Voicy更新しましたっ!
今回もcovid-19のお話で、感染した場合の治療について
健康情報を声で聞ける!
医療・健康ナビ なくすりーなはこちらから聞いてみて下さいね^^v
covid-19について、5月中旬時点で分かったこと
今回もcovid-19について、おさらいも兼ねて、現在の状況や新しく分かったことについてまとめて行きます。
具体的な症状の様子も、かなりはっきりと見えてきたので、ここでもう一度知っておくと良いかと思います。
最初は風邪の症状から
まず、covid-19に感染した場合、4日以内か、最大で14日以内に何らかの症状が出てきます。
微熱から軽い咳、喉の痛みと言った風邪の症状が最初で、その後から頭痛や関節の痛みのような、インフルエンザのような症状が出ます。
拡大し始めた当初から言われていましたが、やはり、重いインフルエンザのような症状が大きな特徴です。
つまり言い換えれば、そうした症状だけでcovid-19に感染した、とは言い切れないということです。
インフルエンザとの一番の違いは、治るまでの期間が非常に長い点にあります。
インフルエンザは大体、4日ほど寝て安静にしていれば、通常の大人の方であれば問題なく治って行くことが多いですが、covid-19は最低でも1週間ほどは、安静にしていても症状が収まらず、治るのに時間がかかるという特徴があります。
これはたとえ軽症であっても、一度症状が出てしまうと、1週間近くは続くので、普通の風邪やインフルエンザよりも遥かに辛いものがあります。
味覚・嗅覚異常について
そして、インフルエンザでは見られない、covid-19ならではの症状としてクローズアップされていたのが、味覚や嗅覚の異常です。
これは実際に、40代以下の人たちで多く見られる、という海外のデータは存在して、確かにこの症状が起こることはあります。
味、においが何かおかしいというよりも、全く感じないレベルの強さで表れますが、これは大体2週間から4週間ほどで元に戻って行き、さらにそのうち8割の方は他の症状も同時に治って行って、完治となります。
味覚や嗅覚異常の治療は特に無く、解熱剤を使うとか、栄養のための点滴、水分補給と言った対症療法で、治して行きます。
なのでどうしても、患者さん全体で2割ほどは重症化してしまい、入院したり集中治療室に入って処置を受ける、ということになります。
重症化の目安
普通の風邪よりも確実に重い、重症な場合の目安としては、やはり息苦しさが挙げられます。息苦しさがあるという事は、肺胞に炎症があり、肺炎になっていることの表れです。
この場合は酸素吸入が必要になり、軽度であれば鼻からのチューブとボンベで一先ずは大丈夫ですが、特に重篤な場合は集中治療室に入ったり、人工心肺を用いることになります。
感染してから、重症化するかどうかは7日目から10日目ほどに分かれ目がある、という事が分かっています。
covid-19は一度かかるとその日から1週間から10日ぐらい経過すると、ほとんどのケースで一旦症状が落ち着いて楽になります。
その直後、軽症であればそのまま症状が引いて治って行きますが、重症化する場合はそこから急激に悪化します。
この急激な悪化のことを、サイトカインストームの可能性があると言われています。
サイトカインとは人間の体内にある、免疫にかかわる物質で、以前の免疫の回でお伝えしたような、体の中に入った病原体と戦う時に働く物質の一つですが、このサイトカインがcovid-19によって、コントロールを失ってしまうことがあります。
すると、炎症が現在進行形で起きている部分である肺を中心に、体内の様々なところで暴れ、炎症となって現れます。
これによって、肺炎が悪化するだけではなく、肝臓や腎臓と言った臓器にも多大なダメージを与えます。
脳梗塞や心筋梗塞、さらには多臓器不全で亡くなるケースもあります。
covid-19による重症化はサイトカインストームによるものである可能性が高いそうです。
重症化しやすい方の傾向
現在のデータでは、日本では60代以降の方の方が重症化しやすい傾向にあり、海外でも60代以上の方はリスクが高いことが分かっています。
日本のデータだと、40代までで0.4%以下の方が重症化、50代は1.3%、60代の方は4%、70代方は8%、80代の方は15%となっています。
やはり、何度思伝えしているように、加齢によって免疫力が落ちているとか、持病、基礎疾患がある方は非常にリスクが高くなっています。
基礎疾患に関連して、重症化しやすい方は肥満の方に多い傾向もあります。
イギリスではICUに運ばれる重症の患者さんの75%は肥満の男性で、50歳未満の若い患者さんで重症化してICUに運ばれた場合では、9割以上の方が肥満だったというデータも出ています。
これを踏まえて考えてみると、これは憶測になりますが海外の死亡率の高さは肥満が一つの要因になっている可能性もあります。
昔から欧米は肥満率が高く、アメリカで36.2%、イギリスで27.8%ですが、中国では6.2%、日本では4.3%と、大きな差があります。
もしかしたらこのことも、欧米で重症の患者さんが多い原因の一つかもしれません。
この一方で、逆に持病や基礎疾患がない方は、日本も含めて世界的に、65歳未満の方は死亡リスクが低いことが分かっています。
ちなみに、前々項の、サイトカインストームのお話をもう少し掘り下げると、これは一定の割合でどうしても起こり得ることです。
どう言う事かと言うと、日本でもcovid-19による40歳未満の方の死亡率は0.2%となっています。
つまり、充分に健康であっても、単純計算で感染者が500人いたらそのうち一人ほどは、重症化するサイトカインストームが起きてしまう可能性があるということです。
非常に厄介で怖いウイルスですが、最後に治療薬について、現時点で分かっていることについてまとめて行きます。
covid-19の治療薬はどうなる?
治療薬と言えば、今ニュースでとても話題な「アビガン」があると思います。
まず、実際に承認されて供給も一部で始まっているレムデシビルですが、これはエボラ出血熱に使うお薬で、エボラウイルスに効くお薬として使われていました。
これは人工呼吸器や人工心肺を使用しているような、非常に重大な事態になっている方に対して用いるお薬で、陽性になったからと言ってすぐに飲む、というような使い方ではありません。
仕組みとしては、体内でcovid-19のウイルスが増えないようにしてくれるものです。ウイルスが増えないので、体の免疫力が戦い続けられれば、ウイルスが消えて治って行きます。
言い換えれば、重症な場合になったとしても、人工呼吸器や人工心肺を使いながら懸命に酸素と栄養を送っていければ、回復する可能性が充分に生まれるということです。
そしてもう一つのアビガンは、反対に軽症の方に効果的なお薬になっています。
アビガンは仕組みとしてはレムデシビルと同じようなものですが、効果は重症な人に使うよりも、軽症から中等症の人に使った方が早く治った、ということが中国での治験で判明しており、日本でも5月中に承認される見通しになっています。
アビガンは日本の富士フィルムが開発したお薬で、追加承認されていないのは、妊娠に関して強い副作用があるためです。
サイトカインストームの薬の研究も
サイトカインストームに効果的なお薬も日々研究されています。
前述したように、自分の体にある免疫機能による病ですので、同様な病となる関節リウマチや白血病の薬が、サイトカインストームの状態を抑えるのに役立つのでは、と言われています。
レムデシビル、アビガン、どちらも近日中に供給される予定ですが、そもそも日本人に対して、きちんと効くのかどうかと言う所から、分からない部分も存在します。
決して過剰な期待はせずに、もうしばらくは3密を避けて、ソーシャルディスタンスを保つようにしてください。