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今回は「沈黙の臓器」として有名な肝臓のお話
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人間の臓器の中で最も大きい「肝臓」
今回もcovid-19から大きく変わって、肝臓についてのお話です。
最近薬局に来る患者さんで、9月の健康診断から肝臓の話になったり、肝臓の機能がなんか悪くなってきた、といった会話が増えてきたので、今回は久々に「肝臓」だけにフォーカスして、お伝えしていきたいと思います。
まず、肝臓という臓器は、人間の体内にある臓器の中で、最も大きい臓器となります。
1キロから1.5キロほどの大きさがある
肝臓は成人の方で、重さが1キロから1.5キロほどあります。
一つの臓器でこれほどの重さがあるのは、肝臓だけです。
肝臓の働きについては、以前アルコールの回などでも触れていますが、例えば腸から吸収された栄養素を体が使えるように変換したり、一時的に貯蔵しておくことができます。
体が一つの家、脳が家主とした場合、肝臓冷蔵庫や冷凍庫どころか、調理して食べやすくするキッチンのような役割すら持っています。
また当然、飲んだお薬やお酒のアルコールなどの成分も肝臓で分解したり、無毒化して尿にする働きもあります。
そして次に重要なのが、胆汁です。
胆汁とは、腸で消化吸収するために必要なもので、これも肝臓から分泌されます。
栄養素は腸から吸収されますが、胆汁が無ければ体に吸収されず肝臓まで行かず、使うことができません。
胆汁は食材の調達を一手に仕切る家政婦さん的な役割と言えます。
さらには、体の免疫機能を司っているのも肝臓の働きの一つです。
以上が肝臓の主な働きですが、そのほかの細かい働きも含めて総数にすると、およそ500以上もの役割があるとされています。
ちなみに、肝臓はそもそもの回復力が凄いのも特徴で、肝臓の一部を切り取っても、時間が経てば再生して元に戻ります。
肝臓が「沈黙の臓器」と言われている理由
肝臓はしばしば「沈黙の臓器」と言われていますが、この一番の理由が「痛みを感じる神経が伝わっていない」という点です。
ですので、痛みで脳にサインを出すということが、肝臓はできません。
肝臓の不調が大きく進行して、回復力も著しく衰えるぐらいまでになってようやく、肝臓が悪いかも、と気づくことが良くあるのです。
そうなると元の状態に戻すのが非常に難しくなり、移植手術などを要する事態にまで発展します。
肝臓で起きる病は、大きく分けて3種類あります。
肝炎・肝硬変・肝臓がん
肝炎は、文字通り肝臓で起こる炎症で、肝臓の細胞が壊れるという状態です。
様々な菌やウイルスで起こりますが、いわゆる肝炎ウイルスによって起きることが一番多いです。
また、お酒の飲み過ぎや肥満によって肝炎が起こるケースもあります。
次に肝硬変ですが、通常は肝臓で炎症が起きて細胞が壊れても、回復力が高いため軽いものだと元に戻っていきます。
このサイクルを繰り返しますが、あまりにも何度も繰り返しすぎると、細胞が固くなっていきます。
不必要に肝臓の細胞が固くなると、どんどんパフォーマンスが落ちていき、機能が低下していきます。
これが肝硬変です。
この状態を放っておくと肝不全となり、だるさや重い食欲不振になって現れます。
完全に硬くなっているため、血液も流れなくなり、入れなくなった栄養素などの血液の成分が染み出し、おなかに水が溜まって胃腸に負担となるなど、極めて重大で危険な状態になります。
最後が肝臓がん、肝がんです。
肝臓のがん細胞は、健康な肝臓にはまず生まれることはありません。
ただ、肝炎ウイルスに感染していたり、肝硬変が起きていたりと肝臓が弱っている状態では起きる可能性があります。
そして、例えがん細胞があったとしても、痛みの神経が無い事には変わりないため、症状に気づくことはほぼ無いため、気づいたときにはがんがかなり進行している、ということも充分起こり得ます。
肝臓の不調を見つけるのは「血液検査」
この沈黙の臓器の不調をいち早く、そして簡単に確認できる手段が「血液検査」です。
少し前の311回の配信で触れていますが、血液検査では肝機能という項目がありますので、もしその数値で異常があれば、必ず一度診てもらうようにしてください。
前述のように肝臓の不調は極めて気づきにくいですが、具体的な症状で言うと、「かゆみ」と「黄疸」が有名です。
肝炎が長く続いていると、虫刺されや湿疹などのような原因が一切ないのに、皮膚にかゆみがある、ということが起きます。
もう一つの黄疸は、急激な肝臓の炎症が起きた場合、白目が黄色くなったり、顔色が不自然に黄色みを帯びたようなになって現れます。
他には重いだるさ、倦怠感もあります。
また、急性肝炎は熱や頭痛のような風邪に似た症状も出てきますが、これをちょっとした風邪だと思って放っておくと、危険な状態になり得るので、もし肝臓に何か心当たりがあればお医者さんに診てもらいましょう。
肝臓を働かせすぎないこと
不調に気づきにくく、気づいたときには手遅れという場合もあり得るのが肝臓ですので、やはり何よりも「働かせすぎない」ことが最も重要です。
肝臓の調子が悪い時の対処は259回で少し触れておりますので、そちらも併せてご覧いただければ幸いです。
例えば、お酒が好きで毎日晩酌する方は、量や回数を減らしてみるとか、定期的に休肝日を設けて肝臓の働きを抑える日を作ってください。
また糖質を控える、運動をするといったことも、肝臓にとっては良い影響がありますので、できるだけ普段から気を付けていきましょう。