質問よりっ!健診と人間ドック、がん検診の違いは?#316

Voicy更新しましたっ!

今回は、人間ドック、がん検診について頂いたコメントをご紹介していきます。

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健康診断・人間ドック・がん検診とは

コメントにて、がん検診、人間ドックを受けた方が良いのか、という事についての質問がありました。

以前健康診断でよく見る数値について、何回かご紹介しましたが、今回はその健康診断でそのもの、そして人間ドックやがん検診というものについて、触れていきたいと思います。

 

健康診断は体の状態を把握するもの

まず一般的な健診、いわゆる健康診断ですが、これは把握するのが大きな目的、となります。

例えば尿検査で尿酸値を測る、血液検査で血糖値を測ることをしますが、これらはそれぞれ痛風や糖尿病の予測ができます。

様々な数値を測って、糖尿病の合併症、心筋梗塞や脳梗塞と言った大きな病を未然に防いでいきます。

もう一つの特徴が、これらの数値がどういう風に推移していくか、移り変わりを見ていくのも健康診断の役割です。

また最近の健康診断では、最低限のがん検査を同時に行うことも多いです。最低限のがん検査とは、バリウムを飲んで行う胃のX線検査や肺を見る胸のX線、検便で便に血が入っていないか見る便潜血です。女性ではマンモグラフィーで乳がん検査、子宮頸がん検査も行います

これらのがん検査はしっかりと予防につながり、死亡率の低下に非常に貢献していることが証明されているものですので、とってもおすすめです。

 

人間ドック・がん検診は「最初から精密検査をする」もの

これに対して人間ドックは、簡単に言うと「最初から精密検査をする」という形のものです。

前項の健康診断は、例えば血液検査ではだいたい15項目ほどを見ますが、人間ドックでは血液検査一つでも、50もの項目を確認します

また人間ドックであれば、胃カメラが標準で検査項目に入っていることも多いです。

オプションで付けられる項目も非常に多く、先ほどのX線によるがん検査はもちろんMRIで脳を見るという事も、追加料金でできる病院さんは多いです

その分、健康診断よりも遥かに時間がかかる、というデメリットがあります。入院して、1泊2日で検査していくことがほとんどで、当然費用もかさみます

ですが、自分が気になる部分だけを重点的にみる、ということが出来るのは、人間ドックの強みになります。全身くまなく見る場合は費用も時間もかかりますが、気になる部分だけを詳しく検査していくことが可能ですので、不安な部分があれば人間ドックも充分選択肢に入ります。

 

人間ドックでも100%がんを見つけることはできない

健康診断よりも費用が掛かる分、様々な病気の早期発見、治療が出来るのが人間ドックですが、それでもやはり100%見つける、という事はできません。

しかも、逆に「病気でないのに病気と判断する=陽性と判断されてしまうことが起こり得ます

関連して、放置していても症状が出るほど進行しない、放っておいても全く問題ないものが見つかっただけでも、初期のがんと診断されてしまい、がん治療が始まる、ということがあります。

もちろん、その場合は偽陽性か陽性かどうかを確認するための検査も行いますが、治療する場合は治療そのものが体にとって負担になることはあります。

 

とにかく安心したい場合は人間ドック、必要最低限で良ければ健康診断のみでOK

デメリットもありますが、やはり一番安心したいとき、早期発見早期治療出来たらそれが一番という思いがあれば、がん検査も含めた人間ドックがおすすめです。

必要最低限で良い場合は、健康診断プラス、前項でお伝えした胃、胸のX線と検便による便潜血検査でのがん検査、女性であれば乳がん子宮頸がんで充分効果的です。

自分も毎年の検査は最低限のもので済ませていて、万が一検査で悪い数字が出たり、体の調子がおかしいと思ったら、その時に人間ドックをしようと思います。

 

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属