遺伝と病気の関係は?どの様に考えたら良い?#861

家族から受け継ぐ遺伝

先日コメントにて、体質でコレステロールが高く、子供たちも遺伝で似てしまったのか心配、といただきました。

体質や性質など、親から子へと受け継がれる遺伝は様々ありますが、病気の遺伝は特に注目されると思います。

例えば家庭内で特定の病気が多く見られる場合は、遺伝的な要因が関わっているとか家系でそうなっている、と言われることも多いと思います。

今回は、自分の経験も踏まえながら、病気と遺伝について少しまとめて行きます。

遺伝の二つの種類

遺伝には大きく分けて二つの種類があります。

まず、直接的な遺伝があり、これは遺伝子そのものが病気を引き起こすという場合です。

これは特定のがんや、遺伝性疾患のことを指します。

そしてもう一つが、間接的な遺伝です。

体質や食習慣、生活習慣など、環境的な要素が遺伝的に受け継がれる場合で、例えば家族で同じような食事や生活スタイルを共有することで、似たような健康リスクを抱えるという場合のことを指します。

ちなみに、何らかのことで病院にかかった際、ご家族の方でこういった病気の方居ますか、と聞かれると思います。

自分の最近の場合だと、心筋梗塞などの心臓の病や脳梗塞で亡くなった方は居ますかと聞かれました。

家系に心臓や脳梗塞で亡くなった方は居ませんが、親がコレステロール値が体質的に異常値が出ることが多く、自分も若いころから高い数字が出ており、さらに自分の子どもも、体脂肪はアスリートレベルで内臓脂肪もほとんどありませんが、コレステロール値は異常値で、完全に遺伝だと認識しています。

遺伝全般について言えることですが、こうしたことはあくまでも体質の問題ですので、遺伝によって必ず何らかの病気になる、ということはありません。

子どもを持つ親からすると、とても不安になると思いますが、逆に考えると遺伝だと分かっていなければ何も感じず、知らないまま過ごしていたと思います。

遺伝だと気付けたことで、病気への対策をできると捉えて、生活習慣の見直しなどをしていくと、良いかと思います。

遺伝が関係する主な病気

遺伝が関係する病気の中で特に有名なのが、がんです。

がんの家系、といった言葉があるように、実際に特定のがんは遺伝的要因が強く関係しています。

その次に多いのが、糖尿病や心筋梗塞、高血圧で、これも遺伝的要素が影響することが研究で明らかになっています。

これらの病気は、家族歴がある場合、発症リスクが高まるため、注意が必要です。

もう少し具体的に言うと、がんには遺伝性がん症候群と言い、特定の遺伝子の変異によって起こるがんも存在します。

心筋梗塞などでは、特に悪玉コレステロールの代謝に関する遺伝子に問題があり、体質的に心筋梗塞が起こりやすいということがあります。

遺伝による心筋梗塞などは20代でも起こることがあり、不摂生がたたってしまったとか、個人の生活のせいと言われることもあります。

遺伝子による場合では、生活習慣などに充分気を付けていても、完全に防げるものでは無い部分もあります。

遺伝のリスクを管理するために

先ほどと重ねてになりますが、遺伝的要因があるからといって必ずしもその病気にかかるわけではありません。

ですが、遺伝の影響を受けやすい病気を理解して、対策や早期発見をすることは可能であり、非常に重要になります。

遺伝子検査を利用して自分の体質やリスクを知ることも一つの方法ですが、検査をせずとも、ある程度自分の家族の傾向を知っておいて、自分の生活と見比べて、注意していくだけでも充分予防につながります。

もちろん基本的な、健康的な生活習慣にするとか、定期的な健康診断も大切ですので、是非普段から心がけていただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属