Voicy更新しましたっ!
今回は、質問を頂いた耐性菌に関してのお話。
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抗菌薬が効かない「耐性菌」
この前ピロリ菌に関してお伝えしましたが、それに関連して「耐性菌って大丈夫なんだろうか」というコメントが来ました。
耐性菌とは、1回の除菌で除去しきれず抗菌薬に対して耐性を持ってしまった菌の事です。
これはピロリ菌でも生まれる可能性はあり、途中で抗菌薬を飲むのをやめてしまったりすると発生します。
非常に強力で怖いものとも言われていますが、正しく対処したら耐性菌でも問題ないので、対策なども含めてお伝えしたいと思います。
高齢者、乳幼児に注意が必要
耐性菌は平たく言うと抗菌薬が効かないものですが、これが特に困るのはやはり高齢者や乳幼児と言った、成人よりも抵抗力が低い方です。
また手術直後の方など、病み上がりの方も注意してください。
こうした方が耐性菌に感染すると、症状は普通の細菌性なので抗菌薬を使って治療していきますが、全く効かないため治療が長引いてしまうとか、場合によってはそのまま重症化して命を落とす、ということはあります。
万が一病院で耐性菌がまん延してしまうと非常に危険です。
ただし、そういうことは今はほとんどないと思います。これは自然と減っていく上に、耐性菌に効果のある抗菌薬も存在するためです。
耐性菌に良い抗菌薬が存在する
実は、今は耐性菌に対して良いと言われている抗菌薬がいくつかあります。なので普通の耐性菌であればこれらを使うことで対策できます。
ただし、これへの耐性も持つような耐性菌もあり、その中でも最終手段って言われていた抗菌薬に対しての耐性菌も、一応は存在します。
これ以上は耐性菌を増やさないことが大切ですが、耐性菌は何も抗菌薬でしか倒せないというわけではありません。人間の体が持つ、免疫機能で耐性菌は充分倒せるので、必要以上に恐れる必要はありません。
抗菌薬をきちんと使わないと耐性菌が生まれる
耐性菌が生まれるのは、抗菌薬の使い方にあります。
飲み方が適当になることなどですが、耐性菌の原因はお医者さんの処方にも問題があります。
よく、「細菌のせいかもしれないから一応、念のため抗菌薬を使ってください」という風に、とりあえずで抗菌薬を処方するお医者さんが結構います。
念のためで頻繁に抗菌薬を飲んでしまうと、体内に普段からいる菌が抗菌薬に耐性を持ってしまい、結果的に抗菌薬が効かない体質になってしまうのです。
もちろん抗菌薬の飲み方が中途半端になるのも、耐性菌が生まれる大きな原因です。後述しますが、通常の量、処方された通りの飲み方であれば無くなる菌でも、飲む量が少ないとか少ない日数で飲んでしまうと、体内から無くなりきらずに残ってしまうことがあります。それが耐性菌となって、再び症状を起こします。
耐性菌は自然淘汰される
耐性菌で一番有名なのが、肺炎の肺炎球菌です。
クラリスロマイシンというものがあり、肺炎球菌への抗菌薬として有名でしたが、今では7割以上の肺炎球菌はクラリスロマイシンが効かないとされています。
ただ、実は耐性菌は自然と減っていく、というのもこの肺炎球菌で実証されています。
なぜかというと2011年ごろには、肺炎球菌は87%が耐性菌で、抗菌薬が効かないとされていましたが、今では70%ほどになっています
きちんと使っていけば、耐性菌は減っていくものでもあります。
むやみに抗菌薬を求めないという対策
こちらから「抗菌薬を使わない」と決めるのも一つの対策になります。
どうしても、「風邪を引いたら抗菌薬、抗生剤」という認識が多いため、抗生物質を求める方がいます。
患者さんから求められてしまうと、お医者さんがいらないと感じていても、一応で出しておくかとなるので、耐性菌の原因になりかねません。
風邪の原因のほとんどはウイルスなので、抗菌薬はまず効かないです。3日経っても治らない場合、ひどくなる場合は菌が原因と思われるので、その時に抗菌薬を使ってください。
もし最初から抗菌薬が処方された場合は、必ず処方された通りに飲み切ってください。
中途半端に使ってしまうと、菌を全滅しきれずに残してしまい、それが耐性菌として体内に残ります。
そしてもちろん、各種細菌にかからないように予防をするというのも必要です。こまめに手指を消毒する、お茶や水で水分補給をして免疫力を維持していくようにしましょう。