若者も油断禁物!怖いのはcovid-19の後遺症#435

Voicy更新しましたっ!

今回は最近徐々に判明して来た、covid-19の後遺症や、若年層のリスクのお話

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若年層は危険?後遺症がある?

ワクチン開発、そして確保がいよいよ現実味を帯びてきた現在ですが、同時に若年層の感染事例も徐々に分かってきました。

今回は、7月下旬の現在分かっている、若者の感染事例や、後遺症についてまとめていきたいと思います。

 

若年層は無症状感染・軽症者が大半

まず前提として、ご存知の方も多いかと思いますが、若者は無症状感染が多く、症状が出ている方も軽症の場合がほとんどです。これはすでに報道されているように、日本に限らず世界的にも同様です。

日本の場合、数字にすると亡くなった方の95%、重症の患者さんの85%の方の年齢は60代以上、そして亡くなった方で10代は0人、20代で亡くなった方は1人、30代で4人、となっています。

死亡率で言うと、単純計算で20代の方は0.025%、30代の方は0.1%、と上がって行きます。ただ20代の方は無症状感染で、検査していない方もおそらく相当数いると思われますので、20代の死亡率はこの数字よりもさらに下がる可能性が高いです。

そして、60代以上の方は死亡率が5%近くになります。

この数字と世界的な傾向を見ても、年齢を経るごとに死亡リスクは高まる事は確実です。

ちなみに、若者の重症化率は、日本でも世界でも公表されておらず、単純計算でも具体的な数字が出しにくいという点があります。

ただ、これらの数字と世界的な傾向を見ても、年齢を経るごとに死亡リスクは高まる事は確実です。

しかし、若いから大丈夫という事はないことが、徐々に明らかになって来ています。

それがcovid-19の後遺症です。

 

何らかの後遺症が出る可能性がある

後遺症の事例は、初期に爆発的に感染したイタリアで多く見られています。

初期のころから死者が多数出たイタリアでは、感染者の9割の方が、かかってから2か月たっても何らかの症状がある、というデータがあります。

これは一度感染して陽性が確認された後で治り、再検査で陰性が確認された後から2か月という期間のことです。

具体的には全身のだるさを訴える方が5割から6割ほどの方と半数以上を占めていて、陰性になったにもかかわらず息苦しさや胸の痛みを感じたり、関節の痛み、筋肉痛と言った節々の痛みを訴える方もいたようです。

さらには喉の痛みやめまい、抜け毛まで、本当にcovid-19に関連しているか不明な症状がしばらく続く、という方も見られました。

抜け毛の症状は、エボラ出血熱でも見られる後遺症として実際に存在しています。

それほど気にならない程度の症状であればまだ良いですが、そういった後遺症がある方のうち4割は、生活の質(クオリティオブライフ)が前よりも非常に落ちている、と回答しています。

まだ分からないことも多いですが、最悪、一度covid-19に感染したら元の生活に戻らない、という可能性もわずかにある、という事です。

さらに、中国のデータで、covid-19の症状として有名な味覚異常、嗅覚異常ですが、これが起った方のうち9割の方は治って元に戻りますが、1割の方は全く治らないとか、逆に悪化する、治るスピードが非常に遅いという場合もあります。

重症者の場合は言わずもがなで、呼吸機能が感染前の状態に戻るのに非常に時間がかかることが分かっています。

 

日本での後遺症の割合・後遺症の治し方は不明

前述のは欧州、中国のデータですが、実は日本での後遺症の割合は、現在では分かっていません。

ただし、前述のような後遺症が日本人においても起こり得ることはわかっています。

そしてもう一つ、その後遺症の原因と治し方は、現在ではまだ分かっていません。

治療法どころか、ワクチンさえ、まだ完全な実用段階には来ていないので、後遺症についてはゼロに近いぐらい、何もわかっていません。

あくまでも噂レベルで、ごく一部の医師の間では「慢性上咽頭炎」という病の可能性があり、それによって様々な症状が出ている、という事が言われていますが、詳しいことはわかっていません。

上咽頭という、鼻の奥、左右の鼻の穴が合流して一つになったところで、鼻から取り込んだ空気が必ず通る位置があります。

そしてそこには非常にたくさんのリンパ球が待ち構えており、体外から取り込んだウイルスや細菌と言った異物を捕まえ、止めるために働きます。言い換えれば、体の免疫が非常に活発に働く部分、と言えます。

さらに、上咽頭は自律神経が直接通っている場所でもあるため、例えば風邪の症状が出る前に肩こりが起きるという方、肩こりが起きたら必ず風邪の症状が出る、という方はこの上咽頭に炎症が起きている可能性が高い、という場所です。

また、風邪の症状は治っても上咽頭の炎症は治らずにそのまま続くこともあります。その炎症によって逆に自律神経を刺激してしまい、また別の症状となって現れることもあります。

covid-19への感染でも上咽頭炎が起きますので、症状が引いてcovid-19が陰性になったとしても、慢性上咽頭炎となって炎症が起きたままになり、後遺症のように症状が現れている、という可能性が考えられるのです。

上咽頭炎の治療法は当然確立されており、耳鼻科のお医者さんであれば充分対処できます。

一昔前はBスポット治療、今ではEAT(イート)という言い方をされることが多い治療法で、塩化亜鉛の水溶液を炎症が起きている上咽頭に直接、鼻と喉から入れて塗りこむという方法です。

単純に、炎症を抑えるために薬を塗るような形ですが、上咽頭炎であればこれで治ります。

もし万が一、そういった症状や、上咽頭炎で何か思い当たる点がある方がいれば、耳鼻科さんに相談に行って見てはどうでしょうか。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属