Twitterで話題の患者取り違いは防ぐには?#334

Voicy更新しましたっ!

今回はツイッターで話題になった「取り違い」のお話。

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「処方内容が間違えられる」ということ

この前Twitterで少し話題になったのが、患者さんのお名前を間違えてしまい、違う患者さん向けの処方箋を出してしまって、亡くなってしまった、という事例です。

今回は、これに関連して今一度「処方箋」に関してお話していきたいと思います。

 

薬剤師が患者さんに「どうされたんですか」と聞く理由

Voicyでも度々触れていますが、薬剤師が患者さんに「今日はどうされたんですか?」と聞くのは、その処方箋と患者さんの症状が合っているかを確認するためです。

処方箋には、出す薬の種類、量のほかに、患者さんのお名前と年齢、性別、そしてそれを発行した医療機関、お医者さんのお名前、保険に関する情報が書かれています。

その患者さんの病に関する情報は、一切書かれていないのです。

薬剤師は、その患者さんがどういう病なのかは、処方箋を見て判断するしかありません。

その判断が正しいか、薬が正しく合っているかを確認するために、お薬をお渡しする前に、患者さんに直接聞くのです。

聞いた結果、話している内容と一致しないとか、おかしいと思ったところがあれば、その処方箋を出したお医者さん、病院さんに問い合わせて確かめる、ということが出来ます。

また、例えば患者さんと話してみると、その方が欲しがっていた薬が出ていないという事も分かるとか、逆にもういらないと言う薬がまだ出ている時とかも、再度お医者さんに問い合わせられます。

 

先日の「取り違い」の事例

これも何度かお伝えしていると思いますが、処方箋の内、2%ほどの割合で間違いがある、とされています。これは薬剤師会が調べたもので、自分の体感でもおよそそれぐらいはあると思います。

人数にすると50人に1人ぐらいの割合ですが、お医者さんが間違うだけではなく、医療事務さんなどが入力をミスする、と言うのも含めて、どうしても起こり得ます

そして、今回のテーマとなる「取り違い」についてですが、具体的に説明すると、違う患者さんの内容が書かれた処方箋が来た、というのが発端のお話です。

薬局には、「薬歴」というものがあり、その患者さんにお渡しした薬の履歴が残っています。この薬歴で、前回の薬と今回の薬とで、明らかに薬の数が違う、ということになったのです。

患者さんに直接お話を聞きたいところですが、そのときはたまたま調子が悪く、ご本人の代わりにご家族の方が取りに来たという状況でした。

病院に問い合わせをした所、一部の薬で効果が重なって、それで取りやめになった薬はある、という程度で、そもそも全然効果や中身が違う、と言う部分は一切確認されず、そのままになったのです。

それについても何度か問い合わせましたが、ご家族の方に聞くともう忙しいしこのままで大丈夫、とのことで、疑問に思いながらも出してしまったということです。

 

病院と薬剤師は同じレベルで責任がある

この例はとても難しい問題で、誰が悪いのかは一概には言えません。

しかし、重い責任があるのは、処方箋を他の患者さんと取り違えた病院と、急かされたとはいえ、疑問に思いながらもそのまま出してしまったその薬剤師さん、と言えます。

処方箋を医療機関、お医者さんに問い合わせるのは「疑義をする」という風に使います。薬剤師として、問題がある処方箋を見たとき、きちんと解決するまで疑義をする、ということが原則なのです。

今回の例で、解決していないのにお薬を渡してしまったというのは、一つの事実となるため、どうしても責任は充分ある、と考えられます。

そして、こうしたことを防ぐためにも、是非、薬剤師とお話してください

 

安全を守るためにも、薬剤師とコミュニケーションを

病気でお医者さんにかかっていて、薬をもらってすぐ帰りたい、と言うのは重々承知しています。

つらい中で体を動かして、病院にかかっている、というのはわかっていますが、健康と安全を守るために最後の確認として薬剤師と是非、コミュニケーションを取ってください。

例えば通常だと、薬をもらう時に薬の飲み方と飲む日数を薬剤師から聞くと思います。

いわゆる用法用量のことですが、これ一つとっても、お医者さんの言っていたこととなんか違う、ということがあります。

これを何となく聞き間違いかと思って、流してしまうと、これが重大な判断ミスだったという事が起こるのも、ゼロではありません。

何かおかしいなとか、分からないなという事があったり、お医者さんに聞き逃したことあれば、薬剤師も充分力になれますので、是非聞いてみてください。

たとえ、家に帰ってから思い出したとしても、是非気軽に薬局に電話して、聞いてみてください。そうした連絡を受けて、薬局から病院に連絡して疑義する、という事も当然できます。

何か不安なことがあれば、思うことがあったら、忘れないうちに、気付いた時点で連絡して、解決しましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属