新入生・新入社員にありがちなお酒の話#204

Voicy更新しました!

今回は新入生や新社会人のためのお酒の話。

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「お酒は二十歳になってから」のわけ

お酒が飲めるのは20歳から、と法律で定められています。

なぜこう定めているのかには、ちゃんとした理由があります。

今回は新入生や新社会人など、フレッシュな若い方へ向けたお酒のお話です。

 

「急性アルコール中毒」のリスクが高いから

まず一つ目の理由が「急性アルコール中毒」のリスクが高いため、というのがあります。

急性アルコール中毒は、現在も大学の新入生歓迎会などで、命を落とす方がいます。

この原因は一気飲みなどによって、文字通りアルコールを急に摂取してしまうことで起きます。

 

若い肝臓はアセトアルデヒドが分解しにくい

アルコールが体内に入り、分解されて行きますが、そこで働くのは肝臓です。

肝臓がせっせと働いて分解しますが、その過程で「アセトアルデヒド」という成分が生まれます。

アセトアルデヒドがさらに「酢酸」という成分に分解されて、ようやく尿として排出できる、という仕組みです。

アルコールをしばらく飲んだあと頭が痛くなる、気持ちが良かったのに逆に気持ちが悪くなってくる、というのは、このアセトアルデヒドの作用によるものです。

若い方は、肝臓のこの働きが非常に弱く、アセトアルデヒドが体内にたまってしまう、という欠点があります。

アセトアルデヒドが急激に肝臓、体内に大量にとどまることで、急性アルコール中毒となるのです。

 

「アルコール依存症」になりやすいという点も

さらに、若い方だと、急性アルコール中毒になりやすいのと同時に、アルコール依存症にもなりやすい、という特徴があります。

その理由は諸説ありますが、体力があるため節制せずにガブガブ飲んでしまいやすいとか、大学生で時間があるため、社会人と比べると毎日飲んでしまいやすい、というようなことが考えられます。

こうしたことを踏まえて、若い方へ一定のラインを設けるため「未成年」「成年」のボーダーラインを活用して、お酒のルールを作ったというわけです。

 

無理に飲ませる「パワハラ的」な飲み方に要注意

新入生歓迎会、新入社員歓迎会など、いわゆる「新歓コンパ」がありますが、無理やり飲ませる「パワハラ」みたいな飲み方は全くおすすめできません。

おすすめできないと言っても、実際先輩や年上の方から言われると、断りにくい、難しいものです。

飲めないものは飲めない、お酒が好きではないときちんと言って、飲まないようにしましょう。自分の身を守るためでもあるので、押しに負けないようにきちんと言うことが必要です。

 

お酒好きな方は、お酒嫌いな方に「絶対に強要しない」

実は個人的にも、お酒はかなり苦手な方で、自分からたくさん飲む、ということはしない方です。

無理に飲むように勧められることももちろんありましたが、とても辛く、全く楽しさを感じない飲み会でした。

また、知人に大学時代に無理やり飲ませられて救急車で運ばれた、という方がいます。

倒れて救急搬送されて、奇跡的に一命をとりとめたものの、あと1杯飲んでいたら、あと1歩救急車が遅かったら亡くなっていた、という方もいます。

決して、他人に飲むように強要することは辞めてください。

 

急性アルコール中毒にだけは注意

以上、お酒についてのお話でした。

最後に「急性アルコール中毒」にだけは充分注意してください。

若い方は、自分がどれだけお酒を飲めるのかわからない、ということがあります。

その場が楽しくて仕方ないからと言って、たくさんのお酒を「自分から」知らず知らずのうちに飲んでしまう、ということがあります。

自制心を持って、セーブしながら、お酒を楽しみましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属