質問よりっ!慢性鼻炎はどうしたら良いの?#388

Voicy更新しましたっ!

今回はコメントで頂いて、鼻炎の中でもあまり触れていなかった「慢性的な」鼻炎についてのお話

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炎症が「治っていない」ことで起きる慢性鼻炎

今回は、風邪や鼻炎のお話でも、なかなか触れていなかった「慢性鼻炎」についてです。

まず、慢性鼻炎と対をなす急性鼻炎ですが、急性鼻炎の方は、風邪の菌やウイルス、花粉と言ったものが鼻に入って、鼻の粘膜で炎症が起きて、酷い鼻水やくしゃみとなって現れる、というものです。

通常は炎症は”治る”ものですので、一通りウイルスをやっつけたり花粉が無くなって行けば、自然と症状も治って行きます。

しかし、慢性鼻炎は、何らかの原因で鼻の粘膜の炎症が治らず、症状が続いて出ている、という状態です。

慢性鼻炎の種類

慢性鼻炎の種類は、粘膜が赤く腫れた状態がずっと続く単純性鼻炎、酷い炎症の後で、粘膜が分厚く変わったり固くなってしまう肥厚性鼻炎、何らかの原因で粘膜が萎縮してしまう萎縮性鼻炎、そしてうっ血性鼻炎が主に上げられます。

肥厚性鼻炎は単純性鼻炎が長く続いた結果で起こることが多いです。

最後のうっ血性鼻炎は、文字通り粘膜がうっ血している状態の鼻炎で、常にひどい鼻詰まりの症状が出て、鼻水はほぼ出ないぐらいと言うのが特徴です。

これらはいずれも慢性鼻炎で、何らかのことがあって炎症が治らないとか、粘膜に異常がある状態、となります。

ちなみに以前取り上げた、膿がたまるような副鼻腔炎も、慢性鼻炎の一つです。

まずは原因を特定する

先日の花粉の回でも少し触れましたが、炎症は単なる風邪と同時に、アレルギー反応の可能性もあり、特に慢性鼻炎の単純性鼻炎、肥厚性鼻炎は、鼻の中で常に何らかのアレルギー反応が起きていて、炎症が治らない、ということが多くあります。

なので、どういったタイミングで、どこでアレルギー反応が起きているかを最初に考えてみてください。

どこで症状が強く出る、もしくは和らぐ、という風に、どのように症状が出るかを確認してみると、治療のヒントが見つかるかもしれません。

例えば家の中一つでも、自分の部屋に入ると辛いけど台所やお風呂場だと大丈夫だとか、2階にいると何となく症状が出て、1階に降りると何となく落ち着く、と言ったこともあり得ます。

よくあるハウスダストであれば、ある程度念入りな掃除をしてみると、治るケースもありますが、万が一クロスや床材と言ったものによるものだと、大掛かりで難しいこともあります。

手術で鼻の形を変えることも

もう一つ、粘膜の炎症ではなく、そもそもの鼻の形によって、鼻詰まりを起こしやすいという方もいます。

その場合は、手術で鼻の形を変えて、鼻づまりしづらい形にする、ということもできます。

例えば肥厚性鼻炎のような、粘膜が大きく分厚くなってしまって、お薬では取り切れない時は、病院で手術をしての治療が出来ます。

難しいうっ血性鼻炎・萎縮性鼻炎

慢性鼻炎の中でも非常にひどい鼻づまりが起こる、うっ血性鼻炎、萎縮性鼻炎ですが、うっ血性鼻炎は冷たい空気を急に吸い込んでしまった時などで、鼻の血管がうっ血することで起きます。

これは、薬剤性の可能性もあり、お薬の副作用などでも同様にうっ血してしまい、鼻詰まりや鼻水と言った症状が出ることがありますので、もしお薬を飲んだ時に鼻にトラブルが起きるという時は、薬局の薬剤師、お医者さんに相談してみてください。

そしてもう一つの萎縮性鼻炎ですが、あまり知られていないタイプで難しく、なかなか辛い鼻詰まりが起きる鼻炎です。

鼻詰まりだけではなく、変なにおいを感じるといった症状も起きますが、大きな特徴が、かかる方の年齢層が高めのことが多い、という点です。

これまでとは違うケースで、自分での対処が難しいタイプですので、この場合は病院でお医者さんとともに治して行くのがおすすめです。

慢性鼻炎の対処

鼻炎ですので、市販の花粉症の飲み薬のような、市販の鼻炎薬で一応は対応できます。

ただ、市販のだとあくまでも、主に症状を抑えるものが多く、元々の炎症を大きく取り除くのは難しい、という事はあります。

普通に売られているお薬だと、症状を抑えることで粘膜を守って、炎症を少しずつひかせていくという流れですので、炎症を抑える効果はどうしても薄いのです。

なので、慢性鼻炎であれば、まずは酷い発作が出ないように、しっかりと抑えていくのが一つのポイントとなります。

そこで便利なのが、ステロイドの点鼻薬です。

点鼻薬ですので、鼻の粘膜に直接つけて炎症に効かせることができ、飲み薬よりも早く、高い効果が得られます。

具体的には、何回か登場している「ナザールAR」で、医療現場でも使われることがある、ステロイドの点鼻薬になります。

これを「長期的に」使ってみてください。使うのは出来れば毎日で、お薬によっては1日2回とかもあるかもしれませんが、長期的に、3か月とかの単位で使ってみてください。

調子が悪いときだけ使うのではなく、毎日ずっと使い続けて、これで炎症を完全に治す、という気持ちで点鼻し続けると、酷い発作の回数は、これまでよりも確実に減ると思います。

もし、とても辛い鼻詰まりの時は、コールタイジン点鼻というものがあると便利です。

これを使うと鼻が一気に通ってすっきりしますが、使いすぎると徐々に効かなくなってしまい、悪影響ですので、使いすぎないように注意してください。

例えば、鼻が突然詰まってどうにも寝れないといった時だけ、使うように置いておくのは良い使い方になります。

発作的に起こるのは、市販薬ではどうしても難しい

今回コメントで、「なにかのきっかけで猛烈な発作のように鼻水やくしゃみが止まらず・・」と頂いたのですが、これを市販薬で対処するのは、やはり非常に難しいのはあります。

先述のは、炎症を抑える点鼻薬を使い続けて、どうにか自力でひかせて行くというものですので、場合によっては保険適用で、お医者さんの処方で医療用でのお薬で治す方が早い、という可能性ももちろんあります。

また、発作が起こった時に飲む薬も一応は存在しますが、市販ではなく、医療用のしかありません。

さらに、こちらも先述したように肥厚性鼻炎の場合だとお薬がとても効きづらく、手術でしか直せないケースもあるため、そのときは病院で対処する必要がありますので、お医者さんに診てもらってください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属