結膜炎の治療と予防は?【リスナーからの質問】#620

結膜炎は市販薬で治療できる?

先日コメントにて、「アレルギー性結膜炎ですが、700円ぐらいの市販薬を使おうか、眼科に行こうか悩んでます」と言ったものをいただきました。

結膜炎とは、目の結膜に出来る炎症のことで、目に非常に頻繁に起こる病の一つです。

今回はこの結膜炎という病について、詳しく掘り下げていきたいと思います。

目の「結膜」

結膜炎が起こる、目の「結膜」とは、まぶたの裏側にある膜のことです。

ここに、何らかの原因で炎症が起こったのが、結膜炎です。

炎症の原因が何らかのアレルギー反応であれば、アレルギー性結膜炎となるように、原因によって名称が変わって行きます。

花粉のアレルギー反応で目がかゆくなる症状も、アレルギー性結膜炎となるため、日本人にとっては非常にメジャーな病と言えます。

かゆいからといってかいてしまうと目がどんどん充血したり、腫れてしまって事態が深刻化していきます。

花粉以外だと、ダニやハウスダストでも目がかゆくなることがあり、その場合はダニやハウスダストによるアレルギー性結膜炎となります。

花粉であれば季節性、ダニやハウスダストであれば通年性となります。

もう一つ代表的なのが、ウイルス性結膜炎です。

何らかのウイルスに感染することで起きた結膜炎のことで、かゆみの症状よりも痛みがあるのが特徴で、例えば涙が止まらないとか、充血ががひどいと言った症状も多いのがウイルス性の結膜炎です。

ウイルス性でよくあるのが、流行性角結膜炎という、アデノウイルスが原因の結膜炎で、俗にいう「はやり目」のことです。

そして喉頭結膜熱という、発熱やのどの痛みなどのような風邪の症状と同時に結膜炎が起こることもあり、こちらは俗に「プール熱」と呼ばれるタイプの結膜炎です。

さらにもう一つ、クラミジアのウイルスが原因で起こる、クラミジア結膜炎というのも存在します。

クラミジアという菌による結膜炎で、性感染症の一つになります。

初期のものは他のウイルス性結膜炎と症状がほぼ変わらず、どのウイルスによる結膜炎なのか判別が難しいというところがありますが、現在の日本ではクラミジア結膜炎はあまり症例がありません。

目薬で治療をする

次に、結膜炎の治療についてですが、コメントでも頂いたように市販薬が様々発売されており、自力での治療が可能です。

しかし、様々な種類がある分、値段の幅も非常に広く、アレルギー性結膜炎対応と書いてある目薬だけでも800円から2000円ぐらいまでのものがあります。

個人的な見解だと、アレルギー性結膜炎であれば安価な800円程度のもので問題ない事が多いです。

高いものは様々な症状に対応可能で、配合されているお薬の種類もその分多いのが特徴です。

炎症がひどく、症状も重い場合は眼科さんに行ってもらうことを考えると、市販のもので大丈夫そうな場合であれば、安価なタイプの目薬で充分効果があると言えます。

ちなみに、炎症にはステロイドが効果的ですが、薬局ではステロイドが配合された目薬も零売できるため、一般的なアレルギー性結膜炎で症状が普通程度であれば、市販のもので充分治療ができます。

一方のウイルス性の結膜炎の場合は、目薬でウイルスを殺すお薬は無いですが、その他の雑菌に感染しないよう、抗菌薬の目薬を使って治療していきます。

場合によっては、炎症を抑えるステロイドの目薬も一緒に使って治していきます。

ただし、クラミジア結膜炎の場合は、クラミジアに効く抗菌薬が飲み薬であるため、こちらも使います。

クラミジアの場合はお医者さんによる処方が必要で、期間もある程度必要になるため注意してください。

原因が分からないときは、アレルギー性結膜炎用の目薬を使う

アレルギー性とウイルス性の見分け方ですが、症状が似ているため完全に見分けることは難しいです。

季節的や環境的に、花粉などによって起きているとわかることもありますが、分からない場合ももちろんあります。

その時は、原因が何にしても、結膜炎という炎症が起きていることは事実ですので、まずはアレルギー性結膜炎用の目薬を少し使って見て、症状が引くかどうかを確かめて見てください。

使っても全く症状が変わらない場合は、眼科さんに行って原因を調べてもらう、というのがおすすめです。

結膜炎の予防

最後に結膜炎の予防ですが、アレルギー性結膜炎の場合はアレルギー物質を目に入れないことが大切です。

そのためには一度、自分の体質では何にアレルギー反応が出るかを検査してみるのが確実です。

何に対してアレルギーを持っているかを知っておくと、回避ができるようになります。

通年性の場合、ダニやハウスダストと言った住環境によるものでも同様で、そういったものにアレルギーがあるとわかれば、しっかりと掃除をする習慣をつけるのも大切です。

ちなみに、コンタクトの汚れから結膜炎になる場合もあるので、コンタクトを使用中であればこまめに手入れをしたり、1日使い切りタイプに買えるのも手です。

ウイルス性結膜炎は、文字通りウイルスによるもので、そのウイルスに感染することで発症するため充分に注意が必要です。

経路は接触感染ですので、不用意に目をこすったり触ったりすることで感染するため、普段から手洗いと手指消毒をしっかりするとか、免疫力を下げないようにすることが予防につながります。

もし家庭内で感染者が出た場合は、隔離の措置は不要ですが、タオルなどはきちんと分けてお風呂は最後に入るようにすると、家族内の感染拡大を防止できます。

ウイルス性結膜炎は、お子さんなどがかかると学校や幼稚園から数日間出席停止の措置が取られるので、一層気を付けてください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属