結果が出ました。これにより、砂糖水はコカインよりも中毒性があるのでは、という見方が強まったのです。

糖質を取ると、前述のようにドーパミンが分泌されますが、それと同時に血糖値が上がることで血糖値を下げようとするインスリンというホルモンも出ます。

インスリンが出ると、体内の血糖値は下がりすぎるほどに下がります。

血糖値が下がりすぎるということは、眠気やだるさ、頭痛、イライラ感といった症状が起きます。

すると今度はそれを解消するべく、再度糖質を欲するようになり、完全な悪循環となり、依存が加速していくのです。

特に、前述のジュースなどの清涼飲料水は、血糖値の上がり具合が非常に強く、糖質依存と同時に糖尿病のリスクも大幅に上がることにつながります。

糖質依存から抜け出すために

糖質依存から脱却するべく、強い糖質制限ダイエットのようなものをすると、前項のようにインスリンやドーパミンの問題があるため、逆に糖質依存を悪化させることになります。

ですので、いきなり大幅にカットするのではなく、徐々に控えて行って、サイクルを元に戻していくということがベストです。

特に、時間を制限して糖質を取って行くのがおすすめです。

例えば、夕食をとった以降は一切糖質類を食べない代わりに、そのほかの時間帯は気にせず食べる、という風にすると、血糖値をある程度コントロールできることにつながるため、少しずつ改善に近づきます。

また、最近よくある、糖質オフのお菓子類に変えるのも一つの手です。

糖質90%オフなどとうたわれているものがありますが、これらは文字通り糖質が大幅に少なくできてるため、食べても血糖値の上昇もおだやかになります。

そしてもちろん、食べる際には個数の上限を決めて、だらだら食べないようにすることも重要です。

そのほかでは、ビタミンだとビタミンB1が糖質の代謝に役立ち、運動だと有酸素運動よりも筋トレのほうが、糖質をエネルギーとして使うため、とても便利です。

糖質依存に心当たりがある場合は、ストレスで食べるのを抑えて、まずは食べる時間帯を決めることから始めてみるのが最善かと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属