マルチビタミン・ミネラルって何?#382

Voicy更新しましたっ!

今回は2回にわたって、サプリメント商品でよく出てくる「マルチビタミン」や体に大切な「ミネラル」のお話

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「マルチビタミン」・「ミネラル」とは

今回、次回と、マルチビタミンとミネラルについて詳しくご紹介しています。

いくつもの製品が売られていると思いますが、実際意味があるのかどうか、普通のビタミン剤とかとは何が違うのか、と言ったことも、次回触れていきます。

まず今回は簡単に、この二つについてです。

マルチビタミンは簡単に言うと、文字通りマルチに、いくつもの種類のビタミンがとれるものです。

特に、体の中で作れないビタミンをまとめて取れるものが多いので、便利なアイテムになります。

ミネラルも同じく、体の中で作れない元素のことで、外からまとめて補給できるので、こちらも人気があります。

ビタミンとミネラルの種類

具体的にどういう種類があるのかというと、まずビタミンはおよそ13種類あり、そのうち水に溶けるものと、脂に溶けるものの2パターンに分けられます。

前者の水溶性ビタミンは、ビタミンB1,2,3,B5となるパントテン酸、B6,B7となるビオチン、B9となる葉酸、B12、そしてビタミンCです。

後者のは脂溶性ビタミンと言い、ビタミンA,D,E,Kの4つになります。

そして微量必須元素のミネラルは、16種類あります。

ホウ素、フッ素、アルミニウム、ケイ素、バナジウム、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ヒ素、セレン、モリブデン、要素、臭素、となります。

これらは全て”微量”必須元素ですので、ほんのわずかな量だけ、体内にあれば十分というものです。例えば、毒として知られるヒ素も、実は体にとってはわずかに必要なもの、と言われています。

また、ミネラルと言えばマグネシウムやカルシウムが有名ですが、それらは微量では足りないミネラルになり、必須元素となります。

水溶性ビタミンとは

ビタミンB群、Cの水溶性ビタミンですが、ざっくり言うと炭水化物等の糖質、お肉のタンパク質、アミノ酸、脂肪といったものをエネルギーに変える時に関わってくる成分、となります。

それぞれで働く部分が変わり、少しずつ説明していくと、まずビタミンB1はチアミンとも言い、炭水化物をエネルギーに変えるために働きます。これが不足すると、昔よく発症していた「脚気」が起きたり、神経に炎症が起きることがあります。

ビタミンB2はリボフラビンとか、ビタミンGとも言われるもので、赤血球や、タンパク質を使う爪、髪の毛の成長に関わります。不足すると口内炎とか皮膚炎が起きたり、抜け毛が増える、目が疲れやすくなるといった症状が起きます。

ビタミンB3は物質名のナイアシンと言われることが多い成分で、さらに一昔前はビタミンPPとも呼ばれていたものです。

B3は必須アミノ酸の一つのトリプトファンを作るのに必要なビタミンとなりますが、このナイアシンは通常は腸内細菌が作るため、同時にトリプトファンも問題なく得られますが、トウモロコシを主食にしていると、トウモロコシにはナイアシンが無いため、不足することがあります。不足すると、皮膚炎とか、皮膚が弱くなって剥がれてしまう、ペラグラという病の原因になります。

ビタミンB5はパントテン酸と言われることが多いもので、これも炭水化物や脂肪をエネルギーに変えるために働くもので、現代の食生活ではそれほど不足しないビタミンになります。

完全に絶食したりしない限り、まず不足しないと思います。万が一不足するとこちらも皮膚炎の原因になったり、骨、体の成長が止まると言ったことになります。

ビタミンB6はピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミンを全て合わせたものがビタミンB6になります。神経や赤血球、遺伝子を正常に作れるよう働きます。不足すると口内炎や、大人ではごくまれにうつなど、精神疾患の原因にもなるとされています。

ビタミンB7はビオチンと呼ばれることが多いビタミンで、一昔前はビタミンHとか、ビタミンBW、補酵素Rと呼ばれることもありました。これもB5と同じく今はほとんどの食べ物に入っていて、不足することはほぼありません。

ただし、生の卵白を10個以上、まとめて食べると吸収が一気に落ちて、不足する可能性があります。不足すると皮膚炎や抜け毛、また筋肉痛が起きることがあります。

ビタミンB9は葉酸として有名なもので、サプリメントでたくさん売られていると思います。これも遺伝子や赤血球にかかわるもので、不足すると貧血や、免疫力低下と言った症状になって現れます。

ビタミン12はシアノコバラミンとか、メチルコバラミン、ヒドロキソコバラミンとも言われますが、B9と同じく葉酸のような働きを持っていて、赤血球や免疫にかかわります。

最後のビタミンCは、アスコルビン酸と呼ばれることもあり、ビタミンEを再利用したり、コラーゲンの合成や、鉄、カルシウムの吸収を助けるといった働きがあり、無くてはならないビタミンの一つとなります。

これも最近では様々なものに含まれているので、著しく不足することはまずないですが、大昔に船乗りの方がかかる、壊血病という血が溶けていく病や、シミそばかすの原因になります。

長くなりましたが、これらが水溶性ビタミンとなります。水溶性ですので、どれだけとっても尿として排出されるため、取り過ぎることで問題が起こることはほぼありません。

脂溶性ビタミンとは

一方の脂溶性ビタミンと、ミネラルについてですが、これらは取り過ぎてしまうと害になるものが大半ですので、どれも取り過ぎないことが大切です。

まず脂溶性ビタミンの、ビタミンAですが、これは有名なベータカロテンもビタミンAの一つとなります。

他にはレチノールも同じくで、目の網膜の保護とか、カルシウムとともに歯、骨の成長に大きく働きます。長期間不足すると夜間に著しく視力が落ちる夜盲症を引き起こしたり、骨や歯が変形することがあります。

また、サメやマグロの肝臓にはレチノールがたくさん含まれているため、それらを食べすぎると、過剰に取り過ぎてしまいます。取り過ぎると頭痛や吐き気、あとおなかの中にいる胎児にも悪い影響が出るので、注意してください。

さらにお薬の副作用として、レチノールを多くとってしまうこともあるので、こちらも注意してください。

ビタミンDは、実はD2とD3があり、いずれもカルシウムの吸収や免疫関係に関わります。また、日光を浴びることで体の中で合成できるのも特徴です。

ビタミンDが不足すると、カルシウム不足のように、骨軟化症とか骨粗しょう症と言ったものを起こしやすくなります。逆に取り過ぎることでも、カルシウムが固まって石になり、尿路結石などの原因になります。

ビタミンEはトコフェロールとも言い、老化にとって大敵となる「活性酸素」を消す働きがあります。不足すると、膜が弱くなって赤血球が壊れやすくなります。

ビタミンEが過剰になることは、お薬に因ることも含めてほぼないですが、万が一過剰になると、ビタミンDのように骨粗しょう症の恐れが出てきます。

次のビタミンKですが、あまり聞き馴染みが無いかもしれませんが、B群のようにK1,K2,K3,K4と4つあり、これも骨の生成に関わり、あと血の固まりやすさに影響がでます。

なので不足すると骨粗しょう症のリスクが高まるとか、血が固まりづらくなって、出血が止まりづらくなるといったことに繋がります。

このビタミンKは脂溶性ですが、取り過ぎたからと言って何か問題がある、と言うビタミンではないです。現状ではそういった話は出ていないため、取り過ぎても大丈夫な脂溶性ビタミンでは、と言われています。

微量必須元素ミネラルとは

最後のミネラルですが、今回は微量必須元素に限定すると、普通の生活、食事であれば、不足することも過剰になることも、まずありません。

ただ、人工的な栄養をとる場合、例えば入院中だとか、著しく体力や栄養状態が落ちて、お薬で栄養補給する場合には、これらのような微量必須元素が入っていないと影響が出ます。

もちろんお医者さんや栄養士さんなどはそういったことも充分熟知しているため、この微量必須元素について問題が起きることはほとんどありませんが、一つだけ、普段の食生活でも不足しやすいものが「亜鉛」です。

亜鉛は免疫力、怪我の回復に必要で、成長中のお子さんにも大切な栄養です。

これが不足すると、食事の味が上手く認識できない、味覚障害がの症状が出てきますので、亜鉛は若干意識して、補給していく必要があります。

もう一つ、微量の方ではないですが、鉄も同じく不足しがちなミネラルになります。

どちらも、お薬の副作用等を除けば、過剰になることはほぼありませんが、不足はしやすいですので、注意してください。

次回もこのビタミン、ミネラルについてですので、併せてご覧いただければと思います。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属