浸水したらどう片付けるの?#359

Voicy更新しましたっ!

今回は先日の台風や洪水被害で、大きな問題となっている「浸水」の被害について、薬局の経験も踏まえたお話。

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家・建物が浸水してしまったら

2か月に渡り、関東圏を中心に大きな被害をもたらした「台風」ですが、中でも被害が大きい上に、多大な数の方へ被害をもたらしているのが「浸水」の被害だと思います。

当薬局でもこの台風の前に、水害で建物が浸水したことがあり、掃除片付けに追われてとても辛いことがありました。

なので今回の台風は、言ってしまえば2回目となるので、少し対策ができました。

今回はこの浸水した場合、まず最初に何をした方が良いか、というようなことを自分の経験を踏まえて、少しお伝えできればと思います。

 

まずは安全の確認

まずは大前提として、安全を確認してください。

当たり前の事に思われそうですが、実は、川の氾濫は台風が去った後から起こる、ということもあるのです。

台風が去っても水が引いて行くまでの間に、堪え切れずに堤防が決壊する、ということも起こり得ます。

なので、水が完全に引いて、確実に落ち着いたと確認できたところで、家や建物に戻ってください。

また例えば、避難先から家までの道のりが冠水してたり、橋が無かったりして戻れない、ということがあれば、その日は引き返してしばらく待つというのも、安全を確保するためには有効なことです。

 

片付けの前に必ず「写真を撮る」

安全を確保して、家の中には入れたら、まずは「写真を撮る」ことをしてください。とにかくたくさん写真を撮ってください。

外観も出来れば四方から、細かく撮るのがベストです。

室内ももちろん、何が汚れているか、どのように壊れているか、どの部屋がどれだけ被害を受けたか、が分かるように撮ってください。

この写真で被災を証明するので、非常に重要な意味を持ちます。

水害であれば、壁についた水や泥の痕を見て、床から高さ何センチのところまで浸水した、というのをメジャーで測って、それを写真に収めるというのも有効です。

写真は入っている保険、水害など自然災害に関する火災保険において必要な証明になります。

実際の保障は入っている保険の内容にもよるため、一概には言えませんが、証明となる画像は必要不可欠なので、片付けに入る前に必ずとっておいてください。

保険以外では、お住いの市から罹災証明書というものが出ますが、この発行に写真を使うこともあります。

写真を撮った後は、保険会社とその建物の施工会社に早めに連絡してください。

特に施工会社は、たくさんのお客さんの建物を手掛けているので、対応に追われており、連絡するのが遅くなると後回しにされてしまいますので、証拠を揃えたら出来るだけ早めに連絡するのがおすすめです。

 

必ず、肌の露出が少ない服装で

写真を撮ってからようやく、片付けに入ります。

まず服装ですが、露出が少なく、お肌がきちんと守れる服にしてください。

浸水して家に入って来た水は、綺麗な川の水がそのまま溢れているわけではなく、下水や川底の泥が混ざっている上、風で飛んだ細かな金属片やガラス片も流れ込んできている可能性があります。

雑菌が多い上に、怪我をする危険もあるので、長袖長ズボンで靴は長靴、そしてマスクと、手にはゴム手袋か軍手を必ずつけて、作業してください。

軍手だけだとどうしても濡れてしまい、指に汚水が直接ついてしまうので、替えを何枚か用意しておくとか、ゴム手袋があると便利です。

ゴム手袋は安全ですが、ゴム手袋だけだとしにくい作業もあるので、必要に応じて軍手と使い分けられるのが良いです。

あと出来れば、ヘルメット、保護メガネがあるとより安全です。髪や目が露出するのも良くないので、頭部や目を守るものもあると良いです。

常備している防災用品に、防災頭巾などがあればベストですが、無い場合は頭にタオルを巻くとか、ガラスやアクリルが入っている伊達メガネとかサングラスをかけるだけでも、充分保護になりますので、おすすめです。

 

家電類はコンセントを抜く・ドアや窓を開けっ放しにして乾燥を早める

片付け作業のポイントが、家電類のコンセントを抜いて、ドアを開けておくことです。

家の中に浸水しているという事は、多かれ少なかれ家電類も濡れていることになるので、コンセントを抜いて電気が入らないようにします。また同時に、落ちているブレーカーをすぐ上げないようにしてください。

これをしないと、電気が復旧したときに火災になる原因となりますので、注意してください。

もう一つ、片付け作業はドアや窓を開けっ放しにして行うのが基本です。

ドア、窓を開けて作業することで、粉塵やカビを室内に留めないということもありますが、風が通ることで結果的に乾燥が早まるので、復旧も早まります。

 

濡れたものは再利用できない可能性が高い

作業の中で、家具や家電類で使えそうなものと、使えなさそうなものに分別していきますが、再利用できないものは全て外に出してください

そして浸水で濡れた家具、家電は基本的には、濡れたものは再利用するのは難しいと考えてください。

見た目で大丈夫そうに見えても、後々内部でカビが生えて壊れてしまうことがあります。例えばソファーはほぼ再利用できません。

壁、床は内部の問題もあるため、前述の施工会社の方に来てもらって、具体的に診断してもらいましょう。このことがあるため、できるだけ早めに連絡するのが大切です。

家具類を一通り、外に出すなどで片づけたら、汚水、泥の掃除に入り、流水できれいにして、消毒して完了です。

 

物を再利用する場合はしっかりと消毒する

消毒が一番重要で、水に触れて再利用するものは必ずきちんと消毒してください。

キッチンハイターや逆性石鹸を水で薄めたもので充分なので、それをしみ込ませた布で最後に拭き掃除するとか、手を洗うことをしてください。

壁であれば、それを霧吹きに入れて吹き付けるのでも充分です。

消毒用エタノールももちろん有効ですが、かなり高価で掃除の範囲も広いため、大量に必要になります。

また、エタノールはアルコールなので、火気厳禁ということも注意が必要です。

そして最後に、しっかり乾燥させて、終わったらシャワーやお風呂で手足、体をきれいに洗ってください。

乾燥させるのは、前述のドアを開けたまま作業することにもつながりますが、例えば扇風機を強めにかけて、強制的に空気を流すのも手です。

作業はどうしても、汚水や泥が体に付着するので、終わったら早めに洗い流して、食事前には必ず充分手を洗って、消毒してから食事をとってください。

 

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属