健診用語の基礎知識シリーズ!糖尿病の検査値って何?#313

Voicy更新しましたっ!

今回は健康診断において非常に大切な「糖尿病」の検査について。

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糖質・糖分とは

よく、糖質制限とか血糖値など、Voicyでも度々触れて来た「」というものがあります。

糖は、今はいろいろと悪く言われやすい成分の一つだと思います。ですが、糖は体にとって欠かせない重要なエネルギーになる栄養です

今回はこの糖そのもの、そして糖尿や血糖値についてお伝えしていきます。

 

炭水化物も糖分

糖とは、文字通り砂糖など甘いものももちろんですが、炭水化物も体の中に入ると、糖分として吸収されるため、糖の一つとなります。

ご飯、麺類、パンですが、これらによって体や脳を動かして、活動していきます。

特徴的なのが、これらに加えて、たんぱく質をエネルギーとして使わないようにする、というのも糖分の役割です。糖分が不足して、エネルギー源が無くなると、筋肉からたんぱく質を取ってエネルギーとして使うため、筋肉量が落ちてしまうのです。

筋肉は代謝を上げるのに非常に重要なので、ダイエット中にはエネルギーにする程度の量の糖質は必要、となります。

しかし、現代の食生活では、この炭水化物や糖分は、あらゆるところに存在するので、油断すると肥満を引き起こして、最悪糖尿病となって現れます。

 

糖尿病とは

糖尿病とは、簡単に言うと血糖値を下げるためのインスリンの働きが悪くなり、血中の糖が増えてしまう病です。

糖尿病は最初は特に症状がありません。

単に血糖値が高め、という状態が続きますが、問題なのが糖尿病によって引き起こされる「合併症」というものです。

正式には三大合併症と言い、網膜症、神経障害、腎症の3つです。

網膜症とは糖尿病性網膜症と言います。

神経障害は手足など末端の神経が糖によって壊れてしまい、手足のしびれ、痛みとして出てきて、最終的には壊死してしまい、切断という事もあり得ます。

3つ目が腎症(じんしょう)と言い、前回お伝えした腎臓の網膜症のように腎臓にある細い血管が壊れてしまい、腎臓の機能が低下して行き、最終的には透析をしなければならなくなる、ということになります。

もともと糖尿病とは、血中の糖が著しく多い状態ですので、合併症以外でも動脈硬化や心筋梗塞と言った、血管に関する病のリスクが大幅に高まるのも、特徴の一つです。

 

血糖値を測って糖尿病を検査する

血糖値を測ることが糖尿病の検査になります。

まず最初に測るのが、空腹時血糖とヘモグロビンの量です。

空腹時血糖とは朝から何も食べてい無い状態、空腹の状態での血糖値で、項目で言うとHbA1cと言います。

食後だと血糖値が上がるため、そこで測ったとしても通常時の血糖値が分からなくなります。おなかが空いているときの血中の糖分はどれくらいか、という事を測り、糖尿病かどうかを推測します。

ただより詳しい検査をする場合には、食後の血糖の推移も見るため、食後に検査をするという事もあります。

基本的な健康診断では、朝ご飯を食べないでください、と言われるのはこうしたことがあるためです。

 

170mgを超えると糖尿に

この数値の正常値は、およそ70〜109mg/dlです。もし70以下の場合は低血糖という血糖値が低すぎる、という状態になりますが、これは糖尿病用の血糖値を抑える薬を飲み続けていない限り、起こることはほぼありません。

糖尿病という名前のように、血糖値が高まると尿に糖が含まれるようになりますが、これは数値にして170mgを超えたあたりから出るようになります。

そしてもう一つの、ヘモグロビンのHbA1cですが、ヘモグロビンの量を測ることで何が分かるかと言うと、1か月から2か月ほどの血糖値の変化が分かる、とされています。これはいわゆる血糖値の平均値のような意味を持ち、単に空腹時血糖だけを測るのよりも正確に検査できます。

正常値は4.6%〜6.2%ですが、これを超えたらすぐ糖尿病と言うわけではありません。

HbA1cは、検査結果を良くしようとして、3日とか1週間程食事を見直しても影響が出ないので、より正確に状態が分かります。

実際、お医者さんなどはHbA1cの方を注視しています。つまり7%を超えないように考えることが多いのです。

なぜかというと先述の三大合併症は、どれも7%を超えた状態で起こるためです。7%を超えて長期間続くと、これらのリスクが大幅に高まりますので、7%を超えないようにしてください。

この数値はお薬でコントロールできますが、まずはやはり糖質を取り過ぎないことを一番に考えるようにしましょう

糖尿病とはそれそのものよりも、それによる合併症の方が怖い、という特徴があります。

ですので、治療することよりもこれ以上悪化しないように、上手に付き合っていくことが必要です。

 

筋肉をつけて、糖を消費していく

食生活の見直しと運動が大切ですが、糖尿病においては、筋肉が重要な意味を持ちます。

筋肉をつけることで、それを使うためのエネルギーとして糖を消費していくので、結果的に糖分がたまりにくくなります。

血糖値を気にするのであれば、腕立てとか腹筋みたいな筋トレも行ってみてください。

 

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属