Voicy更新しましたっ!
今回は頂いたコメントから、自分が薬剤師になったきっかけのお話
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なぜ薬剤師になったの?・薬剤師になるには?
コメントで、「こんにちは。吉田さんは何故薬剤師さんになられたんですか?また、どうしたら薬剤師さんになれますか?そんな話を聞いてみたいです!」と頂きました。
今回は医療も健康もcovid-19も全く関係ない、自分のお話を少ししていきたいと思います。
「薬剤師」の存在を知ったのは中学生の時
薬剤師になった理由は、非常に簡単に平たく言えば、医療系に興味があったためです。
元々小さいころから小児喘息があり、頻繁に病院に行っていて、幼稚園のころから看護”婦”さんになりたい、と言っていました。
今は看護師さんと言いますが、昔は看護婦さんと言うのが一般的だったので自分も言っていたのですが、先生方に「看護婦さんは無理だよ~」なんて言われて、なんでなれないんだろう??って思っていたのを覚えています。
中学生のころもしばしば病院に行く生活で、そのときに薬剤師という存在を知りました。
ある大学病院で診察をした後、待合室にたくさんの人が待っていて、そのほとんどの人がお薬を待っている状態でした。
大学病院内に調剤室という薬を作る場所があり、全面ガラス張りの造りになっていて、患者の側から調剤している作業風景がきれいに見えるようになっていました。
中では色んな人が手分けして、忙しく働いているのを見て「かっこいいなー」と思ってみていて、この時期に、お医者さんや看護師さんと言った医療系の道の中に、薬剤師という選択が出ました。
薬剤師に決めたのは高校2年生の時
医療系業界の中から、薬剤師になると決めたのは高校2年の時です。
そのきっかけは、話すと少し長くなりますが「おじいちゃんが亡くなった」時に思ったことです。
自分のおじいちゃんの事ですが、凄まじいほどたくさんの種類の薬を毎日飲んでいたのです。
それは朝18種類、昼12種類、夜15種類、さらに粉薬4種類と、これだけの量を飲んでいました。実際、飲んだ後は「もう腹パンパンやで!」みたいに言っていて凄く大変そうでした。
とは言え、病気を治すために、痛みを取り除くために飲むのがお薬なので、これだけ飲んでたら病気も良くなると思っていたら、良くなることはなく、そのまま亡くなったのです。
「これだけの薬を飲んでも良くならないのか」「”薬を飲んだら治る”というのは?」といったことが腑に落ちず、強く印象に残りました。そこで、薬の事をもっと勉強したい、知りたいと思ったのが、薬剤師への決め手になりました。
元々、化学が得意だったのも幸いして、大学の薬学部に入ることができました。
迷ったこともある
そうして、大学で勉強を続けて行きますが、やはり一度、迷ったことはあります。
大学4年の時、実習で病院と薬局に行くことがありました。当時は病院は2週間必修で、薬局は希望者だけとなっていて、自分は両方とも行って合計で4週間、病院と薬局で実習しました。
実際にその場の薬剤師さんと働きながら研修する、いわゆるインターン的なものですが、それが物凄くつまらなくてやりがいも何もない現場でした。
お医者さんの処方を見てお薬を作って、そのまま患者さんに渡す、ということしか見えなかったのです。
単純に、自分が勉強した意味があったのか、そして自分が患者さんの役に立てるのか、とても不安になって凄く考えました。
薬剤師は薬剤師として資格を取って、後で医学部に入り直そうかなとも思いましたが、そのための学費が非常に重たいので、正直に言えば最初は渋々、薬剤師として働くことにしました。
薬剤師は「副作用のフォロー」が出来る
卒業後に資格を取って、しばらく病院内の薬剤師として働きましたが、その最中でも、やっぱり面白くないな~と思いながら過ごしていました。
その中である日、少し口をパクパクとさせている患者さんがやって来ました。
そういう癖か何かなのかと特に気にしなかったのですが、そのとき同じ薬局で働く先輩の方に、「吉田君あれ分かるか??」って聞かれて、「何ですか?」って話を聞いてみると、錐体外路障害という特殊な副作用で、高齢者の方が、あるお薬をずっと飲んでいると起こるという、まれな副作用でした。
そのときは、その方のお薬の副作用にそんなのあったっけ??、という感じでしたが、凄いのはここからでした。
教えてくれたその先輩が、その患者さんの、そのお薬の量を減らしたのです。すると数日で、口をパクパクさせる動きが無くなりました。
これを見たとき、お医者さんはお薬の副作用に気付きづらく、患者さんに直接お薬を渡す薬剤師が、最後にチェックをしないと、医療がうまく回らないと思いました。
これが薬剤師の一つの、非常に大きな役割だと気づいたのです。
薬剤師が患者さんとお薬についてフォローして、副作用が出ていたり合わないようであれば減らしたり、違うお薬を提案したり、さらにはお医者さんに一旦返して相談したり、といったことが可能なのです。
“薬の引き算をする薬剤師“とは、このことからきています。
薬剤師になるために
最後に、薬剤師になるために、ですが、自分が資格を取ったころと今では制度が違う点がいくつかあります。
まず自分の場合だと、大学4年間で学んで、卒業後すぐ試験を受けて取得という流れでしたが、今は昔よりも学ぶことが多くなり、必要年数も必然的に増えているので、6年制でお医者さんとほぼ同じような流れになっています。
例えば実習制度も違っていて、今ではお医者さんのインターンと同じく現場の研修を病院と薬局どちらも2か月半ずつ行くのが必修となりました。
その上で試験を受けて、資格を取る必要があります。この試験は2日間で、360問あります。このうち、およそ62%から65%以上の正答率で合格となります。
自分の場合は2日間で240問だったので、問題数が非常に増えたということになります。
当然ながら勉強量は凄まじいほどになりますが、国家資格を受ける前に、大学の「薬学部」に入る必要があります。
留年率が高い薬学部
薬学部についてですが、昔は数が少ない上に学生の数も多いので、今よりも倍率が高く、一つの難関学部とされていましたが、ここ10年ぐらいで薬学部を創設する大学が増えたので、昔よりは入りやすくなった感じはあります。
ただし、今の薬学部は留年率が非常に高い、と言われています。大学によるところもあると思いますが、場所によっては10%以上の生徒が留年している、というところもあるようです。
国家試験の問題数が増えたことからもわかるように、ここ最近出てきていることも当然ながら勉強する必要があるので、必然的に単位をとるのがとても大変になっています。
また、たくさん生徒が入るようになったから、ふるいにかけられるようになったのも一因で、1年や2年で薬学部を辞める方も少なくないようです。
さらに、国家試験の前に、学校を卒業するために行う卒業試験があります。卒業試験なので、これに合格しないと卒業にならないという意味の試験ですが、これが国家試験級に難しいレベルなのです。
大学は自分のところの卒業生の何パーセントが薬剤師資格を取れたかを公表されるので、卒業生の方がどれくらいの割合で薬剤師になれたかというのは、その学校の評判に直結します。
必然的に、卒業試験のレベルを上げることで、国家試験にも耐えうる学力を身につけさせるようにしています。
これはもちろん、大学ごとで様々なカラーがあり、サポート体制もいろいろあるので一概には言えないことですが、基本的にはとても長い時間をかけて、勉強をする必要があるのは、知っておくと良いかと思います。