covid-19各国の対策はどうなってるの?#414

今回は5月初旬現在の、海外諸国の状況について

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アジア・欧米のcovid-19の状況

日本では緊急事態宣言が延長された一方で、一部の県では警戒を解除する動きも出てきています。

今回は日本ではなく、今まであまり触れてこなかった海外諸国の状況について、まとめて行きたいと思います。

欧米諸国が行った「ロックダウン」

日本でも何度も議題に上がっている「ロックダウン」という言葉があります。

実際にアメリカやヨーロッパの国々が行っている対策で、日本の自粛や休業要請よりも遥かに強い、強制力のある外出規制と、その期間中には充分に休業保障する、という施策です。

このロックダウンは、奏功しているところも確かに存在します。

例えば北欧のオーストリア、デンマークではロックダウンを非常に早い段階で決断して、3週間や4週間後に急激に患者数が減り、収束へ確実に向かっています。

もちろん、国によって流行り方や生活様式による違いも当然あるので一概には言えませんが、ロックダウンが正解だった地域もあります。

ドイツの対策

中でも、ドイツの対策は非常に称賛されていると思います。

ドイツは感染者数そのものは多いですが、死亡者が欧米諸国の中で著しく低いという特徴があります。

ドイツ以外の国では、死亡者数の率は3%から5%程ですが、ドイツでは1.6%と、突出して低くなっているのです。

ドイツでは早い段階で非常に素早くPCR検査を行って、患者さんの追跡をした上に、ロックダウンも早くに決めたという経緯があります。

その結果、現在は段階的にロックダウンを解除しており、収束へ確実に進んでいます。

イギリスやアメリカと言った、他の欧米の大国は後手に回ってしまい、最終的にはロックダウンには至りましたが、現在も収束は見えておりません。

アメリカはピークとしては越えた可能性が高いとされていますが、死亡率は3%から5%と、やはり高い方で推移しています。

ちなみに欧州の中で一つだけ独自路線で、集団免疫を獲得するための政策を取り、現在もロックダウンをせずに進んでいる国が、スウェーデンです。

ほぼ普段通りの生活を送っていますが、現在の死亡率は12%を超えて中国の武漢やアメリカと言った地域の2倍以上の数字になっています。

日本以外のアジアの状況

発生源として可能性が高い中国や、強力な感染症対策をしていた韓国、台湾と言った国では、観客に制限を設けながらもプロ野球の開幕がされるなど、日常生活を取り戻す動きが大幅に加速しています。

中国や韓国では特に、最初のころに感染爆発がありながら、日本や欧米と比べると遥かに早い段階で収束が見えて来ています。

この要因としては、まず武漢を完全に閉鎖したことと、他国よりも遥かに強力に、感染者の管理ができた点があります。

中国、韓国、台湾では、国民一人一人にIDがある上に、カードの履歴やスマホのGPSの情報を利用できるため、どこにどのようにして行ったのかが充分把握できます。

そしてそれを政府が把握するだけでなく、その情報を逆に国民に返して、より正確な感染地域、情報がすぐに確認できるアプリが使える、といったような体制が整っているのです。

さらに、韓国と台湾ではそのシステムを活用して、マスクの管理も政府が行っています。

例えば1週間で一人5枚まで、という風に制限が設けられており、これによってマスクの品薄を防いで、早いうちから広範囲の国民に行きわたるようにしています。これで、拡散予防のためのマスクも多くの方がつけられるため、結果として感染者の拡大が緩やかになり、現在へと至っています。

これらの国のこうした対策は、以前お伝えしたように、SARSやMARSの経験があり、またIT技術も当時よりも進化しているため出来ることで、日本や欧米で同じことをするのはプライバシーの問題もあり、難しいと思います。

日本の状況

これらのことを踏まえて、現在の日本の状況ですが、緊急事態宣言と強制力がほぼ無い自粛要請を発表して1か月ほど経ちましたが、感染者の減り方としては緩やかで、確かな効果にはそれほどなっていません。

実際、依然として警戒が必要な地域も多く、延長も正式に発表されました。

そしてこちらも依然として、PCR検査の数が増えず、必然的に感染者数も少なく推移しています。

この理由は、検査を無作為にしているのではなく、症状がはっきり出ている人、重い人を優先にしているためです。

ですので実際、無症状や軽症者の人よりも、重症者の割合が他の国と比べると多くなっています。

ただ、死亡率は他の国よりも非常に低いというデータがあります。

つまり、他の国と同じほどの数のPCR検査をしたとしたら、死亡率はもっと低くなる可能性が高いです。

これは様々な説がありますが、他の国との決定的な違いはCTの普及率が一つあります。

日本はCT検査が全国各地の至る所で、素早くできる体制が整っています。

保有台数で言うと、100万人当たりで100台ほどで、これは世界一の数になります。

これによって、肺炎があるかどうかを瞬時に判断して、その上でPCR検査も組み合わせて治療しています。なので、重症の方に対しては特に早い段階で対処でき、それが低い死亡率となって現れていると考えられます。

第2波に注意

ただ、やはり現在でも、患者数が増えてしまうと、医療資源が急激に消費されてしまう可能性は充分あります。

特に注意するべきなのが、北海道で見られたような、第2波です。

自粛明け、宣言終了後に感染者が増加して、一定数になったらまた自粛を要請する、という繰り返しになる恐れがあります。

北海道では先々月の3月に、日本で一番早く緊急事態宣言を発表し、感染者数減少に大きな効果を上げましたが、先月後半ごろに再び増加に転じたという事があります。

自粛してる間で隔離と治療を、そして解除して経済活動を再開、そこでまた感染者が増えたら自粛、というサイクルをしばらくの間は繰り返して行くのかもしれません。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属