再拡大は大丈夫?21日で緊急事態宣言解除#498

Voicy更新しましたっ!

今回は、ついに首都圏1都3県で解除となった緊急事態宣言の最新情報

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横ばい・微増の中での解除

前回お伝えした通り、21日いっぱいで首都圏での緊急事態宣言が解除されることとなりました。

しかし、実は現状は若干厳しく、感染者数が横ばい、微増の最中にあります。

また病床使用率もステージ3で安定できそう、というだけで、目標であったステージ2の数字にはなっていません。

さらに変異型ウイルスの問題もあります。変異型ウイルスのクラスターもところどころで起きており、感染拡大の恐れが今も隣り合わせの状況にあります。

この緊急事態宣言の最新情報について、触れていきたいと思います。

 

宣言解除をしても感染を拡大させないために

まず現状、首都圏の一都3県では、2度目の緊急事態宣言がおよそ2か月半続いたことになります。全体的に、いわゆる自粛疲れも相当溜まっており、メリハリをつけた対策になるためにも、一度解除するという形です。

とは言え、やみくもに解除しては感染は簡単に急拡大しますので、緊急事態宣言ではない対策が必要になります。

今、政府があげている課題が、前述した変異型ウイルスです。これを検査して追跡する方針を固めています。

現在の感染者の5%から10%程度の人に対して、ウイルスがどういうものかを検査していますが、この割合を徐々に40%台ほどまで高めて、感染したのが変異型のウイルスかどうかを確かめる、という事です。

併せて4月から6月ほどにかけて、歓楽街を中心に検査会場を設け、無差別に検査数を増やしていくことも検討しています。これは一時期、歌舞伎町あたりでされていたようなことを拡大する方針です。

そしてもう一つ、高齢者施設で感染者が出た場合、感染制御および業務継続チームという部門を作り、外部からの素早い支援ができる体制を整える、としています。

 

飲食店・施設への対応

次に、緊急事態宣言のメインとも言える施策だった、飲食店への時短要請ですが、これは午後9時までとなり、これに併せて協力金が4万円に減額となります。

そして、「飲食店の在り方」として、新たな提言を発表しています。まず、店内の二酸化炭素濃度が1000ppm以上であれば、換気システムの導入を推奨する、ということです。

これは単純に室内を締めきっていると濃度が上がるもので、通常の外で言うと、およそ500から700ppm程度となります。自分が以前測った学校の教室内で言うと、1000ppmを下回るのはなかなか難しいと思います。

つまり、かなり風通しが良く、寒いレベルにまでならないと1000ppmを下回るのは正直難しい、と言えます。

その他はこれまでのような対策は一通り、これからも必要です。

ひとグループ4人まで、距離を1メートルから2メートルとる、もしくはアクリル板で仕切る、検温システムや消毒液を設置する、体調不良者や濃厚接触者は店側からキャンセルする体制を作る、といった事です。

ちなみに、イベントや催事についても、順次緩和する方向ですが、すぐに数万人規模の収容を認めることは無いとのことです。

 

実際、今の解除は妥当なの?

以上が解除後の主な施策となりますが、個人的に正直に言うと、本当だと今緊急事態宣言を解除する段階ではないと思います。

ですが、今の状態で宣言を続けていても、これ以上効果はほとんど出ない可能性が高いことも分かります。

これはなぜかというと、21日の解除と言うのは、宣言が2週間延長されてからの解除となります。この2週間、特別何かの効果があったとは言えないためです。

確かに、2週間延長しなかったら、今よりももっと感染者数が増えていたという可能性もありますが、それにしても目に見えて減っていない以上は、人それぞれの意識がほとんど変わっていないことの表れでもあります。

そう考えると、これ以上続ける効果は無いため、一旦解除するほかない、という選択になると思います。

以前から問題の一つですが、日本の緊急事態宣言は、罰則措置は一応あるものの、欧米諸国のような強いロックダウンと補償ができないという現状があります。

感染拡大当初から、”政府からのお願い””医師会からのお願い”、というところからの対策しかできない仕組みになっています。

この結果、感染者数が増えないと外出者が減らず、感染者数が減ると外出者数が増える、という状況を生み出しています。

以前の回にも通じますが、2週間前の数字が最近出ている数字で微増となっていますので、これから宣言が解除されて時短要請が緩和され、外出者が増えるという事は、2週間後には今よりも大幅に増えている可能性が充分あるのです。

 

感染拡大を、どれほど緩やかに抑えられるか

下げ止まりだったところから微増となっている今、まさに感染拡大の始まりの状況にあります。しかし一方で、ワクチンの接種が徐々に始まっており、気温も暖かくなってきているのもまた事実です。

一番大きなカギとなるのが、この感染拡大をどれほど緩やかに、最小限に抑えられるかです。

もはや1年以上になりますが、自分たちに出来ることは、自分と自分の身の周りの人を守ることです。

その意味で、マスクをきちんとつけて外出をする、食事前や帰宅後の手指の消毒の徹底、換気、人との距離を開ける、会食時は喋らず、会話をする時はマスクをつける、と言った一つ一つの事をきちんと続けて行きましょう。

 

 

 

 

 

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属