傷口が化膿するってどういう事?しないようにするには?#525

Voicy更新しましたっ!

今回は傷と「化膿」に関するお話

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傷をしっかり処置して「化膿」を防ぐ

依然としてcovid-19の脅威はあるものの、オリンピック開幕が現実味を帯びてきて夏を迎えた現在、外に出る機会が増えて来ると思います。

お子さんがいる方は、特に活発に運動する季節だと思います。そこで今一度お伝えしたいのが、ケガと化膿についてです。

通常、ケガをして血が出た場合、血液の中にある血小板というものが、血を止めようとします。

血が止まった後、その周辺から透明な液体が出ると思いますが、これには周辺のゴミや汚れを洗い流す作用があったり、白血球が入っていて患部を清潔に保ったり、患部を保護すると言った様々な役割があります。

最終的に、その液体が乾いてかさぶたとなり、かさぶたの下で傷口を直し、時間をかけて皮膚を修復していきます。

 

傷から「膿」が出る原因

しかし、傷口が酷く汚れてしまった場合では、その箇所が「化膿」します。

例えば錆びた刃物で切ってしまったとか、錆のある古い釘が刺さった、また動物に噛まれたり、傷に泥や土が入りこんだと言ったような場合、それらに含まれている雑菌が、壊れた皮膚や細胞をエサとして住み着きます。

それが感染となり、赤く腫れて痛みが強くなり、炎症となります。炎症が起きているという事は、体の免疫細胞が戦っているという事になります。

その際、敗れて活動を停止した免疫細胞や、逆に免疫細胞に倒されて死骸となった雑菌が生まれますが、それこそが「膿」となって傷口からにじみ出るのです。

この、膿が出ている状態を「化膿」と言います。

化膿すると傷の治りが遅くなるのはもちろんのこと、徐々に周りの細胞にも同じような感染、炎症が広がります。

もし同時に体力が低下していると、敗血症と言い、血液に細菌が感染して全身に回ってしまうという極めて危険な状態にもなり得ます。

ですので、傷を負った場合は必ず、化膿しないようにきちんと処置する必要があります。

もし万が一傷口から膿が出ている場合は、すぐに処置をしてください。

 

化膿しないようにする

化膿しないように、という事ですが、以前怪我の治し方について226回の配信で詳しく触れておりますので、そちらも併せて参考にしてみてください。

まず一番大切なのが、傷を「洗う」ことです。

226回の配信にも重なりますが、一昔前までは傷は消毒して、きれいにすることが一番最初でしたが、実は、そう言った際に用いる、いわゆる消毒液は、先述の透明な液に含まれる白血球や免疫細胞もまとめて殺してしまい、傷の治りが結果的に遅くなることが多いという事がわかりました。

ですので一般的な、基本的な怪我であれば、消毒液は使わずに水道水で洗うだけで充分です。

ただし、水道水で洗う時は、およそ5分ほど水を流し続けて、傷口の汚れがきちんとれるように、出来るだけ指でしっかりと洗い落としてください。

これはたとえ出血していても、必ず洗ってください。

5分ほど洗い流したら、きれいなガーゼやハンカチのような布で傷口を抑えて止血をします。

この時、可能であれば、傷口の位置を心臓よりも高く出来れば血が止まりやすいのでおすすめです。

血が止まったと思ったら、出来れば傷口用の絆創膏、キズパワーパッドのようなものを使うとより良いです。

通常の絆創膏やガーゼだけだと、透明の液を吸い取ってしまい、傷口に充分に行きわたらず、治りが遅くなる可能性がありますので注意してください。

また先述のように、錆びた刃物による怪我、泥や土と言ったものが付着した怪我は、傷口を完全に覆って塞いでしまうとそれが化膿の原因になる場合もありますので、傷口の様子によって使い分けるのが確実です。

ちなみに、抗菌薬の軟膏を塗って、その上に絆創膏を貼って塞ぐのも手ですが、多くの場合はしっかりと水洗いをして、保護するだけで問題ありません。

 

病院に行った方が良い場合

もし万が一、傷口を洗っても汚れが取れなかったり、何かの破片が深く入りこんでしまったような怪我の場合は、お医者さんによる処置が必要ですので、病院に行ってください。

特に、深く刺さってしまったような場合は、無理に抜かずに、そのまま受診してください。

また出血が多くて止血が出来ない場合も危険ですので、すぐに救急車を呼ぶようにしてください。

そして意外にありがちで危険なのが、動物に深くかまれた場合です。
しびれや動かしにくい感じがした場合もすぐに病院に行ってください。

人に噛まれることはあまり無いと思いますが、噛み傷は深いものになると神経に傷がつくことがあり、最悪、後遺症のように痕が残る場合があります。

最後に、万が一自分でしっかりとケアを出来たと思っても、何となく治りが遅い、全然良くならないという場合もお医者さんに診てもらってください。

化膿しているか、怪我以外の原因で治りが遅くなるケースもありますので気を付けてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属