質問よりっ!ステロイドって怖いの?なんなの?#389

Voicy更新しましたっ!

今回は前回にも関連して、コメントにも頂いた「ステロイド」のお話

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「ステロイド」という成分

今回は、前回ご紹介した「ステロイドの点鼻薬」に関連して、ステロイドそのものについてのお話です。

これまでも鼻炎や喘息、かゆみ止めなどの回で、しばしば「ステロイド」という言葉が出てきていますが、今回はこれ一つにスポットを当ててお話していきますので、是非参考にしてみてください。

正式には「ステロイドホルモン」というホルモン

まず最初に、一昔前にはステロイドのことを「ホルモン剤」と呼ばれていた時期があります。

これはなぜかというと、ステロイドとは、ステロイドホルモンという一種のホルモンなためです。

ホルモンとは、体のあらゆる動きに関連する化学物質の事です。

血圧一つとっても、調整のためにホルモンが分泌されたり、上手く分泌されずに血管に負担になる、といったことが起きます。

そして、ステロイドホルモンとは、厳密に言うと形の名前で、ステロイド骨格という形を持つホルモン全般を指す言葉です。

例えば副腎皮質ホルモンや、男性ホルモン、女性ホルモンと言った性ホルモンも一つで、実はステロイドのお薬はこれらのホルモンと同じような働きをするお薬、と言えるのです。

ですので、ボディビルダーのような、非常に大きな筋肉をつけるとき「ステロイドを使う」と言われることがありますが、これは男性ホルモン系のステロイドホルモン剤を、筋肉増強剤として使う、ということになります。

逆に婦人科などで、女性に対して使う、女性ホルモン系のステロイドホルモン剤もあります。

まとめると、ステロイドという形、骨格があり、この形のホルモン剤が、一般的にステロイドのお薬、として処方されるということになります。

具体的に説明すると非常にわかりづらく、難しいもので、実は薬局内でもたまに、お互い違うタイプの「ステロイド」について会話することもあります。

前回触れたステロイドの点鼻薬など、医療現場で主に用いられるのは、副腎皮質ホルモンの一つの「糖質コルチコイド」系のステロイドホルモン剤になります。

なので、ここからはこの糖質コルチコイド系のを、ステロイドとしてお話していきますので、注意していただければと思います。

炎症を抑える最強のお薬

医療現場で「ステロイド」と言うと、糖質コルチコイド系のお薬のことを指すことがほとんどですが、その理由はただ一つ「炎症を抑える最強のお薬」だから、と言えます。

さらに言うと、免疫を調整してくれる力も、最強クラスのお薬になります。このステロイドが見つかった時は奇跡の薬とも言われていたほどです。

これは逸話ですが、リウマチの患者さんにステロイドを使ったら、次の日にはダンスが踊れるぐらい回復していた、とある新聞に載ったものの、その後ステロイドの副作用で亡くなってしまい、その新聞社など各メディアは一斉に「死を早める薬だ!」と大バッシングをした、とささやかれています。

このように、ステロイドが炎症に絶大に効くのと同時に、副作用も強く出る薬として有名になったのです。

今では当然、リウマチ以外でもアトピーや花粉症、各種アレルギー、喘息といった、あらゆる炎症について効果がありますが、自己免疫疾患という、自分の免疫が間違って健康な細胞や臓器を攻撃してしまうという病にも、効果があります。

現在でも副作用のリスクが

しかし、その一方で、現在のお薬でも、副作用は存在します。

例えば太りやすくなって肥満型の体型になるとか、長く使い続けてしまうと免疫力に逆に悪影響になってしまって、細菌やウイルスに感染しやすくなる、と言ったこともあります。

ただ、ステロイドに限らず、婦人科さんなどで出る通常の性ホルモンのお薬でも、他に代えが効かない効果がたくさんある代わりに、副作用のリスクも存在しますので、ホルモンのお薬である以上は、どうしてもそのリスクは付き物となってしまいます。

そして、飲み方や用法用量も、普通の薬と比べると難しいのも一つの特徴になります。

外用薬(塗り薬・点鼻など)だと副作用が小さい

現在でも副作用の恐れはありますが、研究が重ねられ、いくつものお薬が登場している今では、外用薬ような体の一部だけ使うようなお薬であれば、体型が変わったり血圧に影響が出るような、大きな副作用はほぼ出ないようになっています。

ステロイドを直接体に注射するようなケースは、免疫力やホルモン量に急激な変化が出るので、大きな副作用が出る可能性もありますが、炎症を抑えるための塗り薬や、少量だけ点鼻するようなお薬であれば、問題ないことが多いです。

なので、治るまで長期的に使っても問題がないのです。

飲み薬・注射でも、止め方に気を付けて副作用を回避する

さらに現在では、飲み薬や注射のステロイドであっても、「止め方」に注意すると副作用が出るのを大きく防げます。

急に、突然に服用をやめると、一気に大きな副作用が出るということがあります。例えばしっかりと処方された分を使い切って、相談したうえ少しずつ量を減らしながら辞めるとかというようなことが必要です。

あと、アトピーの治療において見られることですが、ステロイドのお薬を使ってるうちに、皮膚が黒ずんできたというケースがあります。

これはステロイドの副作用で黒くなってるのではなく、量が足りず、変に症状が長引いてしまってることが起きています。

アトピーに限らず、またステロイドのお薬に限ったことではないですが必ず、処方されて指示された飲み方、分量で使って行ってください。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属