「食物繊維」が持つ本当の働き
少し前、秋バテの配信の際に、「自律神経の乱れからか、便秘や腹部膨満がある」という旨のコメントをいただきました。
この解消に便利なのが「食物繊維」ですが、今回はこの食物繊維というものについて詳しく掘り下げていきたいと思います。
消化吸収されずに、大腸に達する成分
食物繊維については、voicyでもダイエットや肥満の回で度々触れています。
簡単に言うと、小腸で消化吸収されず、大腸に達する成分のことです。
通常、脂肪も糖分も含め、あらゆる「栄養素」は小腸の時点でほとんどが吸収され、体内に入っていきます。
しかし、そこで消化吸収されないものは、そのまま大腸まで到達して、便として排出されます。
消化吸収されないということは、人間の栄養、エネルギー源、骨など細胞の素として使われないということです。
言い換えれば、基本的にはカロリーが無いのが、食物繊維なのです。
食物繊維は、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維の2種類があります。
文字通り水に溶けるものと溶けないもののことで、水溶性の方は主に果物が該当して、成分で言うとペクチンが代表例です。
また、海藻類も食物繊維として有名ですが、これはアルギン酸という水溶性食物繊維が多く含まれているためです。
一方の不溶性食物繊維は、簡単に言うと固いもののことで、主にキノコ類などの野菜に多く、成分で言うとセルロースやリグニンといった成分が代表的です。
エネルギーにならないのに、体にはとても重要な成分
食物繊維は、体にとっては栄養にも動力源にもなりません。
ですが、食物繊維は炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの5大栄養素に並ぶほど重要な意味を持ちます。
まず、水溶性も不溶性もどちらも、大腸に居る善玉菌にとっての餌となります。
善玉菌の働きが良くなるということは、腸内環境が良くなるという意味ですので、便秘の解消はもちろん、免疫力が高まり健康に非常に良い影響が出ます。
次に水溶性食物繊維は水を含んでゼリー状となるため、小腸内での移動がゆっくりとなって満腹感を感じやすくなる上に、腸の壁にくっつくように移動するため、小腸内での炭水化物などの吸収を穏やかにできます。
さらに、水溶性食物繊維には余分なコレステロールや塩分がくっつくため、血圧を下げるとか、コレステロール値の改善が期待できます。
もう一つの不溶性食物繊維は、胃や腸で水分を吸収して大腸へと行くため、そもそもの便のかさが増えていきます。
便の量が増えることで、結果的に大腸が刺激されることになるため、働きが非常に良くなり、便秘解消に大いに役立ちます。
大腸には悪玉菌が出す有害物質があるため、便が増えるということは有害物質を吸収する依り代が増えることにもなります。
また、不溶性食物繊維は食べ物としては固いものが主ですので、噛む回数が自然と増え、満腹感が得られやすくなるため、食べすぎを防げます。
食物繊維を効率よくとる
食物繊維は不足しやすい栄養素の一つで、諸説ありますが推奨としては1日で24グラムの食物繊維をとるのが望ましい、とされています。
レタス1玉でとれるのは4グラムほどですので、24グラム分と考えるとかなり難しいと思うはずです。
たくさんの野菜類、キノコ類をとるのも良いですが、毎食に果物を入れるのは意外と効率が良いのでおすすめです。
果物は水溶性の食物繊維で、デザートとして食べやすいので無理なく続けやすいです。
他には、みそ汁をわかめ、なめこ系のものにするのももちろん便利です。
またサプリメントだと、日本ではイージーファイバーが人気ですが、これは難消化デキストリンという種類のものですので、どちらかというとコメントにあったイヌリンの方がおすすめです。
イヌリンの食物繊維の方が大腸の善玉菌の餌になりやすいため、腸を整えるという点ではイヌリンの方が便利です。
人工的なサプリメントだと抵抗がある、という方は大麦若葉や麹パウダーは自然由来で食物繊維を大きく摂取できますので、検討してみてください。