緊急事態宣言の効果はどうなの?#479

Voicy更新しましたっ!

今回は前回に続いて、緊急事態宣言の実際の効果についてのお話

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緊急事態宣言の効果を得るために

首都圏1都3県に続いて、関西3府県など徐々に拡大の兆しがある、2度目の緊急事態宣言ですが、今回は前回に引き続いてより具体的に、効果と意味についてお話したいと思います。

以前にお話したことにも少し通じますが、「しっかり予防をしている人は引き続き予防をしている」代わりに、「宣言が出ても特に変わらない人は変わらない」という事が言えると思います。

そして、この変わらないという方の人の認識が変わらない限り、2度目の緊急事態宣言が高い効果を上げるのは正直難しいと思います。

感染者数を減らすための緊急事態宣言

個人的な予測ですが、2週間たってもおそらく感染者数が変わらず、増えている可能性があると思います。

covid-19は、100%頑張っても完璧の予防ができないウイルスです。

どう言う事かと言うと、手洗いを徹底する、3密を避ける、マスクをすると言った感染対策が身についた結果、インフルエンザの感染者数が激減して、流行が大幅に抑えられたという事があります。

しかし、covid-19だけは減らずに、確実に存在し続けるのです。

緊急事態宣言は、前回お話したように、感染者数をある程度の数まで減らして、ステージを引き下げるためのものですので、感染者数が減らなければ意味がありません。

前回の宣言のような、人とほとんど会わない、100%に近いぐらい家に居るというレベルの行動でなければ、感染者数が減らないウイルス、ということなのです。

今回の宣言は、前回のような全面的な休業要請、休校指示は一切ありません。飲食店に限定して午後8時までという時短要請にとどまっています。

その上、感染状況は確実に前回よりも悪化している最中にあります。

今のところ、1か月で終了との計画ですが、前回も書いたように正直かなり難しいと思います。

感染者数の試算

1回目の緊急事態宣言時は、8割接触を避けるという風に掲げており、民間の施設はもとより公共施設や学校も含めて一斉に休業をしました。

その結果、1か月で大幅に減り、2か月でゼロに近いまでに減りました。

しかし、今回は前よりも強力なものではなく、マイルドな内容なうえに、季節も寒い春先になります。

3密を避ける、8割接触を避けると言ったことを感染当初から提言していた、8割おじさんこと西浦教授は、完全に無策の状態であれば、今から2か月半後、3月末ごろには1日7000人近くの感染者数になるという数理モデルを表しています。

今の緊急事態宣言下であれば、そこまで増えることはないと思いますが、現在の感染者数はおそらく出ている数字よりも多く、実際に年末年始で2000人を超えたこともあるため、1日7000人以上という、予想以上の数に伸びる可能性もゼロではないと思います。

これは、一般的な保健所や自治体が行うPCR検査ではなく、民間のPCR検査の体制も整ってきて、感染者が従来よりも非常に見つかりやすくなった事も影響があると思います。

そして前回お伝えしたように、政府は感染者数が500人程度で、ステージ3に引き下げて宣言解除との方針ですが、この数理モデルと現在の感染状況とを鑑みると、やはりそれは難しいです。

ただ、例えば現在ですでに、人出が変わらない事が問題視されており、2週間で効果が出ないとなれば追加の自粛要請で、短期間だけでも施設の全面休業要請、休校要請が出される可能性もあると思います。

医療のひっ迫を解消するための緊急事態宣言

緊急事態宣言のもう一つの目的が、医療のひっ迫の解消です。

前回の宣言では、1か月で感染者数が大きく減ったことで、重症の患者さんも減りました。

これも以前お伝えしたことに通じますが、医療のひっ迫がとれる、重症患者数が減少に転じるのは、感染者数が減り始めてから1か月程度の時間が必要です。

なので、この緊急事態宣言の効果が出るのは早くても3月ごろで、なかなか感染者数が減少に転じない現在を考えてみると、4月に入ってようやくという可能性もあり得ます。

どうなったら「収束」なの?

今年の3月で、日本国内で感染が拡大してから丸1年となります。

いつどうなったら、このcovid-19が「収束」となるのかですが、この記事の最初の方に「どんな対策をしても充分にはできないウイルスです。

なので、予防のワクチンと治療法を確立するまでは、収束にはならない、と考えて差し支えないです。

ワクチンについては、実際に欧米諸国でワクチン接種が開始されましたが、今のところは重大な健康被害の報告はありません。

ただ以前も何度かお話したように、時間を空けて2回打つ必要があり、2回打った後でどれぐらいの効果があるのかは現時点では不透明です。

そしてもう一つ、治療のためのお薬ですが、最近では血栓症という、血が固まるのを防ぐためにバイアスピリンという血が固まりづらくなるお薬を投与してみる、と言った臨床試験が始まっています。

中等症、軽症のための、タミフルのような新薬が出来れば一番で、現状で最もそれに近いのがアビガンで、少しずつ効果が確認されてきていますが、催奇形性の副作用が大きいため、承認に踏み切るのはかなり難しいと思います。

他に新しいもので言うと、一度covid-19にかかった人が持ってる抗体から血清を作ってそれを打つとか、カクテル抗体という、抗体そのものを新たに作って打つ、という風に様々な面から、治療法を探しています。

こうしたものが安全に、世界中に出回ることで、ようやく収束になります。

それまでにはかなり時間がかかるので、引き続き、入念に感染対策をして行きましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属