Voicy更新しましたっ!
今回は先日うちの薬局の事務さんが診断された、椎間板ヘルニアのお話
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おしりの痛みが「椎間板ヘルニア」かも
先日、うちの事務さんが、「お尻から太ももにかけて、つった感じで痛い」と言って、痛み止めを使って、仕事を休みました。
しばらく様子を見てたところ、痛みがどんどん悪化して行き、どこかおかしいと思って整形外科のお医者さんに相談に行ったら「椎間板ヘルニア」という診断がされました。
当の本人は「腰ではなくお尻が痛いのに」と言って納得しないようでした。
今回は、腰が痛むとは限らない、厄介で怖い椎間板ヘルニアについて、ご紹介していきます。
「椎間板」と「ヘルニア」
椎間板ヘルニアは割と知名度がある病と思いますが、これを具体的に説明すると、椎間板は背骨にあるもののことで、ヘルニアは「本来あるべき場所から脱出している状態のこと」を指す言葉です。
ですので、椎間板以外でも、例えばおへそが飛び出るようになる、でべそは正式には「へそヘルニア」、腸の一部が肛門から外に出る状態、脱腸の状態を「鼠径部ヘルニア」と言います。
そして椎間板ヘルニアは、背骨一つ一つをつなぐ継ぎ目にあり、クッションのように働く椎間板の中身となる「髄核(ずいかく)」が椎間板を突き破り、外に飛び出ている状態が、椎間板ヘルニアとなります。
椎間板を突き破った髄核が、背骨の神経を直接圧迫して、激しい痛みやしびれとなって現れます。
ちなみに、俗にいうぎっくり腰は、9割ほどは突然起こるもので原因がわからないですが、1割ほどは椎間板ヘルニアによって起きている、と言われています。
症状は痛みやしびれ以外にも便やおしっこが出せなくなるとか、ひどい場合だと完全に動かせなくなるということもあります。
さらにこの椎間板は、10歳過ぎごろから老化が始まることが分かっていますので、20代から40代の男性、力仕事やスポーツで激しく体を動かす方に多く見られる病でもあります。
間接的に喫煙やストレスからも、発症することがあるので、特に男性の方は注意が必要です。
ヘルニアによって「坐骨神経」を圧迫する
そして今回のお話のきっかけとなる、事務さんが訴えた「お尻の痛み」ですが、これはヘルニアが「坐骨神経(ざこつしんけい)」を圧迫したため、お尻に痛みが起きていると考えられます。
坐骨神経痛も最近知られてきた痛みですが、実は椎間板ヘルニアで一番多い痛みの場所で、腰というわけではないのが一つの特徴です。
ヘルニアの治療
ヘルニアの治療で有名なのが「ヘルニアの手術」だと思います。
手術も可能ですが、必ずしも手術しなければならない、ということはありません。
飛び出した髄核は、体の免疫細胞が少しずつ食べて行き、小さくしてくれるので、自然に治ります。
つまり免疫によって徐々に治していき、結果的に神経を圧迫しなくなれば、症状は充分引いていきますが、これは当然ながら時間がかかり、およそ3か月ほどは必要になります。
徐々に良くなるにしても、何らかの痛みと3か月間戦い続けるのはつらいので、そこで痛み止めを使います。
髄核と背骨で炎症が起きていることもありますが、神経を圧迫していることが多いので、使うのは神経の痛みを取るタイプのものになります。
場合によっては神経ブロックという、痛い場所の神経を麻痺させるような、麻酔のような注射を使うこともあります。
お薬や注射を組み合わせて、上手くいけば自分の免疫で治せますが、痛みが全然取れないとか、排せつに影響があるというような、急を要する場合には手術という選択肢も入ってきます。
さらに、3か月治療を続けても痛みが取れないというケースでは、椎間板ヘルニアだけが痛みの原因ではないことがありますので、その場合も手術で直接治していく必要があります。
ヘルニアの「再発する」という特徴
ヘルニアについて頻繁に言われるのが「ヘルニアが再発する」ということです。
ヘルニアは慢性的に、髄核が出やすい形になる可能性が充分あるもので、再発することも珍しくありません。
ですので、予防するのはなかなか難しいというのが現状です。
一番意識するべきことは、腰への負担を減らすことです。
そして、一番良くない動きが「中腰」です。
重たいものを持ちあげるときは必ず、しっかりと腰を落として、足をきちんと使って持ち上げてください。
もし、腰を曲げて持つと簡単に再発します。
そしてもう一つ、それとは逆に背伸びして高いところにあるものを取る時、腕を伸ばして腰を少し反り返らせてとることがあると思いますが、これも非常に負担がかかります。
その場合は面倒くさがらずにきちんと台を使うとか、高いところにものを置かないようにするなどで、不必要な負担をかけないようにしてください。
もし万が一、仕事柄重たいものを持ち上げるとか、中腰になることが多いという場合には、コルセットを普段から使って、腰への負担を軽減することをしてください。
一度ヘルニアが治ったとしても、普段から少しかばうことで、再発予防に大いにつながります。
ただし、腰は保護してるばかりだと、逆に悪い影響が出る部分ですので、少し運動をして刺激を与えることがとても大切です。
ウォーキングやお風呂上がりの軽いストレッチで、腰回りの筋肉を普段からほぐしておくことで、腰へかかる負担をより軽減できます。
痛い時は無理して動かさない
最後に、ヘルニアに関わらず、もし腰が痛い時は無理して動かさないようにしてください。
痛みがある時は安静にして、痛みが無くなったら無理ない範囲で運動、ストレッチをして、いい刺激を与えていくとより良いです。
ちなみに、ダイエットでもヘルニア予防になり、おなかや腰回りに余分な脂肪があると腰への負担が増えてしまい、逆におなかや腰回りに筋肉がつけばその分、腰を保護することができます。
なので例えば、腹筋や背筋を鍛えるというのは結果的にヘルニア予防につながります。
軽い運動が、ヘルニアの予防になるので、是非とも意識して、やってみてください。