ニンバス株に惑わされない!この夏の賢いコロナ対策!#919

新型コロナの新たな変異株が流行

先日から、新型コロナの患者さんが増えてきています。

五類に移行してから、voicyにて新型コロナについて取り上げることはあまりありませんでしたが、今回は患者さんが増えているという点と、新たな変異株となる、ニンバス株の流行から、久しぶりに取り上げてみたいと思います。

オミクロン株の一種

現在、主に流行しているものは、ニンバス株と呼ばれる系統ですが、これはオミクロン株の一種となります。

今年5月末頃から、WHOが注意を呼びかけるようになり、日本でも広がりを見せています。

国内では10週連続で患者数が増加しており、先日8月18日から24日の1週間では、定点あたり8.7人と今年最多の数値となりました。

インフルエンザのピーク時では15から30、場合によっては50を超えることもあるため、インフルエンザを超えるほどの猛威ではありませんが、じわじわと流行していますので、予断を許さない状況にあります。

薬局の現場でも、1日に数名の新型コロナ患者さんに対応するような状況が続いており、今後増えるとしたら負担はさらに上がっていくと思われます。

ニンバス株の症状と流行の背景

症状に関しては、従来のオミクロン株と大きな違いはありません。

発熱、咳、だるさに加え、強い喉の痛みがあり、食事や水分の摂取が難しくなる場合もあります。

流行の背景には、お盆休みを中心とした人の移動や接触の増加が大きく影響していると考えられています。

実は昨年も同じ時期に感染者数が増加しピークを迎えており、今年も8月下旬から9月初旬にかけて高止まりが続く可能性があります。

感染時の対応と治療の基本

感染、発症したと思われるとき、目安としては発症時から5日間、かつ症状が回復してから丸1日は外出を控えることが望ましいです。

これはインフルエンザと同じ基準で、例えばお子さんの場合は学校保健安全法により定められた出席停止の期間と同じです。

治療については、基本的には対症療法で、解熱鎮痛剤や咳止めなど症状に応じた薬を用いて症状を抑えて、免疫で回復していきます。

新型コロナ用として、パキロビッドやラゲブリオといった抗ウイルス薬もありますが、併用できない薬が多く、若い方に処方されることはほぼありません。

医師の判断で必要と思われる場合のみ、発症5日以内に投与されることがありますので、もし服用中のお薬があったりおくすり手帳があれば、受診時にお医者さんに伝えてください。

感染予防と日常生活でできる工夫

最後に予防策についてですが、これまでと大きな違いはなく、マスクの着用、換気、手洗い、消毒といった基本的な感染対策が引き続き有効です。

体調が悪い時にはマスクをして他者にうつさないようにするとか、人と距離を取る、帰宅後や食事前、トイレ後には手洗いと手指の消毒を徹底することが大切です。

食事もバランス良く、お肉や魚、大豆製品からタンパク質をしっかり摂るとか、鮭や卵に含まれるビタミンD、牡蠣や赤身肉に多い亜鉛も免疫機能を高める栄養素です。

体調が優れない時には無理をせず休養を取って、調子が悪い中での過度な活動を控えることも、自分と周囲を守るうえで重要ですので、充分気を付けていただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

相談されたい薬剤師
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属