がん検診の意味
今回は、前回の健康診断のお話しにも関連して、がん検診のお話です。
最近、身の回りでもがんが見つかったという方が多く、早期発見できて喜んでた方もいれば、3か月近くおなかが痛いものの内科などの先生が見ても全く分からず、最終的にがんが骨転移していたことが分かったという方まで、様々なケースが連続していました。
そこで、がんを発見するための最大の施策とも言える「がん検診」について、詳しく触れていきたいと思います。
発生頻度も死亡率も高い「5大」がん
がんは人間の様々な部位で発症しますが、中でも5つの部分が特になりやすいとされています。
それは胃がん、肺がん、乳がん、子宮がん、大腸がんの5つです。
現在はこの5つが、一般的ながん検診で検査される部分となっています。
そしてこれらのがんの検査は、市町村で実施しているところが多く、自己負担が安価に済む一方、前回の健康診断のように精度が低いという点もあります。
言い換えれば、自治体で行うがん検診でがんが見つかった場合、すでに進行していて早期治療ができないという可能性もあります。
つまり自治体で行うがん検診を毎年受けていて、それで異常が無いから大丈夫、とは言い切れない部分もあるのです。
そこで、前回の人間ドックのように、全額自費でそれなりのコストはかかるものの、がん検査を主に調べる人間ドックを受けるなどの対策が効果的です。
ただ、最近注目されており話題になってきているがん検査が、尿を使った「N-NOSE」というものです。
尿でがん検査ができる
人間の体の中にがん細胞ができると、尿の中に何らかの成分が含まれるようになります。
N-NOSEは、線虫という特殊な虫が尿の成分に反応して、がんがあることを知らせてくれるという検査です。
この、何らかの成分というのは具体的にはまだ不明で研究途中ですが、線虫が反応するのはその成分が尿の中にある人、つまりがん細胞が体内にある人のみ、ということが明らかになり、実用化されたのです。
尿だけで検査でき、感度も非常に高く早期発見が可能な上に、種類も15種類のいずれかのがんがあることがわかるのです。
ただし、N-NOSEでは15種類のいずれかのがん細胞が体内にあることがわかるだけで、それが具体的に何かは、病院などで一つ一つ検査をしなければ発見はできません。
その検査には保険は適用されないため全額自費での検査となり、またN-NOSE検査そのもののコストも、1万3800円と決して安価ではありません。
次世代のがん検査
そして、このN-NOSEの弱点を克服したような、「マイクロRNA」という次世代のがん検査も登場しています。
マイクロRNAとは、簡単に言うと体の細胞同士のコミュニケーションに使われているような成分で、体内にがん細胞ができると特定の種類のマイクロRNAが増減し、これが尿の中に現れます。
つまり、尿の中のマイクロRNAの量を検査することで、体内にがんがあるかどうかを見つけるという手法のがん検査になります。
分かる種類は肺がん、胃がん、大腸がん、食道がん、すい臓がん、卵巣がん、乳がんで、N-NOSEと違い、この5つのどこにがん細胞があるかまで、尿から分かるという特徴があります。
結果として、早期発見早期治療が非常に素早くできます。
ただ、こちらも保険適用はされず全額自費で、およそ5万円は必要になり、さらにお医者さんの診断とセットになることが多いので58000円や、高い所だと10万円ほどかかるところもあります。
50代を過ぎたら定期的な検診を
がんという病は、古来から人間について回る大きな病で、現在でも絶え間なく治療と検査の技術が磨かれています。
加齢とともに発症のリスクは高まっていきますので、特に発症リスクが高い生活をしていなくても、50代を過ぎたあたりで一度検診に行くことをおすすめします。
反対に、もしがんのリスクが高い生活をしているのであれば、早期発見のためにも早めにN-NOSEやマイクロRNA検査を受けるのがおすすめです。
マイクロRNAでわかるのは5種類ですので、マイクロRNAで何も無かった後、N-NOSE検査をしたら10種類のうちのいずれかになっている可能性が高い、という事分かりますので、絞り込むことができます。
コストの問題はありますが、がんはとにかく早期発見が何よりも肝心ですので、不安な方は両方とも試してみるのも一つです。