質問よりっ!風邪の症状は止めてもいいの?#286

Voicy更新しましたっ!

今回はご質問頂いた、風邪の症状は止めても良いのかどうかの話。

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市販の風邪薬を使うという選択

風邪薬」は病院でもらうこともできますが、ドラッグストアやコンビニでも売られているものがあると思います。

売られている風邪薬は、大体咳止めとか鼻水止め、のどの痛み止めなどがあると思いますが、実は風邪を治すということはありません。最終的に風邪を治すのは、自分の体にある免疫細胞だからです。

市販の風邪薬はほとんど、症状を止めるためのものです。

今回はこの「風邪薬」というものについてのお話です。

 

せき・鼻水は「菌やウイルスを出すための働き」

まず、風邪の症状であるせきや鼻水は、菌やウイルスと言った異物を出すための働きです。

咳止め、鼻水止めはこの働きを抑えるものです。つまり菌やウイルスは残ったままで、それを殺したり無くすということはできません。

それらを倒すのは免疫力で、免疫力が武器を生み出し、倒していきます。そして消えたら、風邪が治ったという状態です。

この武器を作るのには2日か3日かかるとされます。普通の風邪が大体3日がピークとされるのは、この働きのためです。もちろん長い場合は1,2週間かかることはありますが、大体はこの期間で収まります。

 

薬を飲んで鼻やせきの症状を止めたら

それなら「そういった症状を抑える風邪薬を飲んだら治りが遅くなるのでは」とか、「出しっぱなしの方がすぐ直る」、と思われそうですが、実はそんなことはありません。

現状では、出しっぱなしにした方が早く治る、という根拠は未だに示されておらず、データもありません

それどころか逆に、症状がひどくて体が休まらず、眠ることができず逆に免疫力が落ちて行って治りが遅くなる、という事の方がよくあります。実際こういう経験がある方は多いはずです。

なので、風邪薬は飲んでも飲まなくても、風邪を治すのには関係ない、と言えます。

症状がひどい場合は飲んで体を休める、そうでないなら休んで免疫力を高める、養生していくのが確実です。

 

解熱剤はできるだけ使わない

ただし、熱は止めない方が良いです。

熱があるということは、免疫が風邪のウイルスと戦っている最中なうえ、高い方がウイルスが死にやすいので、出来れば使わないのが良いです。

ただかなりぐったりするとか、少し動くのも辛いぐらいであれば飲んでください。特にお子さんは熱性けいれんなど高熱による他の症状の可能性もあるので、こういった場合は熱をある程度薬で下げた方が良いです。

 

一番は予防をすること

これは、やはり予防が一番です。

普段から手指を消毒するとかももちろんですが、例えばお茶や紅茶には基本的にカテキンがあるので、こまめに飲むと免疫力が底上げされます。

また、たんぱく質と言うか、アミノ酸は免疫を作る元になるので、プロテインを取るのも、風邪を引いたときには便利です。

 

葛根湯と、桔梗湯という漢方薬も便利

風邪の引き始めの時に、何か安心したいというときに良い助けになるのは漢方薬です。

一つは背中が寒いとか、うっすら寒気をするようなとき、このまま明日になると風邪を引きそうという時には「葛根湯が効果があるのは風邪の初期の症状、寒気を感じている段階でしか効きません。

せきや鼻水が出てからでは効かないので、まだ寒気だけという時があれば是非飲んでください。

もうひとつ、最近自分がおすすめしてるのが「うがいをしながら飲む」ことです。

ガラガラとうがいをして、のどや口にある菌を取ってわざわざ飲み込む、と思われそうですが、この飲み方が一番良いです。確かに菌は取れますが飲み込むことで胃酸で溶けるので、発症することはありません。

 

次回はインフルエンザにおいて非常に怖い「インフルエンザ脳症」に関してお話いたします。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属