Voicy更新しましたっ!
今回も頂いたコメントから、あまり詳しく触れなかった、免疫と体温の関係についてのお話
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体温を上げたら免疫力を高められる?
今回も、新型コロナウイルスや感染症に関連して「免疫力」のお話です。
コメントにて「自身の免疫力が大切だと思います。その免疫力を高める手段として、体温を上げるということを幼い頃にお医者さんから聞いたことがありますがそのエビデンスがないということを最近知りました」と頂きました。
体温については290回、免疫力については258回にて詳しく触れていますので、併せて参考にしていただければと思います。
しかし、実はコメントの通り、免疫力と体温のしっかりとしたエビデンスは無いのです。
平熱が1度下がると免疫力が30%落ちる・1度上がると免疫力が倍増する?
具体的に、平熱が1度下がると体の免疫力は3割落ちるとか、1度平熱が上がるだけで免疫力が何倍にもなる、と言ったようなお話は、いくつか製薬会社さんのホームページでも載っているほど有名なお話で、かなり広い範囲で知れ渡っています。
しかし、実はこれは、きちんとした論文にはなっておらず、科学的根拠が一つも無い情報なのです。
あるお医者さんの著書にて、こうしたことが書いていたことから広まっています。
免疫力が最も活発になる体温
まず、体の免疫力が一番活発に働く体温は38度5分付近です。
割と高熱ですが、しっかりと熱が出ている時はまさに、体の免疫力がウイルスと真っ向から戦っている最中ですので、免疫が働いている時は熱が高い時、となります。
逆に、体内に入ったウイルスが一番活発に活動できる体温は33度付近ですので、発熱することでウイルスの活動を抑え、体の免疫がやっつけていくという仕組みなのです。
例えば、脳保護などの際に、わざと低体温にすることがありますが、この時は感染症にかかりやすくなるため、充分注意が必要とされています。
ただし、平熱の高低に因って免疫力が変わるかどうかは、分かりません。
体を冷やすと風邪を引きやすくなる?
低体温に関連して「体を冷やすと風邪を引きやすくなる」ということも聞いたことがあると思います。
これは10分、足を冷やした人と、普通にしていた人で、風邪の引きやすさを検証した結果、足を冷やさず普通にしていた人の方が風邪を引かなかった、という結果が出ています。
さらに、おなかを暖めると免疫を司る細胞の数が増えた、という実験もあります。
これらの事実は、平熱とは関係なく、「体を冷やすこと」で風邪などにかかりやすくなり、「体を温めること」で免疫を司る細胞が増えたと言う事です。
体温が高くても免疫力には影響がない理由
そしてもう一つ、熱と言えば、普通にしている時の体の体温となる「平熱」というものがあります。
実は、平熱が高めの人は健康のリスクが高い、という事が分かっています。
アメリカでビッグデータの解析で、平熱の数値と人種や健康状態とで何か関係あるのかが調査されました。
その結果、人種、性別、健康状態と平熱の数値はほぼ関係が無いとなりましたが、唯一、黒人の女性がなぜか平熱が高めで、さらに健康と少し関連があることが分かりました。
それは、0.149度体温が上がると、1年死亡率が8.4%上がったというものです。
がんがあったり、肥満の傾向があると、体温がわずかに上がりますので、健康のリスクを持っている人の体温が高めであるということがわかったんです。
この事実は体温が上がっているほうが健康であるというわけではない、といことが証明されています。
免疫力を高めるためにはとにかく「規則正しい生活」を
最後に、免疫力を高めるためには、これまでも何度もお伝えしているように、規則正しい生活をして、体力を維持することに尽きます。
これを具体的に言うと、自律神経に付随して、免疫力も働くためです。
自律神経は体の様々な働きを調節する部分ですが、この働きの中で、免疫力も大きく左右されるため、自律神経を整えることが免疫力を整えるのに直結します。睡眠をしっかりとる、ストレスをため込まないこと、いずれも自律神経に密接に関係します。
また有名ですが、日の光をきちんと浴びるのも必要です。日の光を浴びると、体の中でビタミンDが作られますが、これは免疫力を充分に働かせるのにとても重要なビタミンの一つになります。
例えば部屋の中にいて、カーテンを開けて窓から太陽の光を取り入れるだけでも充分効果があります。
そして当然ですが、お酒とたばこはやはり、控えるのがベストです。
ナチュラルキラー細胞・腸管免疫
ちなみに、免疫力と言えばここ数年話題になっている「ナチュラルキラー細胞」とか「NK細胞」というものがあります。
がん細胞やウイルスに感染した細胞だけを殺す働きがあるという、免疫細胞の一つで、これが特徴的なのが、笑うことで活性化する細胞、という点です。
笑うこともストレス解消の一種として推奨されていますが、この細胞が刺激されるのも一つの効果ですので、何か楽しい趣味や、笑えることを見つけるのも、免疫力を高めることになります。
そしてもう一つ、腸管免疫と言い、食べたものを栄養としてとりこむとき、食べ物などに付着した病原体が体内に吸収されないよう、守る働きがあります。
これが腸内での免疫となる、腸管免疫です。
これを高めるために、何よりも必要なのが「乳酸菌」です。納豆、みそ、お漬物やヨーグルトなどの発酵食品は、様々なところでおすすめされているように、とっても便利で重要な食品ですので、是非普段から意識して摂って行きましょう。