新たにわかったcovid-19の現状と対策は?#432

Voicy更新しましたっ!

今回は7月中旬現在のcovid-19のお話

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ここ数日で東京の感染者が増加

今回は久々にcovid-19のお話です。

ここ数日、東京都での感染者数が過去最高が記録されており、再度の緊急事態宣言、自粛要請がされるかどうかという現状ですが、今のところそう言った話はあまり聞かないと思います。

これは先月、4月や5月の時期とは内容が少し異なるため、と言うのが一つの理由になります。

今回は7月現在のcovid-19について、まとめていきたいと思います。

 

無症状感染者数が大半

元々、PCR検査には、対象者というのが定められていました。

基本的には症状が出て4日経過してから、熱が4日間出続けたという方に限定して検査していたため、症状がある人だけで200人前後に上っていた、ということになります。

これが3月の北海道の緊急事態宣言時や、5月の全国的な緊急事態宣言時の状態です。

しかし、最近確認されている感染者は、ほとんどが無症状であり、入院者や重症の患者さんの数が当初よりも非常に少ないのです。

つまり、医療機関の余裕は一時期比べるとわずかにあり、医療資源も初めのころよりはしっかりと確保できています。

なので、以前と同じような緊急事態宣言や自粛要請をすぐに出すことは考えていない、という方針だと推測できます。

とは言え、無症状感染だったらどれだけ広がっても良いのか、ということでは全くありません。

経済の事ももちろんあるので、以前のような緊急事態宣言とは違う、何らかの対策が必要だと思います。

 

冷静に対処するために

感染者数が急増している中にもかかわらず、政府からの支援制度は一通り確立され、また自粛要請や緊急事態宣言も、ひとまずの間されない可能性が高いというところで、本当に普段通りに、少しずつ日常のように過ごして良いのか、不安な気持ちもあると思います。

特にその中心となる東京、関東圏にお住みの方はなおさらのことと思います。

何度かお伝えしているように、当事者意識を持って、これまで通りきちんと感染症対策をすることが必要、というのは大前提として、一つの目安になる数字が「現在の入院患者数」です。

現在の感染者の内訳は無症状の若年層の方が多く、入院している患者さんの数は思いの外増えておりません。

入院患者数が増えるという事は、医療資源を大きく消費することになるため、事態が深刻化していきますが、今のところはある程度、余裕があるといえます。

ただし、その現在の入院患者数は、実は4月2日と同じ程度の数になっています。

単純に考えれば、その4月頭の時期と同じぐらい、covid-19の市中感染が起きている可能性があり、そのまま経過していけば以前と同じように、医療がひっ迫することも考えられます。

 

covid-19は空気感染する?

感染力について、最近たまに言われているのが、空気感染の可能性です。

空気感染する証拠がいくつか出てきている、というのをWHOが発表しています。

以前の配信で、ハムスターの空気感染実験や、初めのころに中国のレストランで、飛沫感染とは明らかに違うような感染の仕方があった、というお話をしましたが、こうした一連の実験、事例を踏まえて、先日WHOが正式に発表したという形です。

空気感染と言うと非常に強い感染力で、同じ場所に居るだけで感染するんだという風に思われそうですが、covid-19は一人感染者がいた場合、その人がうつす人の数は最大で2.5人ぐらいとされています。

一方、空気感染する代表的な病となる麻疹では、最大で18人です。

もしcovid-19が麻疹と同じ感染力であれば、今よりも遥かに凄まじい数の感染者がいることとなります。

なので、現状を踏まえて考えれば、必要以上に怖がる必要は全くありません。

 

アジアで流行っているタイプと欧米で流行っているタイプが違う?

こちらも以前から少し騒がれていた、アジアでのcovid-19と欧米でのcovid-19が違う可能性についてです。

現在アジア圏では1日数十人程度から、日本のような多く確認されるところでも1日400人以下のところがほとんどです。

一方欧州では1日500人前後、アメリカやブラジルでは1日数千人から数万人単位で感染者数が増えています。

海外諸国のcovid-19については、何度もお伝えしているように、ライフスタイルや衛生環境、生活様式、政府の方針が大きく違うので一概に数字で比べることはできません.

とはいえ、あまりにも大きな差が開いているので、何か原因があるのでは、というのはWHOや専門家も含め様々な方が研究していましたが、ついにいくつかの型があることが分かりました。

いわゆる”変異“というものです。

最初に中国の武漢市で流行ったものがS型、その次に韓国の教会で流行ったのがV型、欧米諸国で流行っているのはG型で、さらにこのG型が変化してGR型、GH型と言われています。

このうち一番感染力が強い可能性が高い、とされるのがGH型です。まだ研究段階ですが、S型など他のと比べると最大で6倍程度の感染力があるとされています。

前述した、一人感染者がいると2.5人にうつす、というものが単純に6倍されると、15人になります。

15人であれば、麻疹に引けを取らないほどの強さの感染力を持つことになります。

そのGH型は様々なところで見つかっているため、欧米諸国だけに限定しておらず、日本に入っている可能性も当然あります。

ただ、まだまだ研究段階で、ようやく最近、S型やV型と名付けられたという状況ですので、まだ分からないことも多いです。

 

身近なところから、引き続き感染症対策を

空気感染しようが、感染力が強かろうが、自分たちが出来る感染防御、対策方法は全く変わりません。

例えば、感染されている方が近くに居たとしても、距離をとることを徹底すれば、感染するリスクは抑えられます。

これは今ではおなじみとなった、密を避けること、になります。

また、こまめに換気をしていれば、空気感染のリスクも当然減らせられます。

そして言うまでもなく、食事前の手洗い、トイレの後の手洗い、水分補給等も欠かさずにしてください。

夏場のマスクは厄介な問題ですが、人がたくさんいるところ、距離がとりにくいところや会話をする際には、出来るだけマスクをした方が良いのも変わりません。

繰り返しになりますが、これまで通り、当事者意識を持って、きちんと感染症対策をすることが一番大切ですので、是非心掛けて行ってください

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属