Voicy更新しましたっ!
今回は友人との話の中で出た、宿便にまつわるお話
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排泄されず、長い間、腸内にとどまる便
便には「宿便」という種類のものがあります。宿便とは、長い間腸内にとどまり続ける便のことです。
ですので、平たく言ってしまえば、「単なる便秘でとどまっている便」のことです。
医療用語では「滞留便」と言い、特にずっと留まってほぼ出ない、と思われがちですが、実は普通の便秘によって溜まっている便も、宿便と言います。
今回はまた趣向を変えて、この便秘、宿便について少しまとめて行きます。
便秘の自覚が無い人にもある?
宿便と言うと、便秘の自覚が無い人でも数キロ単位で腸内にあって、デトックスして宿便を取り除けば体重が減る、と言うようなことがしばしば言われますが、医療的にはそう言ったことは全くありません。
大腸カメラやX線検査で確認したり、カプセル型のカメラを飲んで腸内を見てみると分かりますが、古い何かが腸内に溜まり続けることはほぼなく、万が一3キロや5キロと言った単位で便が溜まっていれば、確実にカメラやX線検査で映ります。
さらに、実は腸の壁や膜は、3日に1回程度のサイクルで入れ替わっているため、腸壁に便がこびりついて留まるという事はありません。
一方で、断食中に出てくる便があると思います。
しばらく食べていないタイミングで出てくる便は、宿便では無いの?と思われそうですが、これは先述の腸の古い壁、粘膜の老廃物や垢、腸内細菌の死骸の塊と言ったもので、通常は便とともに排出されるものです。
つまり食べ物とは関係なく、3日ぐらい断食しても継続して出るものですので、宿便ではありません。
宿便は便秘という病になる
この宿便がどういう病になるかと言うと、これは単純に「便秘」と考えて差し支えありません。
便秘については219回で詳しく触れておりますので、そちらを参考にしてみてください。
便秘を簡単にまとめると、腸の働きが悪くなったり水分が不足することで便が出なくなるとか、断食や食物繊維不足でそもそもの便の量が少なくなる、またストレスで腸がけいれんを起こしてしまい、便を送り出すぜん動運動が難しくなって出なくなる、と言った症状です。
さらに、ポリープやがんと言ったものが腸内に出来、通り道が細くなって便秘になるというケースももちろんあります。
便秘が重度になると、例えば宿便性潰瘍という病があります。
便秘が長く続き、便が大腸の粘膜を長期間圧迫し続けると、その粘膜への血流が止まり、その細胞への栄養や酸素が行き渡らなくなり、壊死となります。
宿便性潰瘍は非常に強く、危険な病で、腸内で大量に出血して輸血が必要になるなど極めて重大な事態になりやすいです。
その上、高齢者や寝たきりで運動量が低下している方は特に起こりやすいため、とても厄介な病です。
宿便にならないように
宿便にならないように、ということは、便秘にならないようにすることと同義です。
ポイントとしては水分と腸の動きにあります。
水分は便が柔らかく、排出されやすくなるのに一番必要な物質で、便のためにも水分補給は欠かせません。
もう一つの、腸の動きについては、いわゆる運動の事ですが、例えばお腹周りの筋肉をマッサージしたり、腹筋や腰回りを重点的に筋トレする、と言ったことで便秘の予防に繋がります。
ただ、いずれも生活習慣のお話で、いわば体質改善の問題ですので、少し続けるぐらいではなかなか解消されません。
もし辛い便秘の場合は遠慮なく、お薬を使ってみてください。
便秘に種類があるように、お薬にもかなりの種類があります。
例えば腸の動きが悪い場合は腸を刺激して動きをうながすお薬がおすすめで、製品名で言うとコーラックが有名だと思います。
ただ、癖になりやすく、量を飲まないと効かなくなってくるという事がまれにある上、おなかが痛くなりやすくなるため、急を要するような場合でない限り、使わない方が安全です。
出来れば、漢方薬配合、と書いているような、刺激がマイルドなものだとおすすめですので、検討中の場合は是非店員さんや薬剤師に聞いてみてください。
また、便が硬くなって出ないというケースでは、酸化マグネシウムを使って便に水を取り込んで、出やすくするというお薬もあります。
普段から水分補給を欠かさずに行って、運動やストレッチも定期的に続けて腸がきちんと動くようにしていきましょう。