Voicy更新しましたっ!
今回からシリーズで、あまり知られていない臓器・部位のお話
今回は「脾臓(ひぞう)」編
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「五臓六腑」の一つの脾臓
今回からシリーズで、あまり知られていない体の臓器や部分について、何個か紹介していきます。今回は「脾臓(ひぞう)」です。
脾臓は、俗に言う「五臓六腑」の一つで、心臓、肝臓、腎臓、肺、そして脾臓が入って、五臓と言われています。
脾臓の場所・役割
体の中で脾臓があるのは、胃の左側肋骨のすぐ下ほどの場所で、大きさは握りこぶし大ほどです。とても柔らかく伸縮幅があり、握りこぶし大から2倍、3倍になることもあるという特徴を持ちます。
脾臓の役割としては、主に血液に関して働きます。
大きく分けて3つあり、一つは古い赤血球を壊して、分解、排出していく働き、もう一つは血液を貯蔵して必要な時に必要なだけ放出する働き、最後が白血球、リンパ球の多くを作って、排出する働きです。
まず、古い赤血球を壊すとは、赤血球には寿命があり、およそ4か月ほどで徐々に固まっていくという特性を持ちます。固くなると細い血管に入って行けなくなり、また栄養や酸素を運ぶのも難しくなるため、寿命が来た赤血球を壊して、胆汁にして排出します。
必要な時に放出する働きは、例えば怪我によって出血したときは、血小板を大量に使って血を固める必要があり、また運動をして息が上がっている時は、体内で酸素を大量に消費して、各部位に素早く送り届ける必要があります。
このような急激に血液を働かせたい時、脾臓から血液を少し出して、補うということをします。
3つ目の白血球、リンパ球を作る働きですが、これは全部ではありませんが、体に必要な白血球、リンパ球の大半を作っているという特徴があります。
例えば、全身の4分の1のリンパ球は脾臓に集まっていて、脾臓は免疫の要と言われることもあるほどです。
脾臓がかかる病気
脾臓は、肺炎菌やチフスによって「腫れる」ということがあります。
脾臓にはリンパが多く集まっており、また活発に働いている現場なため、症状としては腫れが強く表れます。
腫れてしまうと、隣接する胃を圧迫することになり、食欲が無くなるとか、おなかの右上、背中あたりに痛みが出ます。
そして当然、血液が不必要に溜まるということでもあるため、体内で回っている赤血球や血小板が減って、出血しやすくなるとか貧血気味になるといった弊害も出てきます。
感染症以外だと、何らかの拍子に突然、誤作動のように脾臓が働きすぎる、ということが起きます。
不必要にたくさんの赤血球を壊してしまうことも
脾臓には、寿命が来た古い赤血球を壊す働きがありますが、寿命が来ていない健康な赤血球も壊してしまうことがあります。
こうなると必然的に、血液の量が減って貧血の症状が現れたり、血小板もうまく貯めることが出来なくなり、先述のような症状になって現れます。
さらに、脾臓がん、というがんもあります。いわゆる悪性腫瘍、良性腫瘍ですが、これが脾臓に出来る可能性もあります。
この脾臓の腫瘍は、実に5割近い割合で悪性腫瘍のことが多く、とても厄介で重い病になります。
脾臓を「取り除く」という治療
脾臓が調子悪いと思われるときは、消化器内科さんにかかるのがベストです。
原因不明の貧血とか、おなかの変な痛みがあれば消化器科さんや、消化器内科さんにかかると思いますが、そこであればしっかりと分かるので、もし心当たりがあれば、是非一度診てもらってみてください。
治療の際、「脾臓を取り除く」という選択が提示されることがあります。
リンパや白血球が多く集まる免疫の要を、取り除いても良いのかと思われそうですが、どちらも他の臓器でも作ることができます。
心臓や肺とは違い、他の臓器で分担してカバーし合える働きですので、完全に取り除いても問題ない臓器なのです。
とは言え、脾臓があるのとないのとでは、感染症にかかりやすくなるリスクが大幅に変わります。
これは単純なことで、風邪にかかりやすくなって、症状が出やすくなるとかからのお話で、菌やウイルスによるあらゆることに影響が出ます。
実際、脾臓をとった場合は、およそ2週間以上ほど経ったところで、いくつもの予防接種を一通りやり直す、という事をして、耐性を再度作っていきます。また、抗菌薬をもらって予防的に、しばらくの間飲み続けるという事もあります。
普段ではなかなか意識しない脾臓についてでした。
次回もマイナーなところに注目して、ご紹介していきます。