「更年期障害」とは
前回のPMSなど、女性にまつわる悩みの代表ともいえるのが「更年期障害」です。
以前、442回と443回で更年期障害について触れており、特に443回では男性の更年期障害について詳しくお話ししたことがあります。
今回はPMSにも関連する、更年期障害について詳しくお伝えしたいと思います。
閉経の前後5年に注意
女性はおよそ、50歳ほどになると生理が来なくなる「閉経」を迎えます。
閉経を迎える前の5年、迎えてからの5年ほどの期間を「更年期」と言います。
人間は性別を問わず、年齢を重ねると体の機能がしていきます。
女性の場合では、女性ホルモンを調節する卵巣の働きが低下していきます。
卵巣の働きが落ちるということは、2種類のホルモンのバランスが非常に不安定になり、体の調子が良い時と悪い時が激しく表れるようになります。
この更年期の間の、ホルモンバランスの乱れによる様々な不調や症状のことを「更年期障害」と言います。
そして、50歳の前後5年、つまり45歳から55歳という年齢、40代50代という年代は、現代社会では生活環境が変わりやすいタイミングでもあります。
例えば、お子さんが成長して反抗期や思春期を迎えたり、あるいはお子さんが独り立ちして夫婦の時間が増えたり、といった出来事が起こりやすい期間でもあります。
閉経から来るホルモンバランスの乱れだけではなく、そうした変化によるストレスも更年期障害に大きく影響してきます。
更年期障害の症状・治療
更年期障害の症状は、前回のPMSのように個人差が大きく、人それぞれで様々な症状が出ます。
頭痛やめまい、イライラや不安、不眠と言った症状に加え、動悸やむくみ、のぼせのような血管にまつわる症状はもちろん、お腹の痛みや下痢、便秘と言った消化器系の症状、さらには尿失禁のような泌尿器系の症状も起こり得ます。
そして更年期障害は、前回のPMSや前述のように、閉経に伴って多かれ少なかれ必ず起きることですので、完全に無くすことはできませんが、症状を和らげて軽くすることは可能です。
更年期障害は「ホルモン補充療法」と言い、ホルモンを外から摂取することで、症状をひかせることができます。
種類は飲み薬に限らず、貼り薬や塗り薬もあり、婦人科のお医者さんと共に体質や症状に合わせて選んでいくことができます。
ちなみに、一昔前には女性ホルモンのお薬は体に悪い、副作用が強いと言ったことが言われていましたが、最近の研究では心筋梗塞や脳梗塞のような血管の病、また骨粗しょう症も女性ホルモンの減少にかかわって来ることが分かり、女性ホルモンを補充することでそういった病の予防につながると言われています。
ちなみに精神的な症状が大きい場合には、うつ病のお薬を使う場合もあります。
うつ病のお薬は、気分の改善だけではなく、ほてりやのぼせにも効果があるため、場合によってはホルモンの補充ではなくうつ病のお薬を使って症状を和らげて行くという選択もあります。
漢方薬については、前回のPMSと同じ「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」、「加味逍遙散(かみしょうようさん)」、「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」がおすすめです。
症状に併せて様々組み合わせがあるので、興味があれば是非、漢方薬に強い薬局へ相談してみてください。
タンパク質を積極的に摂る
最後は、やはり基本的なところではありますが、食事、睡眠、運動をきちんと行うことが、症状を軽くすることにつながります。
ポイントとしては、タンパク質とビタミンDを積極的に摂ってみてください。
特に大豆の食品や亜麻仁油などに含まれる大豆イソフラボンは、女性ホルモンに似た働きを持っているため非常に便利です。
運動ですが、更年期に筋肉が衰えるということは、そのすぐ後に迎える老年期から動けなくなることに直結するため、やはりきちんと運動をして、意識して筋肉を使って行ってください。
これはしっかりとした筋トレではなく、エスカレーターよりも階段を使う頻度を増やすとか、一駅分歩くと言った程度で充分で、意識して体を動かして行きましょう。
睡眠については、朝起きてすぐに日光を浴びることが大切ですが、もし可能であればカーテンを開けて就寝すると、日の出に合わせて自然と日の光が室内に入るためおすすめです。
最後に市販薬やサプリメントについてですが、エクエルという大豆イソフラボンが配合されたものが便利です。
お薬は、テレビCMでもたまに流れていると思いますが「命の母」というものがあります。
前述の漢方薬のいいとこどりをしたようなお薬というと少し語弊がありますが、その3つの漢方薬を上手く配合して製作されたお薬になりますので、もし興味があれば試してみてください。
前回のPMSの回にもつながりますが、症状が重い場合は我慢せずに、婦人科のお医者さんや薬剤師に相談してみていただければと思います。