意外に知らない男性の更年期障害#443

Voicy更新しましたっ!

今回は前回に続いて、意外と知られていない、更年期障害のお話

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男性と更年期障害

前回は更年期障害の基本的なことについてが主でしたが、今回は前回の最初に触れた「男性の」更年期障害についてです。

男性にも更年期障害がある、ということは10数年ほど前から言われてきていることで、年齢的には主に30代の後半から50代前半ほどの方に、起こる可能性がある、とされていますが。60代以上の方でも発症例があります。

女性と違い、いつ起こるか分かりにくく、また一度症状が出ると長引く傾向にある、ということも分かっています。

男性の方であれば是非、知っておいてください。

男性ホルモンは減っていく一方

女性ホルモンの場合は、バランスの問題があり、急激に増えたり減ったりという風に現れ、無くなっていきますが、男性の場合はそうではなく、ゆっくりと、徐々に減っていく、という特徴があります。

このせいで、女性ほど症状が分かりやすく出ることが無く、実感するのが非常に難しくなっているのです。

例えば、よく言う「年のせいかも・・?」と思うことがあれば、それはもしかしたら男性の更年期障害の可能性がある、ということになります。

ただし、一つポイントになるのが急激な環境変化や、重いストレスがかかると、男性ホルモンが急激に落ちるためその時に更年期障害の症状がはっきりと出ることがありますので、注意しておいてください。

男性ホルモンが持つ働き

男性ホルモンの持つ働きは、まずは女性ホルモンと似た働きで、男性らしい体、筋肉や骨、体格を作るのに使われたり、精子を作る機能ももちろん持っています。

他には、認知機能を高めるとか、免疫力を高めるという働きも、男性ホルモンは持っています。

男性の更年期障害において一番症状が出やすいのが、性欲、生殖機能の減退です。そういったものへの興味が以前よりも明らかに落ちるというのは、大きな症状となります。

前述に関連しては、集中力や判断力など認知機能が徐々に落ちてきた、単純にパフォーマンスが以前と比べて落ちてきた場合は発症している可能性が高いです。

また、女性の症例と似ていますが、怒りっぽくイライラしやすくなるとか、逆に気分が落ち込みやすくなった、眠りにつくのが遅くなったというような、精神的な症状から、のぼせ、ほてり、手足の冷え性という症状も、男性でも充分起こり得ます。

生活習慣の改善が治療につながる

こうした症状は、単に年だからというので済まさずに、治療することが出来ます。

まず一番最初に、自分でできることが「生活習慣の改善」です。

これは特に睡眠においてのことで、睡眠の時に男性ホルモンが分泌されることが分かっているためです。

寝ているときに成長ホルモンが出るのは有名ですが、実は男性ホルモンも出るため、睡眠が非常に重要になります。

その次に食事ですが、お肉やお魚類のたんぱく質とともに、ニンニク、ニラ、玉ねぎ、といった野菜を「一緒に」食べるようにします。

いわゆるスタミナ料理のようなものですが、これらを同時に合わせて食べることで、男性ホルモンが出やすくなることも確かです。

そしてやはり運動も大切ですが、実は筋肉量が増えると、男性ホルモンの分泌量が増えることに繋がりますので、無理ない程度に、筋肉をつけるような運動もしてみてください。

治療の種類

とはいえ、いきなりストレスを無くしたり、すっきり眠れるようにするのは難しいと思います。

その時は、漢方薬や抗うつ剤を使ったり、女性ホルモンの場合のようにホルモン補充療法もできます。

漢方の場合は補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、八味地黄丸(はちみじおうがん)というものを症状に合わせて使ったり、精神的な重さ、重い不眠の場合は、お医者さんの指示のもとで、抗うつ剤で治療することもあります。

そして、男性ホルモンの場合の、ホルモン補充療法ですが、筋肉注射でおよそ2週間から4週間に1回程度のペースで注射をして、男性ホルモンを外から入れていきます。

ただし、この治療をする前、平常時にはどれほどの男性ホルモンが出ていて、そこからどれほど落ちたのかを調べることをします。

そして、この治療は前立腺がん、前立腺肥大といった病にすでにかかっている人は使えないため、治療前にそれらが発症しているかを調べる時間も必要になります。

まずは生活習慣の改善を

先述のような、男性の更年期障害の治療は泌尿器科のお医者さんに相談に行ってください。

男性だとどうしても、少し恥ずかしいとか、相談するのが気が引ける、という方が多いと思います。

なので出来れば、前項のような生活習慣の改善を一番初めにやってみてください。

サプリメントは、そこで補助的に使うようにするのがおすすめです。

例えば有名な、亜鉛のサプリメントが勢力の減退に良い、というのは、亜鉛そのものに男性ホルモンを作る働きがあるためです。

亜鉛以外だと、トンカットアリ、クラチャイダムなどがあります。

サプリメントですので、以前お伝えしたようにおよそ1か月ぐらい使ってみて、効果が無かったら辞めて、少し良くなってきたと感じたら、続ける、とするのがおすすめです。

男性ホルモンの市販の塗り薬も

ちなみに、前回も、ほんの少し塗り薬について触れましたが、実は男性ホルモンにおいても塗り薬があります。

グローミンというお薬があり、市販されているお薬になりますが、第一類医薬品という、薬剤師からしか買えないタイプですので、直接薬局に行くか、薬剤師がいるドラッグストアに行って買う必要があります。

男性ホルモンの塗り薬がなぜ第一類かというと、先ほど触れたように、前立腺がんや前立腺肥大のリスクがあれば使えないためです。

市販されているとはいえ、使うのが難しく、扱っていない薬局も多いので、まずは薬局に問い合わせてみるのが確実かと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属