いびきが出たら要注意!睡眠時無呼吸症候群#881

春特有の睡眠不足に注意

4月に入り、全国的にもようやく暖かくなってきました。

春は花粉症や五月病など、様々なトラブルがありますが、春眠暁を覚えずという言葉もあるように、睡眠不足も厄介なことの一つです。

睡眠不足とは、単に睡眠時間を確保すれば良いというわけではなく、質の高さが大切になります。

もし、寝ているのに疲れが取れないとか、日中に強い眠気を感じる、といった症状がある場合、実はしっかりと眠れていない可能性があります。

正式には、睡眠時無呼吸症候群(SAS)という病の可能性があるのです。

詳しくは後述しますが、大きないびきがある方は、特に注意して頂ければと思います。

今回は睡眠不足のなかでも、この睡眠時無呼吸症候群について詳しくご紹介していきます。

睡眠時無呼吸症候群の仕組み

SASとは睡眠中に何度も呼吸が止まるという病気で、10秒以上の無呼吸が1時間あたり5回以上、または一晩に30回以上発生すると診断されます。

最大の症状が大きないびきで、日中に眠気を感じたり、朝に頭痛がするとか、起床時に口が渇く、集中力の低下なども特徴的な症状になります。

そして、SASの大きな原因は肥満にあります。例えば首回りに脂肪がつくと、気道が狭くなりやすく、無呼吸が発生しやすくなります。

また、扁桃腺が大きい人も同様に気道が塞がりやすくなるため、注意が必要です。

SASを放っておくと、高血圧や心疾患、糖尿病、脳梗塞といった命に関わる病気のリスクが高まるため、心当たりがあえrば早めに診断・治療を受けることが重要です。

特に、いびきを指摘されたことがあるというときは、耳鼻科や睡眠外来、いびき治療外来といったお医者さんに相談してみてください。

CPAPの治療法

SASの治療は、まず有名なのがCPAPという治療法です。

正式名で言うと、Continuous Positive Airway Pressure、と言い、日本語で持続陽圧呼吸療法と言うものです。

鼻に専用のマスクを装着して、一定の圧力で空気を送り込むことで、気道を強制的に広げて、呼吸の停止を防ぐという方法です。

CPAPを使用して眠ることで、酸素がしっかりと取り入れられるため質が上がり、日中の眠気や疲れが大幅に軽減されるほか、心血管系の負担も減少します。

ただし、機械が大きく、持ち運びに不便なのと、やはりマスクを付けて眠るのが違和感があるため難しく、慣れるまでに時間がかかるのがデメリットです。

また、CPAPは保険診療が適用されるため、レンタルして使うこともできますが、購入することもできます。

通院が面倒に感じたり、レンタル料を考えて購入する方も居ますが、問題になるのがマスクとのフィッティングです。

マスクと顔が合わず、違和感に慣れないと無駄になってしまうことがあるため、機械本体を購入する際は充分にフィッティングを考えることが重要になります。

CPAPではないもう一つの治療法として、マウスピース療法もあります。

下顎を前に出すような形のマウスピースを装着して眠ることで、気道を自然に広げるという方法です。

症状が軽度の方に適しているタイプで、こちらも保険適用がされ、当然持ち運びも容易ですので、出張や旅行が多い人におすすめです。

ちなみにもう一つ、新しい治療法としてレーザー治療もあります。

気道周りの組織を引き締め、気道を広げるという方法で、メスを使わずに手術するような治療です。

数回の通院で治療できますが、保険が適用されずにコストがかかりますので、注意してください。

日常生活でできるSAS対策

最後に、普段からできるSAS対策ですが、例えば仰向けで寝ると舌が喉に落ち込みやすく、気道が狭くなるため、横向きで寝るのも一つの対策になります。

このとき、体の左側を下にすると、胃と食道の間が上向きになるため、逆流性食道炎の予防にもつながります。

もし可能であれば、抱き枕を活用するのも一つの手です。

その他はやはり、肥満の解消も大きな改善につながりますが、まずは寝るときの姿勢を見直してみていただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属