質問よりっ!緊急事態宣言解除後の経済と医療はどう考える?#416

Voicy更新しましたっ!

今回は、出口戦略に関連して、これからの経済と医療について

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covid-19と共存する社会に

一部の県では正式に、条件があるものの緊急事態宣言が一旦解除となり、ほんの少しずつですが日常を取り戻そうという動きが出ています。

併せて政府も出口戦略として、これからの社会活動について本格的に取りまとめている段階にあります。

しかし、先日WHOは「covid-19は消滅しない」ことを発表しました。voicyでも度々、ウイルスと共存するとか、ウイルスは無くなることはないため集団免疫を獲得する、という風に触れていたと思います。

今回は少し見方を変えて、これからの経済、そして医療現場について、今考えられることをまとめて行きたいと思います。

 

完全に排除できた感染症は天然痘だけ

まず、実は人の手によってウイルスを完全に無くしたことは、有史の中で一つしか例がありません。それが「天然痘」です。

天然痘はワクチンによって、世界中のあらゆるところから無くすことが出来ましたが、ワクチンができるまでは非常に危険で恐ろしいウイルスでした。

歴史も古く、天然痘がマヤ文明、アステカ文明が崩壊した原因になった、という説もあるほどです。

天然痘の感染の一番の特徴が、人だけに感染するウイルスという点です。

動物から人への感染や、人から動物への感染はしなかったため、人が入念に対策をしたことで完全に排除できたのです。

天然痘と並ぶ危険なウイルスと言えば、ペストもありますが、これは現在もアフリカなどで局地的に流行ることがあり、江戸時代の日本で流行った赤痢も、現在も東南アジアで感染することがあります。

そして日本でもワクチンが義務付けられている麻疹や、いくつかの種類があって毎年流行るインフルエンザは、当然存在し続けています。

これを踏まえると、今回の新型コロナウイルスとなる、covid-19も完全に消滅する可能性はほぼありません。

万が一人間社会の中で、排除できたとしても、動物社会の中ではウイルスが存在して感染を繰り返していて、充分に生き続けている、という事があります。

これはcovid-19ではまだ確認されていませんが、動物が感染してても、動物には特に症状がないのに、そこから人間にだ液が触れるなどで濃厚接触をしたら、人間が感染して発症する、という可能性もあります。

また、インフルエンザのように、季節によって全世界を巡って結果的に永久に残るパターンもあり得ます。

まだ分からない事も多いので何とも言えませんが、無感染症状が正式に確認されていることも踏まえると、ゼロに近いぐらい完全に収束させるのは、ほぼ不可能に近いと言えます。

 

どのように共存する?

去年まで、様々なウイルスの中で生活を続けていたように、おそらくは確実に、このcovid-19とも共存して生活を送ることになります。

言い換えれば、このままcovid-19の感染予防としてソーシャルディスタンスや3密のことを徹底していては、ビュッフェのような大人数の会食や、小さいライブハウスでのイベントは永久にできないことになります。

しかし、やはり今、現状の事だけを考えると、自粛を徹底した生活しかできません。

今は情報を収集している最中で、治療薬やワクチンも治験に入っていますが、具体的にいつできるかは見通せていません。

また、これから先、3密やソーシャルディスタンスを徹底する以外で、何か効率的な感染症対策が発見される可能性もあります。

治療薬やワクチンが供給され、各地に行きわたるまでは、自粛と緩和を繰り返して、ギリギリの範囲で経済を回していくのだと思います。

その中で、新しい情報が出てきたら取り入れたり、ワクチンができたら生産、供給を開始するなどで、日常を取り戻すために徐々に活動していきます。

そうして、最終的に自粛が無くなって行ければ、収束となるはずです。

 

とにかく感染症対策を徹底する

やはり今の段階で言えることは、感染症対策を徹底する、ことに尽きます。

ただ先日、日本医師会の方が、一例として新しいライフスタイルと銘打って17の提言をしましたので、最後にまとめて行きます。

基礎的なことはもちろん提言に含まれていますので、今回はいくつかかいつまんでご紹介いたします。

まずは外出後や食事前、トイレの後の手洗いですが、もう一つ、お店に入る前にアルコールで消毒するというのも、そのお店を守ることに直結しますので、是非行ってください。入り口にアルコールスプレーがあったら是非、使って、両手にすり込んで消毒してください。

次に3密についてですが、これまでは密接とか密閉といった言葉で、子供さんには不向きな分かりにくい説明でしたが、今回は一つの標語のように「むんむん・ぎゅうぎゅう・がやがや」に注意、と発表しました。

さらに、屋外でも距離をとることはやはり大切です。

例えばバーベキューのような屋外での食事も、向き合って食べたりすると目に見えないサイズの飛沫でも飛んでしまって、体内に入ると感染の可能性があります。

なので出来るだけ距離を開けて、自分のお皿に取り分けてから食べるようにすると安全です。

 

マスクは出来るだけ付ける

そして、顔やマスクについてですが、鼻口はもちろん、目からも感染することが正式に確認されており、顔を触ることで感染するリスクは非常に高いです。

なので引き続き、顔を触らないようにすることは大切です。もし万が一素手で直接触る時は、手洗いや消毒をして、何も触らないうちに顔を触るようにしてください。

マスクは、何度かお伝えしているように、無症状感染の可能性があるので、今では外出時のマスクはほぼ必須、と言えます。

ただ、以前お伝えしたように布マスクだと咳やくしゃみの飛沫は若干は通り抜けてしまい、そこから感染する可能性があるので、布マスクであれば、その上から袖やティッシュで押さえてエチケットをすることを忘れないでください。

 

免疫力を高めて、第2波までの時間を稼ぐ

最後に、数回前の配信にも重なりますが、基本的なことですがバランスの良い食事としっかりとした睡眠をとって、免疫力を高めることは当然重要です。

そして喫煙も、covid-19で重症化リスクを高めることが分かっているので、これを機に禁煙をするのももちろんおすすめです。

これまでのおさらいのようになりますが、こうした感染症対策を徹底することで、第2波の感染者急増が来るまでの時間を伸ばせれば、医療資源や医療従事者の疲労を回復させることにもつながり、またワクチンやウイルス研究の時間も確保できます。

対策を徹底した範囲で、経済活動をしていれば、結果的に経済活動が完全に元通りになるまでの時間も早くなると思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属