風邪とは違う!身近にある重症化と医療逼迫の怖さ!#480

Voicy更新しましたっ!

今回は、実際にcovid-19への感染と療養を経験された方のお話から、covid-19の重症化と、現実に起きている医療逼迫のお話。

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タレントの松村邦洋さんが経験したcovid-19

今回は、お笑い芸人の松村邦洋さんが自身のyoutubeチャンネルで語った「感染時の入院、自宅療養」のお話から、covid-19の重症化、そして実際に起きている医療逼迫についてまとめて行きたいと思います。

松村邦洋さんは、数多くのモノマネのレパートリーを持ち、少し古いですが電波少年や探偵ナイトスクープでレギュラーも務めていた芸人さんで、現在も精力的に活動を続けているベテランの方です。

発熱の症状から、陽性の確認、入院へ

まず松村さんが経験した具体的な流れ、動きですが、先月26日に発熱して、次の日は問題がなく、28日から体のだるさ、調子の悪さを感じて、PCR検査を受けたところ、翌29日には陽性となり、自宅療養となりました。

症状が軽かったため、一旦は入院をせずに自宅で様子を見るとのことでしたが、その翌30日の夜には咳の症状が出て、だるさも徐々に増してきて、1日からは眠れないほどつらくなったようです。

保健所からの健康チェックの連絡でその旨を伝えて、数年前にマラソン大会で心停止したという既往歴もあることから、入院が決まり、精密検査をしたところ、すでに肺炎が進んでおり、もう少し遅ければ命に関わっていた可能性もあるレベルでした。

この時、症状としては、凄く息苦しくて胸が強く痛い、という事は無く、咳が増えてきて、だるさが増して寝るのが辛いという程度だったそうです。

入院して、レムデシビルやステロイドでの治療が始まりました。

このケースでは、肺炎にはなったものの、最初に発熱した日から数えて6日から8日の間に症状がもっと酷ければ重症となりますが、あくまでも肺炎を起こしたというだけで、重症というほどではない、という診断がされました。

治療開始後から3日か4日が山場で、重症化するかどうかの分かれ目ですが、無事に乗り越えることができ、再度のPCR検査も陰性となったため、現在は退院して自宅療養中、とのことです。

あるダンスの先生の方が経験された話

もう一つ、娘が通っているダンスの教室の先生の方も、実際にcovid-19の感染を経験されたようです。

この方は神奈川県に住む40代ぐらいの男性の方で、先日の年明けすぐに、発熱があってPCR検査で陽性となったものの、熱が続いていたのに入院にはならず自宅待機となりました。

症状は日に日に重くなり、熱もだるさも増すばかりで、何度も保健所に電話しても「入院先が無いため自宅待機でお願いします」とのことで、一向に進まなかったとおっしゃっていました。

さらに、119番で救急車も呼んだようですが、症状を言うとそれは自宅待機で、とのことで取り合ってもらえなかった、という事も聞いています。

それでも懸命に、保健所や病院に連絡したところ、そこまで言うなら、という事で入院ができ、精密検査をしたところ、かなり重く肺炎が進行していたことが分かったようです。

現在は治療中で、無事に快方に向かっている、との事です。

自覚症状がもの凄く酷く出ていて辛いと言っているにも関わらず、処置が一切できない、という事が本当に起きているんだと実感しました。

covid-19は重症化前の症状が乏しい

以前、474回にも重なる事ですが、重症化の直前になっても症状が少なく、乏しいことが非常によくあるのがcovid-19の特徴の一つです。

昨年末、大臣の経験もある羽田議員が53歳という若さで急逝しましたが、この方も上記二人の方のように、最初は自宅療養というところから、症状が悪化していったという経緯があります。

羽田さんはその悪化の仕方が凄まじい速さで、急激に進んでいき、病院に向かう車中で意識が無くなったとされています。

このように、どんな風に進行するのかが分からない病が、このcovid-19です。

医療がひっ迫して、症状があるのにすぐに入院できないという状況は、非常に危険だと知っておいてください。

474回でもお伝えしましたが、通常の肺炎だと、息苦しさや咳、熱と言った症状が確実に表れて、とても普通では居られないぐらいものすごく苦しくなります。

しかし、covid-19は異常なまでに急激に肺炎が進み、肺が壊れているのに症状がそれほど出ない事があります。

熱も微熱程度、だるさや咳も少し自覚する程度、という症状のまま進み、肺が完全に壊れきったところで、一気に命が奪われるほどの症状が出ます。

見かけ上は、肺炎が突然一気に進行したように見えますが、実際にはそれよりも以前から急激に肺が壊れてしまう、というのが、covid-19のウイルスの恐ろしさです。

年始から急激に医療体制がひっ迫

こうしたことを防ぐために、早期発見するために、SpO2を逐一見ておくのが大切なのですが、ここまで陽性者が増えてしまうと、一人一人のSpO2の数値を把握しきれなくなっている、という現状があります。

特に、上記お二人のように、年末年始から現在、入院するのが一層難しくなってきているようです。

重症化しているのに入院できないという事は、本当に命にかかわる問題で、実際にすでに死亡者数が増加傾向にあります。

この一因がもしかしたら、SpO2のモニタリングが不十分なことで増えている、と考えられます。

今一度、原点に戻って改めて「自分がかからない感染対策」が大切です。

covid-19で3密を避けるとか、マスクをすると言ったことが言われるようになりましたが、それよりも前に、きちんと手を洗うこと、蛇口やドアノブと言った共用部分を消毒する、と言ったような、ごく基本的な対策が必要です。

改めて引き続き、感染対策を徹底していきましょう。

この記事を書いた人

吉田 聡

吉田 聡

薬局・なくすりーな薬局長
公益社団法人日本薬剤師会、公益社団法人東京都薬剤師会、所属