「ダイエットのしすぎ」「痩せすぎ」にも注意
前回の早食いや、少し前の肥満などに関連して、今回はその逆で「痩せすぎ」ということについてです。
肥満よりは痩せているの方が健康では、と思われそうですが、痩せることで起きる弊害もいくつかあります。
今回はこれまでと逆で、痩せていることで起きる弊害や、痩せすぎのデメリットについて少し触れて行きたいと思います。
ただし、これはあくまでも太っても大丈夫ということではなく、あくまでも痩せすぎていることで起きる弊害などについてのお話しですので、取り違えないようにしてください。
「痩せすぎ」の傾向がある日本人女性
健康診断などで用いられる、「BMI」という数字があります。
BMIは体重÷身長÷身長で出す数字で、この時の使う身長はメートル単位で表します。
例えば、身長が160センチ体重が60キロだった場合、60÷1.6÷1.6で23.4となり、BMIが23.4となります。
この数字が18.5以下だと、痩せすぎとなります。
なかなかないように思われますが、実は20代の日本人女性のうち22.3%が、30代の女性の15.5%がBMI18.5以下で痩せすぎとなっています。
逆に太り気味の場合、BMIが25以上の方の割合は、20代の日本人女性のうち10.2%、30代では6.6%となっています。
20代30代ともに、太り気味の方よりも倍以上の割合で痩せすぎの方が多いのです。
さらに、高齢になるとBMIが18.5ではなく、20以下でも後述のような弊害が出やすい傾向にあるため、極端に痩せている高齢者は非常に注意が必要です。
痩せすぎになる原因はやはり過度なダイエットが一番ですが、例えば慢性的な食欲不振や、それに伴う栄養不足も大きな一因です。
もし万が一、食生活や生活リズム、生活習慣を一切変えていないのに急激に体重が落ちて行った時は、がんや糖尿病と言った重大な病が隠れている可能性があるため、すぐに検査をしてみてください。
痩せすぎで起こる弊害
痩せすぎによる弊害は、女性の場合だとホルモンバランスに影響が出ることがまず挙げられます。
例えば生理不順が起こるなどですが、一言に生理不順と言っても、実は女性ホルモンは血管を健康に保つ働きがあるため、ホルモンバランスが崩れることで血管に負担となり、動脈硬化の大きな原因になるのです。
平たく言えば、痩せすぎと言うことを引き金として、心筋梗塞や脳梗塞と言った重大な病につながっていきます。
もちろん、太りすぎでも同様のことが起きますが、痩せすぎでもこうした理由によって動脈硬化が引き起こされていくのです。
また、痩せすぎにより筋肉が落ちて行くこともデメリットの一つです。
筋肉が落ちるということは代謝が下がり、疲れやすくなってしまい、より運動量が減るという悪循環になります。
筋肉が少ないと血液の流れが悪くなったり、肩こりや冷え性の原因になります。
さらにそもそもの栄養が少ないということは、例えばカルシウム不足で骨粗しょう症になって骨折しやすくなる、ということも考えられます。
高齢者であれば骨折が治ったとしても、元通りに歩ける筋力が無くなってしまい、寝たきり生活が始まるきっかけにもなり得ます。
食べることよりも「運動」が重要
以上のことを踏まえると、実は痩せすぎの改善は食べることよりも、運動の方がカギを握っています。
食べることで栄養が補給でき、体重も増えますが、その分脂肪量も増えてしまうことにつながります。
すると今度は肥満になっていき、様々な生活習慣病のリスクを上げることになります。
そして、筋肉は食べるだけでは付かず、運動をして筋肉を刺激しなければついていきません。
ですので、痩せすぎの状態の方こそ、食べることと同時に運動もしっかりと意識して行うことが大切です。
筋肉をつける運動と言えば、ゆっくりと行う無酸素運動が主ですが、痩せすぎの場合であればとにかく軽いストレッチ程度でもいいので、出来る範囲で体を動かすことで大丈夫です。
軽いウォーキングをするとか、普段エスカレーターのところを階段を使ってみる、と言った感じの運動で問題ありません。
量は少しでも大丈夫で、また回数も毎日ではなくても3日に1回とか、2日に1回という程度で充分なので、継続して続けることが一番重要です。
タンパク質を積極的にとる
最後に食事についてですが、やはり、筋肉の元となるタンパク質を積極的に摂ることが必要です。
炭水化物も大切ですが、肥満の原因になりやすいので、まずはお肉やお魚、豆類や乳製品と言ったものから、タンパク質を意識してとって行きましょう。
こちらも毎日毎食、必ず何かを食べるようにする、と言うのではなく、普段の食生活を見直してみて、出来る範囲でタンパク質を増やすことを心掛けてください。
具体的な量で言うと、男性は1日60グラム、女性は1日50グラムのタンパク質が必要、と言われていますが、これはあくまでも目安ですので、無理のない範囲で取り入れてみていただければと思います。